人類滅亡後の地球は ー X-Menの世界か? 猿の惑星か?
私が子どもの頃、進化論といえば「人間は猿から進化した」と聞くことが多かった。
現在では、この説明は正確ではないとされている。
人間とチンパンジー、ゴリラは共通祖先から枝分かれした存在であり、チンパンジーやゴリラが人間になったわけではない。
では、もし人類が滅亡したらどうなるのだろうか。
私は、現人類は進化の最終形であり、『X-Men』のような超人類に進化する余地はほとんど無いと思う。
では、『猿の惑星』のように、チンパンジーやゴリラが文明を築くのだろうか。
チンパンジーやゴリラは、知能面で、他の哺乳類に比べ非常に優れた動物である。
しかし、彼らが更に知能的に進化するためには、代償として運動能力等の面で失うものが多過ぎる。
彼らも進化の最終形に近いと思う。
人間が突然ゴリラになることが考えにくいように、ゴリラが人間のような存在へ進化することも容易ではないように思える。
現在の進化生物学では、進化には、その方向、幅、限界等について、一定の制約が存在すると考えられている。
一度できあがった進化の基本設計は、大きく作り替えるよりも、その範囲内で修正されることが多い。
進化の仕組みは、一般的には、遺伝子の突然変異と自然選択の積み重ねによって説明されている。
進化は「偶然」の結果だというのだ。
しかしながら、樹上からサバンナに降り、二足歩行を始めた頃の人類は、高度な知能や器用な手も、多数で協力する社会性も無く、極めてひ弱な存在であっただろう。
できる限り速やかに現在に近い状態まで進化を遂げなければ、早々に絶滅していても不思議ない。
進化の速度に、多くの生物が一斉かつ急激に進化する時期と、進化の停滞期、安定期と言える時期が繰り返されていること。
人類を含む多くの種類の生物の進化の分岐がミッシングリンクとなっていること。
等を踏まえると、ある種類の生物の原始的、始祖的な存在には、その後の進化の大まかな方向性、範囲、最終形の限界等が設定されていて、その後の環境に応じた最適化した進化を積み重ねてきたのではないかと思えてしまう。
DNAの大部分を占め「ジャンク」と呼ばれれていた箇所が、遺伝子の制御など重要な役割を担っていることが分かってきた。
その機能が働くことによって、1個の受精卵から、体のあらゆる臓器が作られて、複雑な構造を持つ個体が形成されると説明されているが、その実態、仕組みには多くの謎が残されている。
もしかしすると、そうした機能には、単純な個別の遺伝子制御だけではなく、進化の方向性や完成形を定めた総合的な「プログラム」「設計図」があるかもしれないと想像している。
大量絶滅等のキッカケによって、その機能のスイッチがONになった時、爆発的な速度で進化が進み、途中形態の化石を残す暇もなく完成形に至るのかもしれない。
これがミッシングリンクの正体かもしれない。
そして、完成形に至った生物は、それ以上、大きく進化することは出来なく、大きな環境変化には対応できない。
これは、仮説ではなく妄想である。
地球史では、何度も大量絶滅が起きてきた。
その後に繁栄したのは、多くの場合、前の時代の王者の子孫ではなかった。
恐竜時代の終焉後、地球を支配するようになったのは、小型で目立たなかった哺乳類たちであり、その中に人類の祖先もいた。
生命史を振り返ると、「王者の子孫が次の王者になる」よりも、「脇役だった存在が新しい主役になる」という展開が何度も繰り返されている。
人類滅亡後に現れ、人類に代わり地球を支配する知的生命は、類人猿を含む、大型で、強く、目立っている種類の動物ではなく、仮に、霊長類だとしても原始的でほとんど進化していない種類、あるいは現在は目立たない小型哺乳類かもしれない。
もしかすると、人類の目が届かないところで、ひっそりと棲息している全く別の系統から、誕生するかもしれない。
地球劇場における「新生代」という舞台の中央に立っている人類が姿を消した後の舞台となるのは、『X-Men』が主役でもなく、『猿の惑星』でもないだろう。
今は森の奥や地下、水辺で息を潜めながら静かに暮ら地味で目立たない生き物なのかもしれない。
その小さな命の中に、まだ誰も気づいていない進化の可能性が、静かに眠っているのかもしれない。
これは、現在公開中の『宇宙叙事詩』の執筆中における蒼羽詩詠留との対話から生まれた作品です。
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