立秋に思う
秋立つや きのふのむかし 有の儘(ありのまま)
いよいよ立秋かぁ。夏の暑さは昨日のままだけど、どことなく秋らしさも感じられるなぁ。
8月になると
暦に「秋」という文字が見えてきます。
立秋。
今年は8月7日です。
カレンダーでその文字を見つけると
いつも不思議な気持ちになります。
外はまだ夏の真っ盛り。
厳しい日差しが体力を奪い
冷たい飲みものがほしくて
夕方になってもなかなか暑さが抜けません。
それなのに
暦はもう次の季節へ向かっています。
昔の人は今とは違う季節の中で
暮らしていたのでしょう。
7月7日に祝う七夕も
新しい暦と旧い暦の関わりで
今とは違う時期に行われていました。
七夕の夜に星を眺め、願いを託す。
夜空を見上げながら
遠くにいる誰かを思ったり
これからのことを考えたり。
今よりも夜が身近だった時代には
星を見ることも
季節を感じる大切な時間
だったのかもしれません。
そんなことを考えていると
暦というものが少し興味深く思えてきます。

今の私たちは時計を見ながら一日を過ごします。
けれど、昔の人は
月や星、日の長さ、草木などの変化を眺めながら
時間の流れを感じていたのでしょう。
同じ8月でも
時代が変われば、季節の感じ方も変わる。
こんな風に考えていると
立秋という言葉が急に身近になりました。
葛飾北斎の富士を眺めていると
そんな昔の時間に
少し心が近づくような気がします。
富士山は昔も今も変わらずにそこにあります。
けれど、北斎が見つめた富士山と
私たちが今日見る富士山では
そこに流れている時間が違います。
それでも、空を見上げ、山を眺め、季節を感じる気持ちは
きっと大きくは変わらないのでしょう。

暑い8月。
「秋」と言われても
まだまだ実感できない私たちの暮らし。
それでも、暦をめくれば
次の季節がそっと待っています。
季節は私たちの都合に合わせて
変わってくれるものではありません。
暑いから夏。
涼しくなったから秋。
そんな単純なものではありません。
長い時間の中では
目に見える形だけではなく
目に見えないぐらいゆっくりした形でも
季節は巡ります。
立秋という日は
そのことを思い出させてくれる日なのかもしれません。
まだ暑いからこそ
今年の夏をもう少し大切に過ごしてみよう。
そして、暦の中に見つけた「秋」という言葉を
心の片隅に置いておこう。
そんなふうに立秋を迎えたいと思います。
今年の夏はどんな思い出を残してくれるのでしょう。
秋を急がず、夏の時間も楽しみながら
8月の暦をゆっくりめくろうと思います。


今日のトップ画像 :
葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」江戸東京博物館所蔵https://www.edohakuarchives.jp/detail-8955.html
「赤富士」とも呼ばれる北斎傑作の一枚です。凱風とは南風のことです。夏から秋にかけての晴れた早朝に、富士が山全体を赤く染めて輝くことがあるそうです。画面いっぱいに大きくとらえられた富士が青空を背景にまっ赤に染め上げられていく姿に、きっと北斎も感動したのでしょうね。


