深夜に働いている人がいると安心する ~平成編~
リタイアして慢性的な睡眠不足が解消できた頃、私は不眠症を認識するようになった。様々なプレッシャーから一気に解放された心理的影響は、かなり大きかったようだ。
眠れなくとも別に困りはしない。
それでも、何となく不安というか、落ち着かないというか、悶々とする日々が続いた。
寝不足から昼寝が長くなり、昼夜反転の危険性が増してきた。
反転しても問題はないが、歳のせいか悪行のような気がした。
その当時はフラシムにはまっていて、PMDG社の操作マニュアルなどを(許可を得た上で)ボランティアで翻訳してアップしていた。
「眠れないなら、勉強がてら、眠くなるまでATC※でも聞けばいいんじゃね?」
そう考えて、気楽に始めた。
※ Air Traffic Control:航空管制に用いられる無線通信。
「Tokyo Arrival, Japan Air 123, passing FL140, descending to 8,000, with Information Bravo」
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「Japan Air 123, Tokyo Arrival, radar contact. ILS Runway 34L approach. Fly heading 180」
・・・
「ILS Runway 34L approach, fly heading 180, Japan Air 123」
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どうです? 眠れるような気がしませんか?
深夜の時間帯だと離発着の航空機も少なく、適度な間隔で短い会話のやり取りを聞くことができる。
内容的には同じ事の繰り返しで、感情を現さない落ち着いた抑揚で話されるので緊張感は感じない。
慣れれば聞き取ることも難しくないし、意味を追わずに聞き流すこともできる。
女性管制官や女性パイロットのセクシー?な声も度々聞こえるし、各国の訛りのある英語も聞けて楽しい。
※ Live ATC を利用。
ネットを通じて世界中の ATC 交信をリアルタイムで聴けるサービス。
眠れた。
全く勉強にはならなかった。すぐに寝てしまうからだ。
昼夜反転のリスクが消えて、早寝早起きを維持できるようになった。
何で、こんなに簡単に眠れるようになったのだろう。
深夜に働いている人がいると安心する。
そう、何だか安心したのだ。
他にも24時間勤務の仕事は多くある。警察、消防、軍隊、コンビニだってそうだ。でも自分の前にはいない。気配を感じることはない。
ラジオから流れてくる声は、そこに人がいる証拠で、途切れることなく仕事が続けられていることを示している。
自分が眠っている間でも、どこかに世界を見守って、世界を動かしている人々がいる。
きっと、自分も守られているような気がして安心していたのだ。
この瞬間も世界中の夜を見張っている方々に、深く感謝したい。
こうして、深夜にATCを聞き流すことで、私の不眠症は寛解した。
その後、何月か経って、ATCを聞く必要はなくなった。
精神的にリタイア生活に馴染んだのであろう。
シフト勤務の方々に感謝を捧げつつ、今宵も惰眠を貪っている。
おまけ
深夜に働いている機器があると安心する ~令和編~
現在の私は、CPAPに守られながら安らかに眠っている。
本当に熟睡できるようになった。
これが無かったら多分死ぬ。停電したら多分死ぬ。
何かに依存しないと眠れない体になってしまった・・・
