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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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今から貴様らにダース・モールちゃんの好きなとこ全部ゆうたる

ヘッダーイラスト提供協力:sobök氏

"Fear.
Fear attracts the fearful, the strong, the weak, the innocent, the corrupt.
Fear.
Fear is my ally."
恐怖。
恐怖は、臆病者、強者、弱者、無垢、
堕落を引き寄せる。
恐怖。
恐怖は私の味方だ。

ダース・モール、ファントム・メナス予告編

──フォースの導きよ。
このわたくしの、
辛く、苦しく、険しく、罪深く、惨めで、恥に満ちた、
愚かな人生において……
これほどに美しく、悲しく、痛みに満ちた、
決して塞がることなく永劫に血を滴らせ続ける、
聖なる残酷な切り傷のような男に出逢わせてくださったことを、
心から感謝いたします。


再会、あるいは邂逅

アウター・リムの酒場で

※前回の記事を読んだ人間向けの構成になっております

――あら、私に声をかけてくるってことは、きっと以前に会った人ね。でなければ、私に話しかける人など、ほんとうに限られたものだわ。
……それとも……今はじめて、あなたは私のこのを見て、そうしようと思ったのかしら。どっちでもいいけれども……
いいのよ、気にしないで。
見かけは派手だけれど、そんなに大した怪我じゃないの。
ダソミアへの行き帰りでちょっと色々あったの。でも、こうして、生きているわけだしね。
そうね。私、あのとき……夢中になって、美男子たちへの愛を語った
そして、最後にあなたと別れたとき、次はダース・モールの話をするって言ったわね。でも、それってね、わかってるだろうけど、彼のプロフィールや登場作品の紹介とか、詳しく正確に解説・考察するって意味じゃないのよ。私が、あの人をどんなに美しいと思ってるかを、ただひたすら好きなように話すってことなんだから……
それでもいいなら、もう一杯注文して、個室に移動しましょうか。彼の話をするには、カウンターじゃ騒がしすぎるわ。席代は奢るよ。無茶をした分、今だけちょっと手持ちに余裕があるのよ。
何より、私こそが待っていたわ。こういう星のめぐり合わせをね。

警告はしておく

こんにちは。宮元です。
ダース・モールちゃんが、大好きです。
今回、愛しのモールちゃんへの想いを気ままに連ねるという事で、思い切って、ウーキーペディアを読めば分かるようなことは割愛いたします。そして、あんな記事を書いておいてなんですけど、私はモールちゃんの登場作品・コミック・小説すべてを所有・網羅しているスターウォーズのガチオタとかでは全然ない、ペーペーの浅瀬ファンなので、私の語ることは基本的にだいたい映像作品をベースとしたものだと思ってください。それらに関する結構なネタバレも、他作品への言及やネタバレも、もちろんございます。

あとねえ、もう一切、我慢したくないのよ。

この記事には、インモラル・フェティシズム、独自解釈、ボーイズラブ、近親相姦、複数のカップリングをちょっと思わせる表現が出てくる可能性があると思います。
あなたの苦手なものが出てきても、責任取りませんよ!私が私のために書いてるんですからね、この記事は。
だから別に、ここであなたが帰っても責めたりしませんわよ。今回は、本当に私の都合で、こうしてるってわけなんですから。

……嬉しいね。そういう目をした奴を見るのは、久しぶりだわ。
私たちどこまで行けるかわからないけど、やってみましょうか。
でも、その前に私の考え方の癖とかを、あなたに伝えておく。振り落とされそうなときに、役に立つかもね。興味なかったら、読み飛ばしてね。

ほぼ占術的にオタクしている

解釈、という言葉が存在するように、オタクとはしばしば対象を読み解くものだと思うのですが、私には私の手法がございます。

まず対象を「美のbecauseの集合体」とする

おお、モール。どうしてあなたは、モールなの。
動機はシンプルです。君はどうしてそんなに美しいのか、という問いです。
私は愛するキャラクターを、アルチンボルドのような美のbecauseの集合体として捉え、虫メガネを当て、ありとあらゆるものを参照し・当てはめて解説するのが、好きなのです。そして、私のこの、しょうもない人生で得てきた拙い知識や思い当たりのすべてを、そのキャラクターの美を語るために捧げます。美男子が宝石だっていうのもそれよ。
しかし、それは時に「比喩の話ばかりして、キャラクターそのものを見つめていないのではないか、彼を何かと代替可能なものとして扱っていないか」という不安ももちろん出るのですが、そもそもが「語る必要などないほどに実存性のあるものを、あえて語る」という行為ですから、そういう多角的な視点で語るひとつの機会として、何卒ご容赦願いたいものです。
また、彼を構成する美の要素を眺め、タロット占いのような、暗示を読み取ることもできます。

風水的アプローチで整える

対象が美のbecauseの集合体であることを捉えたら、次に脳内の風水羅針盤を対象に向け、龍脈(キャラクターの根幹に流れるもの)を探します。
龍脈が見つかったら、見立てに使う参照の方角などを調整し、引用的な比喩を配置し、気の流れを作り、風水を整えていきます。
私の場合、本当に「風水的」でしかないので、五行や陰陽などは特にこだわっておらず、採用するとしても感覚で捉えているのであまり明言しません。
これを創作(一次、二次問わず)に繋げる場合は、場所や人物、背景、モチーフやオマージュ、連想の精密な配置によって開運(運命を開く)し、極楽から地獄まで幅広く、キャラクターに任意の道を歩ませることができます。

概念をアクロバットする

霊的なセンスで探り当て、感覚的に捉えたものはしばしば、言語化する際に他者との共通認識という壁を感じるものです。それは時に、言葉そのものの意味の限界にまで窮屈さを覚えるほどに。でも、共通認識に沿う事なんかよりも、感覚を直に相手に伝えることの方が大事だと思うんだ。
というわけで私は、一見、規範や固定概念につながりそうな名称や概念を、あえて拡大解釈・独自翻訳して当てはめることで、その規範や固定概念の持つ窮屈さを破壊するというプロセスを踏むことがあります。
分かりにくい?そうねえ。

お姫様は女の子だけの専売特許じゃねえぜと叫ぶ、タツ兄
スナックバス江/フォビドゥン澁川

こういう感じです。タツ兄の言う「お姫様」って、単なるフェミニンさや女性の性規範を指し示す言葉ではない、特定の魂の形を示す言葉なんですよねえ。既存の言葉でも足りないときは、造語や独自の言い回しなどを駆使し、自由気ままに母国語を曲芸します。

でも、これねえ、やりすぎると、翻訳機がバグって、海外の人にてんで内容が伝わらなくなるんです。しかし、やはり人間、ドメスティックな感覚を頼りにしたいときもあるものだわ。「ここは翻訳しても意味がよくわからなかった」っていう非日本語圏の方は、お気軽に該当箇所を指定して、私にお問い合わせくださいね。

あら、頭痛がしてきた?畳みかけすぎちゃったかしら。まあ、そんな顔しないで。なにも、全部頭に入れなくったっていいんですよ、こんなの。今から私の語る無茶苦茶なことが、どういうところを通って出てきてるんだっていうだけの話ですからね。

いいから早くダース・モールの話をしてくれ

ごめんごめん。つまんない話は終わりにして、本題に戻りましょう。
はあ……、戻らなきゃ……う、うう!!

Crazy Crazy この愛は Crazy

フツーに、子供の頃からうっすらかっこよくって、好きだったの。
2014年くらいには、既にそれなりにそういう目で見てたわ。
色んな作品を好きになって、たくさんの人に出会って……
でも、2026年……歳食ってある程度の言語化能力を得たからなのかしら。
モールちゃんへの気持ちが、過去イチcrazyの領域に来ている。
恋なんぞ単純な言葉では 片付けられないThis feeling、彼の神秘の追究のためなら、持てる全部差し出しますとも。まったく、どこまで惚れさせる気なの?ああ、でも…

君は、フィクション……

「好きすぎて滅!」は疑いようもない名曲だけど、
結局オタクだから、この歌詞の、ここで梯子が外れるんだよな。
そういって嘆いていた時に、私の姉が、そっと言葉をかけてくれました。

「は?ノンフィクションやろ?」
「え?」
「あんたなら、わかるやろ?」

……。

嗚呼!君(の事を考えてしゃあない、君の圧倒的な実存性に影響を受けている私の人生)がノンフィクションだなんてサ……!!

星がキラリ、愛はメラリ、混ざり合ってゆく。まさにLOVE……

ありがとうお姉ちゃん。私、ビビってた。
愛は、ノンフィクションよ。

と、いうわけで、ダース・モールちゃんの好きなとこ、全部言うね。

↑こちらの記事をアテにしつつ、慎重に引用いたします。

モールちゃんは、死ぬほどビジュアルがいい

モール 後ろ姿
イラスト提供協力:sobök氏
かっこえ~。チューした(事後報告)

当たり前田のビジュの章。
はじめて彼がフードを取ったあの瞬間、時が止まった。
高らかに鳴り響く運命の戦いのテーマ。
ええっ、そっちからも出るん!?になる、ダブル=ブレード。
強烈なインパクトのある、圧倒的なキャラクターデザインです。

こちらの解説にもある通り、ダース・モールのデザインのコンセプトは「悪魔・悪夢」であり、デザイナーが見た「窓に張り付いた死体の悪夢」など、恐怖を与えるイメージを大きく意識したものです。
それ故に、彼のファンもやはりメタルやパンク的な美学を彼のビジュアルに投影し、デモニック(Demonic)の文脈を感じるようです。

↑うわ~、かわいいですね。(Angry Wolfさん、ありがとう)
そんで何もかもがよく似合っているね。流石だよ。
しかし、彼にはそれだけではない、違う角度からの魅力もあります。

その魅力とは……ジャポネスク(Japonesque)。

モールちゃんのジャポネスク

黒澤明作品など、時代劇の影響を強く受けているスターウォーズは、広大な宇宙のディティールにおいて汎アジア的な要素を取り入れ、とりわけ日本が多くモチーフに選ばれるのですが、上記のコメンタリーでの言及などはないものの、ダース・モールのデザインのあちこちには、ジャポネスク(日本風の趣)を感じ取ることができます。

↑こういうフィギュアもある。かっこいいね!ほかのキャラもあるよ。

・隈取

九代目市川園十郎
歌舞伎十八番押戻1896年5月。市川團十郎 (9代目)
パブリックドメイン
モールのコミックス表紙
Cover illustration by Rod Reis for Darth Maul (2017) #1

モールちゃんの最大の特徴である、顔と体全体に施されたタトゥーからは、日本の歌舞伎における隈取の趣を感じることができます。
隈取は、役柄を示すために様々な形がある化粧法なのですが、モールちゃんのお顔から感じられるのは、筋隈(勇猛な役)茶隈(土蜘蛛など妖鬼の者)の雰囲気ですね。視覚的に一発で「多分こいつメチャ強いやろ」と思わせられる、非常にカッコいい要素です。
そして隈取は、中国の京劇なども連想できます。(もう早速ジャポネスク以外の話しちゃったな。でも彼は、中国武術要素もあるキャラクターです)

京劇はアクロバティックな技(打)が多く、非常にストイックな身体表現が特徴です。モールちゃんの舞うような戦闘スタイルを想起させますね。

モールちゃんの場合は、レジェンドではシスの掟によるタトゥーであり、ジジイ(シディアス、以下ずっとジジイ表記)が彼を裸にして宙吊りにし、その手で頭からつま先まで全部彫り入れたというやばい代物だったのですが(ほんとにコミックでそういうシーンがあんねん)、カノンでは彼の部族ナイトブラザーの文化であり、ダソミアの男の子たちの、シスターに仕える戦士としての風習のタトゥーであるようです。

宙づりの状態でタトゥーを彫られるモールと、彫るジジイ
STAR WARS TALES #24抜粋

ヒョォ……こりゃ正史にできんゎ(やらしすぎ)


もっとも、モールちゃんは幼少期にダソミアを離れており、その際の姿をモール/シャドウロードで確認する分には、まだ顔に少しのタトゥーしかない状態だったので、おそらく成長に合わせて徐々に彫り入れていくものであると見受けます。

なので、やっぱカノンでも、途中からはジジイが入れたんじゃない?
彼を裸にして?吊るして?胸もお尻も臍も足の裏も?
ええ加減にせえよ。
ジジイは人生、さぞ楽しゅうてしゃあないんでしょうなあ。

ちなみに、赤と黒のタトゥーなのか、それとも赤い肌に黒のタトゥーを入れているのかは、設定がどこの何を見てもブレ散らかしており、お好きな方で考えてよさげな雰囲気があります。英語版日本語版のウーキーペディアで書いてることが正反対に違うって、どうなってんだよ。

ん~、私は英語版を信じようかな。そっちのが、エロいからね。

そう、ヤオイ=カノンとは、レジェンドとカノンのいいとこ取り+ちょっとの度胸と下心とルーカスに歯向かう覚悟で構成された嘘の真実
レサン・トワイレック(赤いトワイレック)が希少で美人だってんなら、ナイトブラザーたちを各メディアでざっと見渡しても黄色~濃いオレンジ、朱色までの子が多く、どうやらここまで鮮やかな真紅の子はモールちゃんしかいないようなので、彼はあの種族の中でも、その基準を用いたうえで、相当珍しくて美しい存在なんじゃないか?と思った方が、人生楽しいからです。
楽しもうぜ!ジジイも人生楽しんでいるのだし。
ヒヒヒ、この子は村一番の別嬪やさかい、きっと奴隷として売り飛ばすときに、めっぽう高うに売れるでなあ……(アウターリムの価値観)

※最近出たIcarus(イカロス、イカルス、アイカロスで表記揺れする)くんのフィギュアも赤肌でした。彼はシャドウロードではイエベ秋っぽいオレンジなのですが、立体ではモールちゃんと同じ色のようです。まあ、美男子の影武者ができる美男子ですからねえ。パドメに対するサーベみたいなもんだよ。彼の方がモールちゃんより背が高いですけども。

・能面

能の女面を持つモール
イラスト提供協力:PON氏
雅やね。チューした(事後報告)
彼が持っているのはおそらく小面(こおもて)の面です

モールちゃんのお顔のもう一つの特徴と言えば、ダークサイドの瞳です。
これはジジイ及び、暗黒面に落ちたアナキンも同様なのですが、ダークサイドの力と密になった者の瞳は、赤く縁どられた金色になるという表現がなされています。苦痛と憎悪を湛えたその瞳は禍々しい魅力がありますが、これに似通ったものを、能面の鬼女面の類に見ることができます。

般若の面
般若
出典:イノウエコーポレーション

アナキンは瞳のみですが、モールはさらに角、そして金色に黒い班の入った歯という要素があり、鬼女の面をさらに強く連想させます。

モールちゃんの歯に関しては、どうやら彼のビジュアルの「醜い(悪と恐怖の表現)」とされる部分であり、時々CG作品では採用されなかったりするのですが……私はこれをとても気に入っており、お歯黒のはげ落ちた鬼女の鬼気迫る金色の牙を感じるので、恐ろしくて美しいと思うのです。
なんか、歯が白くないといけないっていう人間の価値観に囚われすぎよ。
それに、彼の性格的に、私より歯磨きの時間は確実に長くて丁寧だと思うぜ。フロスとかちゃんとやってると思う。そういう骨の色の種族なんでしょう。え~、火葬するとき見せて……骨……好きな男の骨って見たすぎ。

モールは橋姫般若などの、もうすっかり鬼だね~という感じです。

橋姫の面
橋姫(はしひめ)
出典:イノウエコーポレーション
(許可ありがとうございます)
しんじゃの面
真蛇(しんじゃ)
出典:イノウエコーポレーション

そして対照的に、アナキンは泥眼(でいがん)の面の、鬼になりかけている初期段階の、美しい女の絶望の表情を連想しますねえ。

でいがんの面
泥眼(でいがん)
個人的に一番好きな面。美しい。
出典:イノウエコーポレーション

とにかく、怨念と恐怖と美が不気味に接続する感覚を持つ日本の伝統文化・伝承と照らし合わせると、モールやアナキンという、怨霊と悪鬼の幽鬼美を持つ美男子たちは、より一層に美しく感じられます。

・漆器

赤と黒と金、モールちゃんのシンプルな三つの構成色が連想させるものとして、日本の伝統工芸品である漆器があります。
漆器は日常的に使用することで漆に艶が出て、優美な輝きを放つのですが、厳しい修行と受難によって洗練された彼の存在感は本当にそんな感じです。
私はモールちゃんのことを、まるで蒔絵のついた漆の小箱が生きて動いてるみたいで、雅だね……と思っているのです。
頭からつま先まで、君ってば完璧にジジイの創造物で、美の化身なんだ。
嗚呼、こんなに美しい肉体の半分をないないしたオビ=ワンって、マジで文化財保護法違反だよ。五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。

モールと梅の枝
イラスト提供協力:PON氏
奥ゆかしいね。チューした(事後報告)

・振袖の武人

服を着るモール
Darth Maul (2000) #1, Illus. Jan Duursema, Rick Magyar, Dave McCaig

↑モールちゃんの衣装の構成がわかる、海外のコスプレイヤーさんコミュニティ用の参考資料サイトのページです。

ファントム・メナスにおけるモールちゃんの衣装は、もはやジャポネスクのみならず、中国、韓国などの影響も感じられる、東洋美(eastern)が複雑に交差する素晴らしいデザインです。当然ジジイが着せていると思う。この服を褒めると、たぶんジジイを褒めたことになる。悔しい。でも、本当に美しいし、私は美に嘘はつきたくない。ジジイのご趣味のよろしさを、潔く認めなくてはなりません。

モールの衣装解説
イラスト提供協力:sobök氏
不機嫌そうにしているね。チューした(事後報告)

武官にも見えるし、忍者っぽくもある。ワザマエ。
彼の実写版のアクターはスタントマンのレイ・パーク氏で、中国武術のスペシャリストです。スタントで参加したのに、あまりにも動きがすごいもんだからそのままモールちゃんの役者に抜擢されたという経緯があります。映画史に燦然と輝く、忘れがたいあの決闘シーンにおいて、彼がひらひらと黒衣を翻しながら舞うように戦う姿は、多くのオタクの胸の中で殿堂入りしていることでしょう。でもねえ、これ以降ひらひらした服、あんまり着てくれないんだよねえ。ハン・ソロ映画でちょっと着てくれたけど。
きっと、ジジイの事思い出すから、嫌なんじゃないかな……
あと、彼が決闘前に脱ぎ捨てるローブですが、なんと袖が振袖みたいな感じになっています。

シス・ローブ
引用:https://crls.501st.com/sld/darth-maul

この引用画像はコス衣装なのでそこまで再現されておりませんが、実際のローブは胴体部に繊細なプリーツが入っており、イッセイミヤケのコレクションかと思うほど美しいです。ともあれ、私は常々、服装におけるジェンダー規範を気にするなんて美において野暮と思っており、振袖を彼が着る上でもかっこええから以上の意味はいらないし、あの宇宙的にもこの衣装に女性的な意味合いはないと思ってはいるのですが、ジジイが着せたとなると、なんかやらしいよねこの服。楚々としたお嬢さんの気品があります。その辺は後々、また詳しく書こうかな。

・仏像

こちらのフィギュア、めっちゃかっこいいですね。
もうこのまま寺に置こう。

モールちゃんの身長は175cmです。
やたら高身長ヒューマン野郎がひしめくSW世界において、近人間種族の男性としてはちょっと小さめかも。ナブーで戦った二名、なかなか巨ジェダイですからね。
全体的に筋肉質ではあるものの、ゴリラすぎず、スマートな印象です。
加えて、あまり脂肪の乗っかった肉感的な印象はありません。
ストイックさの宿る彼の肉体は、ひたすらにかっこいいですね。
この感じの身体バランスは、なんとも仏像的であり、もちろん日本の仏様だけでなく、源流であるヒンドゥーの神々のカラフルな肌に宿る力強さも感じさせます。

アグニ
火の神・アグニ
パブリックドメイン

前回の記事でも彼を阿修羅とドゥルガーに例えましたね。
あちらは内面的なもので、後述でもまた触れたいと思いますが、
彼はビジュアルの面でも力強く神秘的な美を湛えています。

あら、水月観音みたいな座り方してる。
モールちゃんは観音様なんかえ?


余談ですが、私の大学の恩師高倉健の大ファンであり、彼は酔っぱらうといつも「建さんの体は、仏像と同じバランスなんだよお~!かっくいいんだよう!惚れるんだ!」という話をしていました。

高倉健 LP
高倉健 唐獅子牡丹LPジャケット
出典:FanFan

なるほどねえ。今ようやくそういう気持ちがわかったよ、先生。
モールちゃん、ダークサイドだけど侠(おとこ)なとこがあるもんね。
しかし、見る限り男性性への依存とかそれらを誇示する感じはちっともないので、こんなにカッコいいにもかかわらず、彼は性の匂いが薄いですね。
躍動する生命力に満ちた肉体を持ち、エイリアン・エロティカのアイコンでありながら、知的で静謐で禁欲的な方面の色気でも私たちをうっとりさせてくれます。ありがとう、マジで……

・機巧(からくり)

https://otonanokagaku.net/products/karakuri/edo/history.html

モール・シャドウロード フィギュア写真
© & ™ Lucasfilm Ltd. © 2026 Hasbro
ジジイと決別してから、胸元がガバガバのモールちゃん

サムライ、ニンジャ、サイバネ技術。
まあオビ=ワンのせい
なんですけど、彼は再登場時に義足になります。
もうこの辺はジャポネスクというより、ニンジャだな。
やっぱオタクやから、ニンジャアトモスフィアが好きですわ。
筆者はNARUTOとか攻殻機動隊とか……まあそういう日本の漫画を満遍なく愛好しているので、肉体とカラクリの融合は大好物です。和風モチーフって、そういうのになんかマッチしますよね。
ていうか、アタシの好きなタイプの男は基本、サイボーグメカニンジャ
戦いの宿命を背負った半分機械の男ほどかっこいいもんないですからね。

彼のオカンが着けてくれた逆関節の奴も、かっこよかったよね。
オビ=ワンは彼をおへそあたりから切断したんで、当然もう性器はないと思うよ。なんでそこから生き延びれるんだ。そうね、男性の読者の方がいらっしゃったらお聞きしたいのだけど、男の人ってたまに「結局男なんて下半身の生き物さ」みたいなこと言う、しょうもないダンク・ファリ蔵いますよね?上半身だけでメラメラに情念執念怨念万年、囂々と燃やして狂い咲きサンダーロードを生き散らかしてる彼を見なさいよって感じです。

でも、実際エロいことするには、かなりハードル高いね。できんことは無いのだけども。世界観的に納得できる工夫と、トランスフォーマーの男たちを抱いた実績が必要になってくる。ね~、誰もがロボエロに明るいわけじゃないのよ。オビ=ワンには、文化財保護法違反をするにしても、彼の身体をもうちょっと膝の少し上あたりで斬ってほしかったわね。下段を狙ってちょうだい。下段よ。下段で斬ったとこから世界線も分岐すんのよ。
そしたら、現状のように生命維持装置を兼ねたものではなく、通常の義肢になるわけですから、何か意図を以て義足を外したりするとこ見れたかもしれんのに。ケノービとか弟の前でゆっくり外して、ドキドキさせようよ。

しかしですね、SWはそもそも人体切断頻出シリーズ。おベイダー卿ちゃまのそういうやつが公式にありすぎて、オタク女として、ホンマに恐れおののいたもんだよ。みんなベイダー卿ならエロい目で見てもバレないと思っている。バレバレだよ。スケベ野郎どもがよ。

↑これでスケベ心がないというのは無理があるよ。

↑とんでもない。艦これの大破と何がちゃうの。
これが飾ってある居間に義理の両親とかお通しできますか?あんた。
こういう義肢と肉体の境目とか、モールちゃんでも見たいよね……

いけない。ついついアニーちゃんの話しちゃった。
とにもかくにも、そういうお天道様に顔向けできないインモラルなフェチにも寄り添ってくれるのは、ありがたいものでございます。

こんな感じで、彼はジャポネスクと東洋美の化身ですが、別に見た目がアジア人的であるという意味ではないのも、何とも不思議なバランスだなと思います。あくまで彼は、ダソミリアン・ザブラクの男なのです。
その気になりゃあ、東南アジアも南アジアも着こなすさあ。とっても美人な阿修羅で鬼で清姫だからねえ。
絵描き各位、そういう絵を描いたら、速やかに私に見せてください。

浴衣でりんご飴を持つモール
イラスト提供協力:たるんこ氏
浴衣美人。りんご飴食べてるね。チューした(事後報告)

↑この意味わからんツイート見て描いてくれたらしい。かたじけない……

あと、実はモールちゃんって、左耳の軟骨にピアスしている

知ってましたか?

モール 横顔
イラスト提供協力:PON氏
タトゥーを取ると……
モール横顔 タトゥーなし
イラスト提供協力:PON氏
たぶんこういう顔になる。これはこれで美しいですね。
あ、ピアスしてるね。チューした(事後報告)

メタ的には撮影時にパーク氏が外し忘れた私物なのですが、なんかかっこよくていいねという事になり、そのまま彼のキャラクターデザインに組み込まれたものです。左耳の軟骨(舟状窩)、部位名はヘリックスですね。
彼はこの部位に、シルバーのストレートバーベルピアスを着けています。

これねえ、スターウォーズのガチオタでもずっと気付いてなかったっていう人もいるくらいの、すごくさりげない要素でして、彼の事をスケベな目で見ている人間でないと注目しない部分なのでしょうか。
あまり装飾などに関心のなさそうなモールちゃんが、唯一身に着けているアクセサリー類であり、物語上では今のところ一切言及されたことはない、謎めいた部分になっております。本当にずっと着けているので、本人もここにピアスを開けたことを忘れてしまっているのかもしれません。
でも、片耳に手を添え、ピアスを着脱する仕草って色っぽいじゃないですか?ぜひ見てみたいね、そういう姿を。彼の黒いお耳に、シルバーのシンプルなピアスはとても映えますね。気付いた時には、もう恋だよね。
そしてこの、小さな金属片だけが、ずっと彼のそばを離れないでいて、彼の人生を静かに見守り続けてきたのだと思うと、なんだか堪らない気持ちになります。自分で開けたのかな?ジジイが開けたのかな?想像しちゃうね……

私も開けちゃお

開けました。(リンク先は筆者の顔がありますのでご注意)

格安なので、ピアッサーで施術してもらいました。ほんまに病院のお姉さんにモールちゃんの写真を見せ、彼と同じ場所に開けたいんですよねと正直に言いました。だって、それが動機だから。それに、ヘリックスは部位が少し広いので、個人で微妙に位置は調整するものです。
なめなさんなよ。何にも恥ずかしくないね。

開ける瞬間はパチン!という感じで、そんなに痛いとは思わなかったのですが、それは私が尿路結石を複数回経験している激痛屋さんの常連だからで、痛みの価値観が歪んでいる可能性はありますね。

↑このクリニックで開けてきましたよ。パンク野郎御用達みたいな本格的なピアススタジオに比べてかなり格安で、ヘリックスはそんなにマニアックな部位ではないので、対応しているようです。

ヘリックス開けたいな~という話をすると、フォロワーのモールちゃんオタクの人たちが「私も開けてますよ~!」と色々教えてくださったり、海外の方でもそういう人をちらほら見かけるので、モールちゃんすきすきオタクあるあるの行動なのかもしれませんね。ほんまにモールちゃんと同じがいいので、ここ以外はクリップ・イヤリングにしようかなと思います。

ピアスホールの安定には、三ヶ月ほどかかるようです。毎日消毒しているので膿みはしていないものの、実質骨折しているのと同じなので、いま現在も鈍い痛みがほんのりと左耳に宿っており、時々腫れた感じになります。
非常に、幸福で、甘美な痛みです。
彼を感じることができるから。

モールちゃんはザブラクですから、人間とはピアスホールの安定の速度とか、痛みとか、消毒の必要性などは条件が違う可能性がありますね。なんせ、身体を真っ二つに切断され、ごみ溜めの廃材を繋ぎ合わせた義肢で生き延びても致命的な感染症とか起こして死んでないので、ピアスなんて怪我したうちにも入らないでしょう。私はいま左向きに眠れませんが、彼はそもそも頭部全体に複数本の角があるので、どっち向きに寝ても角の問題の方が優先されると思います。

枕に角が刺さるモール
イラスト提供協力:sobök氏
そうなっちゃうよね。チューした(事後報告)

はあ……モールちゃん、いとをかし。
きらきらしく、みやびやかなるおのこにござりまする。

モールちゃんの、視覚的な魅力はここで結構語りましたね。
そろそろ本題中の本題である、彼の内側の魅力に言及したいのですが、

そうするにはまだ、五感はあと、四感も残っている……

食べちゃいたいくらい好きだけど、味覚は我慢するか。
となると、次は聴覚と触角と嗅覚で彼を捉えていきましょうかね。

なに逃げようとしてるの?だめよ。
この酒場がキナ臭いことくらい、あなたもご承知だったでしょう。
出ていくチャンスは最初に与えたはず。
さ、座って。そんなに震えないで、新しいのでも注文して。ウェイター・ドロイドが持ってきてくれるわ。大丈夫?毛布も頼もうか。
そうよぉ、だからそこの壁に、そういう小窓がついてんのよ。
あなたも勘が悪いわねえ。

聴覚も触覚も嗅覚も君を求めている

人それぞれ、アクセシビリティには個人差があります。
故に、五感的感覚を文章に落とし込むことは、モールちゃんに対する私のキショい情熱を、より多くの人に伝える上で、大事なのではないでしょうか。
可能な限り、トライしてみましょう。

モールちゃんは声も素敵だね

日本語版の声優さんは、山路和弘さんです。

大ベテラン声優さんですね。渋い……
世界中の漢(おとこ)とか侠(おとこ)に日本語の声を当てています。
故に、モールちゃんも山路さんの声だと、すんごい侠(おとこ)です。
アニメ作品だと、強いジジイと言えば山路さんみたいなとこもあり、
モールちゃんにもそういう、年齢以上の掠れ・滲み・傷みが宿っています。
間違いなく悪党だけど、武人的な側面を強調した感じの印象を受けますね。

英語版は二人います。
初代がピーター・セラフィノウィッツさん。
ファントム・メナスでモールちゃんの声を担当しています。

ほんまにちょっとしか喋らへんのに、素敵やね……
この記事の一番上の予告もピーターさんです。
神秘的なウィスパーボイスですね。なんていうか、綾波レイみたいだね。
でも本当にこの段階でのジジイとモールちゃんの関係は、旧アニメ版のゲンドウとレイみたいな感じですからね。
闇の狩人とか読んだ印象だと、ファントムメナス時点でのモールちゃんの印象は、「私が死んでも代わりがいるもの」とか言いそうな感じです。
そんな人形の無機質さと純粋さみたいなものを感じられる声です。

↑名著。レジェンズの殺人ドールなモールちゃんを味わえます。

クローンウォーズ以降は、サム・ウィットワーさんですね。

しみじみと、俺をつまらん法事から連れ出して車の助手席に乗せ、窓を少し開けて風を受けながら「あの人らは古いよなあ」とか言うてくれる親戚の煙草くさい叔父さんになってほしい声やね。もちろん父のや。
スモーキーなヴェルヴェット・ボイス
です。
ピーターさんと比較すると、キャラ造形の深度が移行したことによって表出した、モールちゃんの激情や苦痛をにじませておられますね。獣のような唸り声とかも出します。そういう唸り声が出る喉の構造ってことは、気分のいいときに喉をゴロゴロ鳴らすことも可能なのかしら(名探偵)
英語版のモールちゃんはブリティッシュ・アクセントの銀河ベーシック語を話すので、なんていうか、神経質な気品を感じます。

他にもいろんな言語のモールちゃんがいらっしゃいますが、全部語るのは無理なので割愛いたします。
彼のどこを捉えるかが言語や演者によって違うので、面白いですね。
私としては、私の第一言語である、関西弁のモールちゃん聴いてみたい
「け→の↑う↓び」になると思うねんな。

君に触れたいと思う気持ち

顔を触られているモールのフィギュア
モールちゃんのお顔をぷにぷにするsobök氏

オタクは、マテリアルテクスチャーに固執するものです。
べスカーって触ったらどんな感じなんだろうとか、考えません?
グローグーたんの頭のパヤ毛も、撫でてみたいよね。
私の場合、それがモールちゃんの体に向いているだけなんですよ。
何にも変なことじゃない。なんにも。

彼は無毛種族なので、お肌には睫毛以外の毛がなく、すべすべしてそうですね。睫毛は同じく無毛種族のトワイレックトグルータにもあり、実写でも生えてたので、あるものと判断しております。ああ、タトゥーでよくわかんなかったのに、至近距離だとそういう事にも気付く……キュンです。
体温は?ザブラクって心臓が二つあるんですけど、それを考慮すると血行が人間よりはるかに良さそうなので、平熱高めかもしれませんね。冷酷な仏頂面をしていても、抱きしめるとホコホコしてあったかいのかもしんない。
角も触りたいですね。だいたい角が生えてる生き物って、付け根を掻いてあげると気持ちよくて喜ぶらしいので、試してみたいです。
クローンウォーズでは、ナイトブラザーたちは暗いところでは目が光るという生物的な特徴が描かれていましたが、シャドウロードでは光ってなかったな。ねこちゃんみたいでかわいいので、暗闇にポッと浮かぶ二つの光を見て、彼を見つけたいですね。そして撫で繰り回すんだ。

集中して想像すると、モールちゃんだけでなく、こんな魅惑的な質感の美男子がゴロゴロいるダソミアという星はとんでもねえなと思いますよ。クローンウォーズでも、マジであの村、年長者であろう村長に至るまで美男子しかいなくてたまげたもんね。フォールン・オーダーってゲームでナイトブラザーたちと戦えるらしいんですけど、ダソミアの美男子を殺すくらいなら私が死んだ方がいいので、プレイできないと思います。

↑半裸で生活している美しくたくましい男たちの集落……いいんですか?

エンジンあったまってきたぜ。
ここまでくるともう、嗅覚も行くしかないわね。

SWってどうやら美男子の匂いとか考えていいらしい

↑この本、今際の際のベイダー卿が、息子ルークに春の野の花の香りを感じるという描写があります。もちろん、本当に香水みたいな香りがしたというよりは、ルークの温かい愛に満ちた抱擁のオーラ、長く厳しい冬の終わりのような救済の実感を比喩にしたものだとは思うのですが、少なくとも美男子ってどんな匂いなんだろう?っていうのに、言及していいってのは確かだよな。
マンドーさんのイメージ香水もあるようだし。
ええやん。私もやるわ。

・お茶
モールちゃんはシャドウロードで、お茶を淹れるシーンがあります。
デヴォンちゃんという、若いジェダイを弟子に勧誘しようとしているよ。
九龍城砦の龍頭みたいなことをするね。

じゃあ、一杯貰おうかな。

中国茶の茶盤に近い茶器を使用なさっているね。結構な御手前で。
ここで彼が淹れているお茶は、マンダロアカシウス茶です。
プレ・ヴィズラに淹れてもらったものを、気に入ったようですね。
カシウス・ツリーのお花のお茶だそうなので、茉莉花茶みたいなものかな。鉄観音茶などもブレンドしたような香りをイメージしています。
プレやんは、モールちゃんが決闘で殺した男なのですが、敵対関係にある人間でも、認めるべきところは認める。それも彼の性格ですね。
モールちゃんは、湧き上がる怒りを抑えてひとときの静けさと黙考に浸るため、この茶を飲むことを習慣としたそうなのですが、シス卿らしくないね。もはやダース・モール(暗黒卿)ではなくなったが故に、ダークサイドとの付き合い方も、だんだんと彼独自の形になっていったのかもしれません。
いい匂いしそう。この香りは確定でするんだろうな。

・白檀(サンダルウッド)

彼のジャポネスク・及び東方的な神鬼仏を思わせる魅力と、知的でストイックな印象から連想するのは、白檀ですね。
生物的な体臭(フェロモン)なのか生活習慣なのかはさておき、彼からはお寺みたいな匂いがしてほしいんですよね。完全に私の願望だね。
そんでもって、年齢でちょっとずつ変化してほしいぞ。

30代半ばくらいまでは、インドのチャンダンですね。香り強め。
聖なる印象と同時に、クラッとくる魔的な甘さがあります。
チャイハネ行くと、ほぼほぼこの匂いするね。
落ち着きよりも、生命力が前に出ているイメージです。

そんで年取るにつれて、インドの寺から日本の寺へ。
喪失と悲しみの中で得た、夏の和室の静寂の香りです。

夕暮れ、虫の音、古い畳、線香の香り、転がったライトセーバー、タリスマン、解いた帯、伏せた遺影、襦袢の裾。
あの日、お互いに見ないふりをしたもの……

民明書房官能シリーズ「過ち・黄昏の未亡人 いれずみ地獄」

人間的に成熟したというより、よろめきを纏い始めたという感じだね。
伽羅とか乳香も混じってきて、寺を極めてほしい。

・黒革(ブラックレザー)


レザー調
という、革の香りの種類が香水にはあるんですけども、
これはもう、ダソミアの男としての彼のイメージですね。
なめし革のように張りのある、過酷な環境に適応した種族の肌。
半分魔女の血を引く男である彼の肌に凝る、オカルティックな香りです。
このレザーの上に、白檀やお茶が乗っかってほしいわけです。
ああ……考えただけで、エストロゲンがドバドバ出てくる
好きな男の匂いを考えるのは、健康に良いですね。

ドンピシャの香水ってあるの?

上記の三要素に近い香水が実在するかどうか、調べてみました。
案外なんぼかありましたけども、一つ選びましたよ。

Rook Perfumesの「Tea Chest 」

こちらはブラックティー(紅茶)、レザー、インセンス(お香)、そしてオークなどのドライウッドを組み合わせた、「瞑想」をイメージした香水らしいですね。気になるけどめっちゃ海外のだな……嗅いだことある人の意見をぜひ聞いてみたいものです。
ブルガリのBlackなんかも構成がかなり近かったのですが、こちらは廃盤になったようですね。

こんな感じで、五感をフルに使って彼を語ってみました。
あくまで個人の感覚なので、あなたの解釈は違うかもしれないんですけど。
魅力のマトリョーシカのような男なので、ここまで来るのも大変だったわ。

眼が据わってきたわね。
もうこれいらないの?じゃあ私が食べるわ。
スパイスなんか入れてないよお。あれ、嫌いなの。
眠たくない……この星は常夜だから、朝がいつかは自分で決めないとね。
睨まないで。急かさなくても、ちゃんと話すわよ。
ふふふ、確かに。閉じ込めたのは私だけど、
今やここに居たいと思ってるのは、あなたのほうだわ。

彼のファサードは、充分に賛美しました。
さあ、扉を開けて、奥へ進みましょう。

八方塞がり美人の修羅道

ここであの記事のモールきゅんのとこ、読み返してほしいかも。
前回、私は彼をピジョンブラッド・ルビーに例えました。

石としては最高級品ですが、おそらくサイズは指輪くらいです。
一点の曇りもない真紅は彼の偏向的な生育環境によるもので、彼はダークサイドしか知らないため、ライトサイドからの転落すら経験していません。研磨され、カットされ、ありとあらゆる苦痛を刻み込まれた無垢な肉体は、研ぎ澄まされた武術と体術、気品のある所作を湛え、加工物としての洗練された美を放ちます。
美男子は宝石

彼がジジイに、どんな形にカットされたか、教えてあげるね。
ペアシェイプ・カットよ。

そう、血の雫の形です。

究極の神秘性、そしてその喪失

モールという銀河叙事詩の登場人物に対する意見に散見するものとして…

ファントム・メナス以降はあんまり。喋らんほうがかっこよかった

ファン・ボーイの誰か

というものがあります。
これを「まあシリーズ展開って意見分かれちゃうよね」で片付けても、全然成立するのですが……ここで身を乗り出し、この意見を、
「なぜ彼はそれほどまでに神秘的で、そしてその神秘を損なったか」
という問いとして受け止め、紐解いていきましょう。

人造天使(Artificial Angel)という創造物

モノクロ モール
イラスト提供協力:ごちょ氏
何も言わず、私は彼の爪先に口づけた。

散々語ったように、なぜ彼があの静謐な神秘を有していたのかには、はっきりとした理由があると私は考えています。

それは、彼が目的のために創られた存在だったからではないかしら。

使命のためにのみ創造、調律される。その時点でもう、彼はまともな人間、ひいては生命としての扱いを受けていません

それは、天使と人形の製造意図です。

フィクションには時折、そのような生育を受けた生命が現れます。
先述した綾波レイFSSのファティマ、NARUTOの暗部組織「根」に所属する子供など、様々な作品で印象的な存在として登場しますね。
私は彼らの事を、人造天使(Artificial Angel)と仮称しております。

↑そういうのの中で一番好きな作品。おすすめ。
筆者は、こちらの作品に強く影響を受けております。

ファントム・メナスのモールに宿っているものは、そのような人形と天使に共通する、使命と目的のためだけに存在しているという、完璧な神秘です。
つまり、それらが失われること……言葉を持ち、苦痛を自覚し、自分が非人間的に扱われていたという事実に向き合い、自分の意志で主体として生きるようになるというのは、彼が人造天使という人形から、人間になることを意味しているのです。

「なぜ彼はこんなにも強く美しいのですか?」という問いに対する残酷な答え、「老人が彼を使命を果たすための天使として創造したから」。人形は創造主から委棄され、地上の血肉を獲得することにより、苦しみと醜さ、汚れと呪いに塗れながら、生という道を得るのです。

そしてそれは、我々という視聴者を「被虐待児の神秘性に魅せられた人」という加害的な立ち位置にするという制作側の決断でもあります。メタ的に言えば後付けですが、よく考えなくても、22歳の若者があの仕上がりの暗黒卿になるのに、邪悪なことが行われていないわけがないのは薄々わかってたんじゃないですか、あなたたちも。

現実でも、普通にあることですよね。ブリトニー・スピアーズの真実、そしてプリクエルでパドメを演じたナタリー・ポートマンが、幼少期の主演作「LEON」について告白したことなど。我々は、しばしばフィクションや芸能人の、輝きの後ろに隠していた苦しみや搾取の存在と向き合わねばならない時があります。
「悪役に可哀想な過去とかいらない」派の人もいるでしょうが、最低限、それは人造物への祈り、人形美を求める態度であることは、認めてもいいのではないでしょうか。

先ほどは、人造天使に該当する存在を他作品から紹介しましたが、
スターウォーズにはその究極である、クローン・トルーパーがいます。

クローン・トルーパー
引用:ホットトイズ
プロ・クーンとのやりとりが好きな部隊の子

戦いのために創られた存在として、モールとクローン・トルーパーには、大量生産品オートクチュールの違いしかないように思えます。
もちろん、オートクチュールとその制作には、作者の狂気と美学が宿るので、全く同じというわけではないのですけども……(バッド・バッチではカスタムメイド品のクローンもいます)

ジジイが裏で手を引いていたとはいえ、その倫理的な問いを飲み込んだ共和国、そして彼らと共に戦い、自らもまた幼少期から訓練を受け人間的感情の一部を手放すジェダイという存在は、目的のために人間を創造・または再構築し、教育し、部分的に非人間化するという手法において、共犯であるとも言えますね。

でも、モールちゃんは、別にクローンやドロイドじゃないですよね。
ジジイに見つかりさえしなければ、普通の男の子として幸せに暮らせたのでしょうか?
……どうでしょうねえ。彼の場合、地元も結構やばくて……

ダソミアの息子であるということ

引用:https://www.starwars.com/news/star-wars-backgrounds
ダソミア。おそらく昼も常にこういう空の色の星。

アウターリムの惑星ダソミア
モールは、この星のナイトブラザーという部族の出身です。
そうですね、ウーキーペディアに書いてある通りです。

この星は、男性に人権がありません。

「人権ないw」なんてしょうもないスラングで言ってんじゃないの。
母権社会であるダソミアでは、ナイトシスターという女性部族がブラザーたちを支配しており、彼女たちにとって彼らは奴隷であり、種馬でしかないのです。クローンウォーズのS3の13話では、ヴェントレス姐さんが彼らブラザーをめちゃくちゃ粗末に扱い、選別のために試験を行い、殺しまくるシーンがあります。

これね~、なんか話の分からん女たち「グロくない。現実では逆じゃん」とか「女が男を支配するならいいじゃん」とか言われたんですけどね~、私が女性差別に問題意識を持っているのは、「本来は女性が支配層であるべき」なんていうカスみたいなマッチョ思想じゃなくって、「性別による非人間的な扱いは不当な人権侵害であり、自分の中の善性がそれを悪と感じるから」なので、私は性差別のもとに被差別属性として生まれてくるブラザーたちの境遇を、現実の女性である自分の人生に重ねることができます。

つまり、フェミニズムの筋肉をちょっと使います

ほほほ。ここまで読んでたオタク男が急に逃げて行こうとする。
ダメよ逃がさないわ。フェミニズムって言葉がそんなに怖いの、ぼうや。
もっと恐ろしいこと今までいっぱい聞かせてきたでしょ。
座んなさい。
まあでも、別にそれだけじゃありませんよ。奴隷出身のアナキンをはじめ、スターウォーズという作品は、奴隷制度独裁政治をつぶさに描写し、自由を制限されたり、差別されたり、人権を踏み躙られることがどんなに酷いことであるかということや、誰しもに加害的な側面があることをかなり中心に据えて描くシリーズだと、私は思っていますからね。

ナイトシスターたちって、単体で見るとすんごいかっこいいオンニたちなんだけど、地元で平気で人の人権踏みにじってんだよなあとか、そういう視点が生まれますね。

モールは、マザー・タルジンの息子として生まれました。

↑オカンです。198cmある。


シスではないにしろ、ダークサイドの魔女ですから、彼女にも色々邪悪な計画があったようですね。御多分に漏れずナイトシスターとしての価値観を持つタルジンですが、力を求めてジジイと関わったばっかりに誘拐された息子モールには、特別に思い入れがあったようです。
そりゃ無理だよ。ジジイは私の見たところ、完全にゴリゴリの真正ゲイだからね。いくら才能があったって、女の人を弟子にしてくれるわけがないよ。レイアもスルーしたジジイだぞ。

タルジンは、モールの弟・サヴァージを利用し、自分の生命力を削って、身体を半分こにされ、心を病んだモールちゃんを治療しました。しかし、サヴァージフェラルなどにはその愛を注ぐ様子はビタイチなかったので、ウーキーペディアにある通り、彼らが三人ともタルジンの産んだ子だとして、異父兄弟である可能性はあるなぁと思っております。三兄弟、みんな美男子ですけど、美しさの方向性がそれぞれ違うので、見た目的にもそんな感じするな。ここはホンマに想像で言ってるから真に受けないで。でもウーキーペディアも怪しいからなぁ。
もちろん、現実では同親兄弟だとしても長男だけ贔屓する嫌なオカンっていますけども。そういうのに、腹痛めて産んだ子だとかは関係ないんすよ。

私のフォロワーのモールちゃん好きな人の言葉を、要約して引用しますね。

僕は男尊女卑が顕著で、根深く残る地域の出身なんです。
モールくんは、僕にとって、僕の地元の女の子と同じです。
女は男に従い、家事と子供を作ることだけを期待される地元。
お母ちゃんがひそかに、この娘は頭ええから勿体ない……と思ってる。
ある日、気品のある老人が現れて、彼女を地元から連れ出してくれた。

私、自由になれるのかな?大学いける?結婚もしなくていいのかな?

でも、彼女を待ち受けていたのは、養父からの壮絶な虐待だった……

よくある話ですよ。

フォロワー、真夜中のスペースにて

そうだね。
もし、ジジイが来なかったとしても、彼はダソミアの男の子なわけで……
シスターの長であるオカンが贔屓しようと、そこは覆らないはずです。
「女三界に家無し」というように、彼の選べた選択肢は非常に限られていました。それならまだしも、ジジイによって選ぶ権利すら奪われてしまう。そしてそのどちらもが、ダークサイドの闇の道だったのですから、もう八方ふさがりだ。どないせえっちゅうねん。

というわけで、私はここから、「娘(むすめ)」という、現実に存在する中で彼に最も共通性があるであろうリーディング・コードを使って、彼を眺めてみようと思います。
行けども行けども闇ばかり、不幸少女男性・モールちゃんの物語……

邪悪な養父に支配される、モールお嬢さん

先述したリーディング・コードを適用すると、
ジジイとモールの関係は、養父と養女というものになります。
決して後継者などにするつもりはない、人形、道具、おもちゃです。
ですが、作品の出来は作者の評価につながりますから、ジジイは彼をシス卿として徹底的に仕込み、鍛錬し、満を持してナブーでお披露目しました。
彼のためではありません。自分の実力をジェダイに見せつけるためです。
そう、権力者の集まるパーティーに娘を連れて行き、美しい振袖を着せて飾り立て、自分の財力を誇示し、娘の美しさに引き寄せられたものをさらに利用する、そういう……力を持つジジイならだれでもやってきたことですよ。

来賓(貴様ら)は皆、「まあ、ダブル=ブレードが達者でいらっしゃるの。それになんて楚々となさっているの。ほんと、怖いくらい綺麗なお嬢さんだこと!」と感心している。
お嬢さんは、お父様に喜んでもらいたい一心で、きりきりと締め上げた帯の苦しさや振袖の重さ、先日の折檻の縄や鞭による痛み、居心地の悪さを耐え、お父様に恥をかかせないために、苦痛など知らぬかのようにおすまししているのです。それがファントム・メナスだよ。そうだったよな。そうなのさ。(個人的見解)

モールは閉ざされたお屋敷(関係性)のなかで、お父様(ジジイ)だけを縁にして育ち、彼の野望の成就のために生きてきました。認めてほしい、父親として愛してほしいという気持ち(のような、本人も気付いていない何か)も、きっとあったのでしょう。でも、結局は目障りになったとか、半分になって馬の骨ジェダイの手垢がついたとかいちゃもんこいて捨てられ、唯一繋がりを示す弟を殺され、しまいには母親を始末するための餌にさえされてしまうのです。
そして、「細雪」や「斜陽」に見る、お嬢さんのその後の悪さ
お嬢さんとして育った娘は、お嬢さんの生き方しか知りません。
ダークサイドの被害者なのに、ダークサイドの生き方しかできない。
だってそれしか知らないんですもの。
ゆえに、彼は大半の人間にとって、弁解の余地のない加害者です。
嗚呼!お嬢さま、お労しや……

パク・チャヌク「お嬢さん」思い出しましたね。
秀子お嬢様は、美しい着物を着て、来賓の前で官能小説を朗読する。
そして後半露わになる、お屋敷の地下の、おぞましい「お仕置きの部屋」。
まあ、めっちゃキモい性的虐待の描写がありますね。
ジジイもこれに相当することをモールちゃんにやってますよ絶対。

↑「お嬢さん」を帝国主義の破壊譚として語る面白い記事があったので貼っておきます。いい記事だな~。

モールお嬢さんの場合は、秀子のように、スッキという「私の人生を壊しにきた救世主」と出会って、手を取り合い、ジジイの作った邪悪な城からトンズラしましたとさ……めでたしめでたし。なんてことは、できなかったけども……図らずして、彼に対し、ある意味そういう働きをしたものが二名おります。

オビ=ワン・ケノービと、弟のサヴァージ・オプレスです。

つまり、モールの人生の転換と方向性を決定づけた男たちです。この二人を、銀河暗黒不幸少女男性残酷物語における、分割された役割を担った、モールの人生の要として見てみましょう。
交錯&アクセラレーションするので、ちょっと運転荒くなるわよ。

童話「赤い靴」──脱げない呪縛、切断の痛みと引き換えに

アンデルセンは不幸な少女が不幸を極めるのが大好きなので、モールちゃんの事もきっと好きだよ。
寓話としての赤い靴の教訓は、「神様の前やぞ、でしゃばりなさんなよ」みたいなもんだと思っているので、そんなに好きではないのですが、少女を躍らせ続ける脱げない赤い靴というモチーフを、ちょっと抜粋して手に取ってみましょう。

不本意な木こり

ジジイは、モールのことをビタイチ愛してはいませんが、パルパティズム(Palpatism=対象を自らの思う形に再構築し、ときには破壊することで、自らの思想と支配を完成させようとする美学。いま私が作った)の作品としてはお気に入りだと思います。
暗黒面という、脱げない赤い靴を履かせ、彼が踊り続けるのを心から楽しんでいることでしょう。
オビ=ワンは、彼の体を切断し、それは意図せず、モールとジジイの邪悪な絆にわずかなヒビを入れました。まるで少女の足を切断した木こりのように。きっとあのようなことがなければ、モールはジジイのために喜んで死ぬ、そういう人形のままだったのでしょう。
しかし、それだけですっぱりと決別できたわけではない。童話の少女とは違い、モールは足を切断した木こりを憎み、ロソ・マイナーで混乱と動揺の狂気の最中を彷徨い続けました。
彼が明確に、ジジイのお人形をやめたのは、サヴァージを失ったときだと思います。

弟切草を摘む

己の過ちが、弟を殺した。

サヴァージとモール
イラスト提供協力:Mona氏
体格差が戸愚呂(銀河)。チューは遠慮しておこう
きょうだい水入らずなので

サヴァージは、母に愛されぬ子であり、三男フェラルと同様に、母の長男モールへの想いのための道具として使われた存在です。
それはパルパティズムというよりは、ただひたすらオカンの毒親ぶりでしかないのですが、彼は兄を尊敬し、シス卿としてではなく、兄弟として彼のそばにいる意思を持っていました。母の魔力で精神を歪められ、フェラルを殺害したとはいえ、完全に操られた存在ではないと考えています。

美しい。宝石じゃ。
サヴァージは、クラック加工された黒琥珀です。

母により肉体を強化され、精神にも手を加えられたサヴァージは、驚異的な身体能力を持ち、アナキンとオビ=ワンすら手こずらせるレベルです。
しかし、彼の本質は兄弟への愛情にあり、樹液からできた琥珀の温かさを有しています。それは、彼が暗黒面の戦士であることよりも優先される事項のはずでした。

モールはサヴァージからの兄弟という呼称を拒み、あくまで彼を「弟子(apprentice)」としました。各作品において、一貫してモールは、構築できる関係性の形を師弟しか知らないという様に描写されています。

でも、ジジイがサヴァージを斬った時……
モールは「brother!」と叫んだのです。

それは理論だった理解ではなく、その瞬間における、魂の理解だったのでしょう。
サヴァージは、最期に兄に己の不甲斐なさを謝罪しました。
その謝罪が、彼の赤い靴のリボンに切り込みを入れたのです。


それでもまだ、自由になれない。
ジジイに命乞いをし、さらに利用され、ついには母や血族までも皆殺しにされてしまいます。だけど、彼の意思は次第に恐怖と向き合うようになりました。銀河で唯一、彼を彼自身として愛してくれた弟という存在の喪失のもたらしたものが、彼に暗黒卿の称号(darth)を捨て、モール(maul)として生きることを選択させたのです。

まだ舞わされるだろう。
死ぬまで舞うのだろう。
だが、ここからは己の舞を舞う。

彼の生涯にわたる、赤い靴との戦いが幕を開けるのです。

シャドウロードはその辺を描いたシリーズだと思うんですが、
終点はもう描かれているのですよね。
そう、彼の最期です。

砂漠のピエタ

復讐の演舞の末に、彼が辿り着いたのは、かつて自分の足を切断した木こりのもとでした。

反乱者たちでは、モールの最期が描かれています。
短い会話、向かい合う両者、刹那の決闘……非常に黄金期の時代劇を彷彿とさせる、渋いシーンです。勝者はオビ=ワンでした。彼は頽れるモールの体を抱き止め、横たえます。

完全にピエタの形で。


すごいわね。ピエタよ、あんた。
ピエタはキスよりすごいことやからね。

「教えてくれ……そいつが、選ばれし者なのか?」
「ああ(he is.)」
「彼が……俺たちの、仇を……討ってくれる、だろうか……」
「……」

反乱者たち/モールとオビ=ワン

今際の際に、「俺たち(us)」という言葉を選んだモール。
彼らは敵対関係でしたが、「使命に生きるために育てられ、その運命の中でずたずたになった」という共通性において、鏡合わせの存在でした。お互いに最終的にそこにたどり着き、自然と出た言葉だったのでしょう。
オビ=ワンは、息を引き取った彼の瞼を優しく撫で下ろします。
斯くして、モールの受難の旅が終わったのです。

言葉にできない。そのまま受け止めたい。
でも、書くべきことは、最後まで書くわ。
このシーンには、ジェダイの在り方の根幹が描かれていると思います。

聖なる愛の実践

しばしば散見する意見として、観客は「アナキンが許せない。大勢の子供を殺したんだぞ、なんでライトサイドに帰ってきてオビワンの横に並んでるんだ。せめて姿を見せないか、地獄で数万年は罰を受けろよ」みたいなことを言う人がます。

結構よ!怒んなさい!
あんたはそれでいいよ!あんたジェダイじゃないんだから。

でも、ルークはジェダイなんだよ。
私たちは、ジェダイならどうするかって話を観てんだよ。

現実においても、咎人への向き合い方というのは、さまざまな宗教がそれぞれに抱えてきたテーマです。学者じゃねえんだ、そんなに膨大な知識ないから、この辺は各自で調べてちょうだい。自習よ。

でも、そのような観客とルークの関係って、
カラマーゾフの兄弟で見たなぁ~って思うんですよね。

大丈夫。サラッとしか触れない。こんな大作に深入りしない。
読んでなくても大丈夫な話しかしないよ。怯えないで。

かなり乱暴に要約するのですが、カラマーゾフの兄弟では、ロシア正教の僧侶である三男アリョーシャに、次男イワン神の救済というシステムへの批判を投げかけるシーンがあります。

虐待されて命を落とした子供たちと、虐待した大人たちが、最終的には神の愛のもとに平等だなんて、許せないし認めない。ぼくは神の存在は認めるけど、神のそういうやり方がマジで気に食わん。アリョーシャ、ぼくはいまからロシア中で起きた児童虐待事件をお前に紹介するけど、それでもお前は僧侶として、神の愛とかいうの、実践し続けられるかね?」

イワンって確かこんな感じなんだよな(大要約)

イワンの意見は、ダース・ベイダー(アナキン)のような存在への事情は知ってるけど絶対許せないという感情であり、同時にベイダーと同じ暗黒面の罪人でありながら、被虐待児だったモールへの言葉として取ることもできます。
うう、モールちゃん!19世紀の地球とかいう星のロシアって国のインテリ厭世お兄さんが、あなたみたいな子供たちの事、本気で考えてくれてたんだよ!(まさかイワンも遠い銀河にそんな子供がいるなんて思ってなかったでしょうけど)
そして同時に、それは母を殺したタスケン・レイダーたちへの裁きを求め、自らで執行したアナキンにも通じる、反ジェダイ的な考え方です。

で、まあ、カンカンに怒ってるイワンみたいな人に対し、アリョーシャは悩みながら答えを出しましたが(カラマーゾフの兄弟はバカ長え小説だからな)、ルークの答えは「やるよ。愛。自分いけます」って感じなんです。ルークはジェダイとして、父ベイダーに対し、赦しでもなく、裁きでもなく、ジェダイとしての聖なる愛の実践を選択したと私は解釈しています。「父さん助けて!」という叫びは、「思い出して、あなたはジェダイのはずだよ!」という呼びかけです。

数えきれない過ちを犯した人間に、最期にたったひとつ、正しいことをするチャンスを与える。どう正しいか。自分の心に対して。
ルークのすごいとこは、それが息子としての愛と矛盾しないとこですね。
アナキンがずっと助けてほしかったことを、魂で理解しているのです。

ジェダイという宗教は、神や偶像に対する信仰ではないため、「神の愛」ではなく、「聖なる愛」と翻案しました。
そして、救われたかどうかは、愛の実践の対象が選ぶことなんですよ。

オビ=ワンもジェダイだよ。できらあ。
彼もまたモールに、聖なる愛を実践したのです。
師を、想い人を手にかけた仇であるモールに対し、彼の出自を知ってなお、若い頃は「ダークサイドは弱い者の道だ」と言い切ったオビ=ワンですが、アナキンという傷を背負って、考えが変化したのかもしれません。

憎しみに燃えていたころのモールは、オビ=ワンに対し「お前の事だけを考えていた!」と私が大喜びする台詞を言っていましたが、歳を取ってからはオビ=ワンもまた、モールの事を考えるときがあったのではないでしょうか。そして対照的に、モールの人生も進み、憎悪だけの存在ではなくなっていきます。

でも、怒りと憎しみの力しか使えない。憎しみがないと生きていけない。
だからお前の事を思い出すと、戦う力が湧いてくる。
それは、心の中にいてほしいって事よね。支えだって事よね。
そしてそういうものしか頼りのない人間について、考える聖者……

最愛の存在であるアナキンからは幾度も逃げてしまったオビ=ワンですが、モールを受け止めたことにより、覚悟が完了したんじゃないかな。彼は選ばれしものを導くという形で、やり遂げたんだと思います。
そう……ケノービ、奴もまた、宝石……

オビ=ワンは、ブルーペクトライト(ラリマー)です。

水面を石にしたかのような姿をしたラリマーは、オビ=ワンという人の受難の苦痛に屈さず、生涯ジェダイとしてあり続けた姿を彷彿とさせます。過ちが全くなかったわけではない。自分を責めたこともあるでしょう。彼はほんまに年下の美しい男の子たちに人生しっちゃかめっちゃかにされたけど、最終的には二人とも抱きしめてあげたんだよなあ。大した奴だよ。

モールがジジイではなく、フォースに与えられた役目があるのだとしたら、それは「孤独であり続けること」だったのではないかと思います。
でも、彼にはほんのひととき、サヴァージがいました。オビ=ワンも、最期には、いてくれました。ありとあらゆるものを取り上げられ、奪われ、壊され、失い続けた人生だったけれど、彼は生涯を通して、何も持っていないわけではなかったのだと思います。奪われるのと違って、失うって感覚は、それを持っていたという認識がないと生まれないものなんですから。

懺悔の値打ちも無いけれど、君が好きだ

朝だわ。
ひととおり、話したから、今、この星は朝になったのよ。
鍵を開けるわ。好きなタイミングで、もう出て行っていいわよ。
私は残る。もう少し、彼のために祈りたいから。
それしかできない。
それしか、できないのよ。
でも、私は誰かに話したかったの。
ごめんね。ありがとう。

おわりに

お疲れさまでした。ほんまに読んでくれて、ありがとうね。
イラスト提供協力してくださった絵描きさんたちに、深い感謝を申し上げます。美しいモールちゃんたちを本当にありがとう。
シャドウロードのシーズン2がもうすぐ来るわけですけど、もう、いかに彼が苦しんだかっていうのを観るって体験なわけですよね、それは。
モールちゃん……お父様に虐待されるおいたわしいお嬢様だし、恋のような憎しみを燃やす可憐な苛烈さを持つ乙女だし、孤独に修羅の道を彷徨う修道女だし……最高やねあなたは。
私はガチオタってほどの存在ではないの。あなたのグッズ、冷蔵庫に貼るマグネットしか持ってないの。
でも、私は私なりに、あなたの事が大好きよ。
私はパルパティストではないけど、彼を美しいと思う気持ちはそれに一部引っかかってんのかな。悔しいな。

……はぁ…

ジジイ、ぶっ殺してえ~~~。
私が倒してえ。倒すか。
死者の口開いてんじゃねえぞタコがよ。
倒せなくても、なんか一発かましてえよ。
次は対シス皇帝必勝法考察の記事でも書こうかな。

じゃあね。
フォースと共にあらんことを。

おまけ

オタクのモールちゃんイメージソングリストです。
これ聴いたりしながら書いたよ。
YouTubeで音楽聞くというグレーな行為に抵抗がない方はどうぞ。

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