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旅をする理由ーそれは幸せの青い鳥よろしくずっと前から私の中にいたのかもしれないー沖縄旅シニア編⑤

私は今、かなりご機嫌である。

那覇・やちむん通りの軽食喫茶URAHIMにて
店主自慢のアイス黒糖ラテ

2日遊んだ今帰仁村をあとに那覇に戻る。
途中、修復工事の進む首里城に立ち寄り今はここ。
やちむん通りの焼き物屋さんを巡り、暑さをしのぐため休憩中。

いくつか器を買った。

まず少し大ぶりの皿2枚。

直径22,5㎝の皿


直径22,5㎝の皿

この二つはいずれも金城吉広さんの作品。
金城吉広さんは人間国宝 金城次郎の長男敏男さんの三男、つまり孫である。
線彫りの魚紋は祖父の金城次郎から引き継がれた意匠だそう。

金城吉広さんの作品の裏には「広」のサイン

私が金城吉広さんの作品に初めて出会ったのはもう13年位前のこと。
当時東京近郊に住んでいた私は、仕事兼趣味の革細工の材料調達のため
しょっちゅう浅草橋界隈をうろついていた。
秋葉原から浅草橋までウォーキング、途中、面白そうなお店を覗き・・
その道すがらふと入った器のセレクトショップで目に留まったのが金城吉広さんの作品だった。

いずれも直径11.5㎝

ふらっと入ったお店で思い付きで買うにはちょっと高い値段だったが、
どうしても立ち去りがたく、悩んだ挙句に買ったものだ。
お店の棚の奥には同じ作家のものらしい大きなお皿が飾ってあり、
とても素敵だったがお値段を想像するだけできっと無理!とお店を出た。
以来、その少し悔しい思い出は
通奏低音のように心の奥深くで流れ続けていた。

沖縄に行ったら、絶対もう少し大きい金城吉広作品を買うぞ!
私に洗脳されて金城吉広好きになっている夫はこの展開を予想し
空っぽのザックを背負ってスタンバイしている(荷物持ち要員を自覚)
(私は重い荷物を背負っての長時間移動は足の回復状況的にまだ無理)
自分で持ちきれないのにモノを買うなんて私の旅ルールからは外れている。
分かっているけれど、これを買わずに帰るわけにはいかなかった。
そのくらいイメージしていた通りの作品に出会えたのだった。

この皿2枚はやちむん通りに入ってすぐのお店で見つけたものだが、
これを手に入れたときは嬉しくて、
もうこれ以上どこにも寄らず何も見ないで帰ってもいいとさえ思った。


そう言いながらせっかくなのでやっぱりブラブラ。
そしてもう一つの作品に出会ってしまったのであった。

マグカップ
唐草の線彫りが端正で力強く黒の釉薬との相性も良い

こちらは金城吉広さんの作品ではないが
目に飛び込んできた瞬間、
その中に注がれるであろうコーヒーの香りまで妄想してしまった。

飲み口も心地よく大きさもちょうどよい。
上に向かって開く角度がコーヒーの香りをちょうどいい感じで解き放ってくれる。
今でも毎朝、惚れ惚れしながら愛用しているからやっぱり良い買い物をした、と思っている。

この2種類の戦利品を大切に手に抱えてのティーブレイクである。
ご機嫌でないはずはない。

そして後で思えば、私にとっての沖縄旅はここで終わっていたのだった。



今帰仁村・早朝


きっかけとなるような何か「旅の目的ー旅をする理由」があって、
私は(もしかしたら多くの人は)旅に出る。

仮想目的でも何でもいいのだけれど、着地点を決めていないのに
情熱を傾けて旅をすることは私にはできない(憧れはあるけど)。

「旅の目的」は正直なところなんでも良いと思っている。
思い付きでも、長年の夢でも、流行りものでも、自分探しでも、、、
譲れないことはひとつだけ。
それはその「旅の目的―旅をする理由」にワクワク感があるかということ。

私にとっての「旅」の経過を形作る順番は、
①「旅の目的―旅をする理由」があって
②「旅」をする
③「良き旅の思い出」だ。

こうして書き連ねてみるとごく順当なことで
ものすごい発見のようにわざわざ書くほどのことではないか。

でも、
「旅をする理由」に背中を押されて「旅」に出てしまえばこっちのもの。
「旅」はきっと思わぬ素敵な思い出を連れて帰ってくる。

🌸

今回の沖縄旅の目的は何だったのか。
この「沖縄旅シニア編①」にも書いたけれど
「旅の目的ー旅をする理由」は
〈飛行機に乗る練習〉(画策している海外旅復活への第一歩)。
地元最寄り空港から那覇行の直行便が出ているので訪問先は沖縄となった。

離島体験や美ら海水族館、三線体験教室、民謡酒場訪問などは
旅のスケジュールを作りながら後付けしていったアトラクションであって、
旅の着想時には「旅の目的ー旅をする理由」の場ではなかった。
今思うと「やちむん通り散策」だけは「飛行機に乗る練習」に次ぐ2番目の「旅の目的ー旅をする理由」だった気もするけど。

「旅をする理由」であった「飛行機に乗る練習」も、後付けしたそれ以外の目的地も、実際に見たり体験したりしたことで唯一無二の私にしかない思い出となり、今は全部仲良く、私の心の「旅のアルバム」に収まっている。

「旅をする理由」が私を思ってもみない未知の世界へといざない
面白くて豊かで素敵な世界を見せてくれたのだ。
それにより私はこの歳でもなお、人生の枝葉を広げることができている。

「旅をする理由」と「旅」と「豊かで素敵な人生」はワンセット。
そしてそれは旅を終えて時間が経ったときに、
より一層輝いて見える、そんな気がしている。

🌸



還暦も半ばを過ぎた。そして
突然の難病に罹り車椅子生活も経験した。
そんな今の私が思うこと。
それは、


ゴキゲンに旅をしたい。
ただそれだけだ。

私にとってのゴキゲン旅ってなんだろう。

たいそう大仰な目標を掲げてみたりもする。
最近はサクッとツアーに潜り込んだりもする(以前は絶対無い選択肢)。
小さな冒険旅を計画したりもする。
どれもみなこれまでもやってきて、これからもやっていこうと思う旅だ。

歳相応に旅の仕方を選べばきっとそのどれもがゴキゲン旅になる。
もっと言えば旅をすることさえできればそれがゴキゲン旅だ。


でもね
私は、心の隅っこにずーっと棲みついている
〈歳を取らないもう一人の自分〉にこのごろ気が付いた。

その〈もう一人の自分〉がささやく。
「あなたの一等好きなことはこれでしょ」って。
これを求めて旅をしているんでしょって。

それは、
①「おいしいコーヒー豆屋さん」を見つけること。
②お気に入りの器に出会うこと。

ごくささやかで平凡なことだ。
けれど、この二つのことを考えるとき
私はなぜかいつも懐かしい気持ちになる。

ずっと以前から私の心に宿っているこの二つが
案外と「旅をする理由」の根幹なのかもしれない。
落ち着く先はそんなところ。

だから、この沖縄旅で素敵な器に出会った時
私の今回の沖縄旅は終了したのだ。

🌸

次回は読谷村のやちむんの里にきっと行くんだろうなー・・・
なんて小さく思っている私なのである。


次回の沖縄旅は最終話「沖縄で食べた物」編です
続く






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