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私のおばあさん
何もない草原に黒い土があちこちに盛り上がっている。「地面の下はもう春だ」と言っていた祖母を思い出す。明治生まれで、いつも粗末な着物を着ていた祖母。

テレビは一部の家だけで、今ほど天気予報に触れる機会のない時代。「風が変わったから寒くなる」「雨が降る匂いがする」祖母の言う通りになる。幼い私には不思議だった。
「夢枕に立つ」「虫の知らせ」もよく聞いた言葉。「今日は○○が来る」と言うと本当にその人が来て驚いたこともある。
母が乳腺炎の時はジャガイモをすりおろし、酢を加えた湿布。ユキノシタの葉をはがした薄い膜を乳頭に貼ってあげていた。ユキノシタの成分は化粧水にも使われているが、祖母はその効能を知っていたのだろうか。
仕事といえば、山に入って榊やゲンノショウコ、ドクダミを取り薬草店に降ろしていた。
山のお土産は山菜や茸。私が楽しみだったのはギボウシの葉に包まれた木いちご。毎年、キノコの出る場所を知っていて、はつ茸、あみ茸、むらさきシメジ、ホウキ茸、松茸等、籠に沢山。山で熊に出会った話は聞いたことはないが、大きなマムシを捕まえてきたのにはさすがに驚いた。マムシは焼酎漬けになり父が時々飲んでいたようだった。

祖母は自宅から最寄りの駅まで、他人の土地を踏まずに行けるほどの地主の娘で持参金は馬一頭だったと父から聞いた。
今はスピリチュアルと言うと訝しげに思う人がいるが、祖母を思うと虫の音を楽しめる日本人には備わっていた感性ではないだろうか。
今の時代、便利さの中で退化してしまった感覚、日本人の霊性を呼び起こしてみたくなった。
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