女性リーダー研修の企画ステップ・研修会社の選び方
こんにちは。グロービス法人部門 note編集部の上山です。
前回の記事「女性リーダー研修で受講者の意識を変える3つのコツ」では、女性リーダー候補が抱える「目に見えない壁」を乗り越えるための、女性に特化した研修の設計・仕掛けについてご紹介しました。
記事を読んで「自社でも取り組んでみたい」と感じていただけていたら、とても嬉しいです!
一方で、いざ具体的に進めようとすると、
「どのくらいの階層・年齢をターゲットにするべき?」
「経営層への稟議、どう通せばいいんだろう…」
「研修を外部委託したいが、どこに頼むのがベスト?」
といった、実務的なお悩みも湧いてきますよね。
そこで今回は、研修企画を担う皆さまが迷いなく進められるよう、具体的な「企画・実施プロセス」と「研修を外部委託する際のパートナー会社の選び方」について、グロービス経営大学院の研究科長を務める君島朋子監修のもと解説します。

ターゲット選定:「階層・年齢層・人数」の3つの観点で対象を決める
まずは「誰に」受講してもらうかを明確にしましょう。
その際、3つの視点で整理するとスムーズです。
階層:
まずは、主任・課長・部長・役員といった階層ごとに「現状は何名(何%)の女性リーダーがいるのか」「将来的に何名(何%)の女性リーダーを登用したいのか」といった数字を整理しましょう。
その上で、ボトルネックとなっている階層に育成のフォーカスを当てます。多くの企業では「管理職候補(課長手前のリーダー層)」から着手しています。年齢層:
特定の年齢層に絞るか、幅広い年代を対象にするかを決めます。
幅広い年代を対象にする場合は、受講者の背景や課題のバラつきが大きくなるため、研修の目的設定や設計の難易度が高まる点に注意が必要です。人数:
人数(研修の規模)は、実施したい研修の形式とセットで考えましょう。
少人数であれば一人から参加できるスクール通学、大人数であれば、社内の共通言語をつくることを優先して集合研修を行うケースが多くなります。
期間設計:「単発」ではなく「継続的なセッション」にする
女性リーダー研修の期間は、一日限りではなく、一か月~数か月間継続することをおすすめします。
なぜなら、受講者の意識を変え、マネジメントスキルを定着させるという目的においては、学びと実践を繰り返す時間が必要だからです。
また、研修そのものの期間だけでなく、研修後に上長と振り返りを行ったり、受講者同士のコミュニティをつくったりするなど、フォローアップの期間も含めて設計することが大切です。
研修内容:本人だけでなく、上司や組織へのアプローチも視野に入れる
プログラムを設計する際、配慮すべきは「受講者本人」の育成だけではありません。
「上司」や「組織風土・環境」へのアプローチも視野に入れることが成功の鍵となります。
女性リーダー候補がなかなか増えない背景には、上司の関わり方や組織風土が影響している場合も少なくないからです。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
本人: リーダーになる自信や意欲が持てない、自分らしいリーダー像が描けない
上司: 多様性のマネジメントに不慣れで、女性部下に対して「過度な配慮」をしてしまい、適切な挑戦の機会を与えられない
組織: 男性主体の風土が根強く、女性が長期的に安心して働ける制度や空気感が不足している
継続的に女性リーダーを輩出するためには、本人に育成機会を提供することと同時に、上司の育成力を高めることや、組織風土を変えることにも目を向ける必要があります。
経営層との合意形成:5つのポイントを明確にする
女性リーダー研修を成功させるためには、経営層との合意形成が欠かせません。
次の5つのポイントを押さえて提案すると、説得力が上がります。
研修の意義を明確にする: 女性リーダーを育成し、女性が活躍することによる企業側の具体的なベネフィット(視点の多様化、企業イメージの向上など)を示す
目的とゴールを明示する:研修の目的と具体的なゴールを示す(これが、プログラムの成果を評価する基準となる)
研修費以外に必要なリソースを提示する: 予算だけでなく、必要な時間や人材も詳細に見積もり、提示する
具体的なプログラム設計を伝える:プログラムの内容や形式、成果の評価方法について説明する
成功事例を共有する:提案の信頼性を高めるために、他社の成功事例を提示する
パートナー会社選び:講師の質だけでなく「受講者が安心できる環境づくり」や「伴走体制」を重視する
研修の外部委託を検討する際は、5つの多面的な視点で比較検討することをおすすめします。
品質: 講師の実務経験はもちろん、女性リーダー特有の苦労や葛藤を理解し、受講者の心情に配慮ある進行が可能か
費用対効果:期待する研修効果(「受講者の意識の変化」や「マネジメントスキルの活用」など)に対して、納得できる費用かどうか
対応力:自社の研修希望日に対応可能か、複数クラスでも品質を均一に保てるか
担当者のスキル:担当者が自社の経営環境や組織課題、女性リーダー特有の育成の難所を正しく捉えているか、最適な研修プログラムの実現に向けて対等に議論できるか
運営体制:女性リーダー研修では、特に受講者の姿勢や意識の変化が成否を分けることを理解し、事前ヒアリングから事後フォローまで、密に伴走してくれるか
FAQ:女性リーダー研修でよくある疑問と回答
最後に、女性リーダー研修に関するよくある質問にお答えします。
Q.なぜ女性だけ?特別扱いのように感じるのですが…
A.
女性リーダー育成は、特定の層を優遇する「特別扱い」や、単なる「えこひいき」ではありません。
これまでの日本の会社組織では、無意識のうちに男性がリーダーシップを担うことが一般的になり、女性がその経験を積む機会が構造的に限られてきたという背景があります。
この「育成機会の不均衡」を正すための「公正な環境整備」であると捉えてください。
多様な視点が意思決定に機能することは、最終的に組織全体のパフォーマンス向上に直結します。
Q.女性リーダーのロールモデルが社内にいません
A.
一人の理想的なロールモデルを探すのではなく、「目標達成に向けたリーダーシップならAさん」「メンバー育成ならBさん」といったように、部分・要素ごとに目標となる人を探すのがおすすめです。
「部分的なロールモデル」を見つけることで、自分らしいリーダー像をより柔軟に、解像度高く描けるようになります。
Q.管理職志向がなさそうな女性にも、管理職を意識させた方がよいでしょうか?
A.
「管理職になりたくない」という言葉の背景には、実は多様な「志向のグラデーション」が隠れています。
本心から専門職を極めたいケースもあれば、意欲はあってもライフイベント等に伴う時間的制約から「今の家庭環境では難しい」と諦めているケースも少なくありません。
そのため、表面的な言葉だけで判断せず、まずは個々の事情に耳を傾けてみましょう。
制約があっても、能力を発揮できる環境について一緒に考え、中長期的な選択肢を広げていくための対話が重要です。
ここでご紹介した質問は、人事の皆さまが直面するお悩みの、ほんの一部かもしれません。
こちらの記事(8章)では、このほかにも、以下のようなお悩みにお答えしています。
会社の上位層が「数字合わせ」のためだけに女性リーダー育成の取り組みを検討しているように見える
女性リーダー(候補)の上司の認識・理解が足りない
女性本人の意識転換だけで十分ではないように思うのだが…
女性リーダー研修を既に実施したものの、思うような成果が出なかった
受講した女性がどのように変わるのか、受講者の声を知りたい
「理論はわかっても、自社の組織にどう落とし込むべきか…」と行き詰まる瞬間は、どの企業にもあります。
グロービスでは「女性向けの研修ならでは」のご相談も数多くお受けしてきましたので、いつでもお気軽にご相談くださいね。
次回は、メンバーの顔ぶれが変わる新年度こそ着手したい、組織の土台を固める「チームビルディング研修」についてご紹介します。ぜひご期待ください!
※本記事は以下のコラムの一部を再構成しています。
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