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鉄不足、更年期、集中したい人…あなたはどのコーヒー派?|ずるい栄養学#6

「コーヒーは体にいいですか?」

管理栄養士という仕事をしていると、よく聞かれる質問です。

私の答えは、少し困ります。

なぜなら、一番正確な答えは、

「人によります。」

だからです。

コーヒーは、健康に良いか悪いか。

そんな二択ではなく、誰にとって、どんなメリットがあるのかという視点で考えるほうが、今の研究には合っています。

更年期が気になる人。
鉄不足が気になる人。
仕事に集中したい人。
運動を頑張る人。

あなたは、どれでしょうか。

今日は、タイプ別にコーヒーとの付き合い方を考えてみます。

結論| コーヒーは「人によって使い方が違う」

コーヒーの摂取は、糖尿病や心血管疾患、肝疾患など、さまざまな健康上のメリットと関連する研究があります。

ただし、これは「コーヒーを飲めば健康になる」という意味ではありません。

コーヒーにはカフェインだけでなく、クロロゲン酸などのポリフェノールをはじめ、さまざまな成分が含まれています。

だからこそ、

「コーヒーが体にいいか悪いか」ではなく、「自分は何のために飲むのか」

で考えてみる。

それが、コーヒーとの上手な付き合い方だと思います。

① 鉄不足が気になる人なら

鉄不足が気になる人は、コーヒーを飲むタイミングを少し意識してみてください。

コーヒーに含まれるポリフェノールは、食事に含まれる非ヘム鉄の吸収を妨げることがあります。

特に、鉄を意識して食べている食事や、鉄剤を飲んでいる場合。

そこにコーヒーを一緒に重ねるより、少し時間をずらすほうが合理的です。

だからといって、コーヒーをやめる必要はありません。

カフェ巡りが好きな人も多いですよね。

「飲まない」ではなく、
鉄をとる時間と、コーヒーを飲む時間を分ける。

これくらいの工夫から始めてみましょう。

② 更年期が気になる人なら

40〜50代になると、コーヒーとの付き合い方が変わってくることがあります。

コーヒーそのものには、さまざまな健康上のメリットが研究されています。

一方で、カフェインは眠気を抑える反面、摂る時間や量によっては睡眠に影響することがあります。

また、更年期女性を対象とした研究では、カフェイン摂取とほてりなどの血管運動症状との関連も報告されています。

だから、

「更年期だからコーヒーはダメ」

ということではありません。

午後以降はデカフェにする。
一日の量を少し減らしてみる。
飲んだ日の睡眠やほてりの変化を見てみる。

自分の体に変化があるなら、そこに合わせて調整する。

更年期のコーヒーは、「禁止」より自分に合う量と時間を探すほうが現実的です。

③ 仕事で集中したい人なら

仕事中のコーヒーは、とても理にかなっています。

カフェインには、中枢神経を刺激して、眠気を抑え、覚醒度を高める働きがあります。

だから、朝や昼の一杯は、「もうひと頑張りしたい」というときの味方になってくれるかもしれません。

ただし、ここにも落とし穴があります。

夕方以降も何気なく飲み続けていると、睡眠に影響することがあります。

欧州食品安全機関(EFSA)では、健康な成人の場合、1日400mgまでのカフェイン摂取は一般的に安全上の懸念がないとされています。

一方で、就寝に近い時間の摂取では、100mg程度でも睡眠に影響する人がいます。

つまり、

今日の一杯が、明日の集中力を奪うこともある。

集中したいから飲むなら、飲む時間まで味方につけたいところです。

④ 運動を頑張る人なら

アスリートの世界では、カフェインはパフォーマンス向上を目的として活用されています。

持久系運動だけでなく、チームスポーツや高強度運動など、さまざまな場面で運動パフォーマンスへの効果が研究されています。

もちろん、一般の人がわざわざ細かい摂取量まで計算する必要はありません。

でも、

「運動前にコーヒーを飲むと、なんとなく動きやすい」

という人なら、それもコーヒーの使い方の一つです。

ただし、運動前だからといって、カフェインを大量に摂る必要はありません。

まずは、普段飲んでいる一杯が自分の運動にどう影響するかを見てみる。

それくらいからで十分です。

⑤ カフェインが苦手なら「デカフェ」という選択

「カフェインが苦手だから、コーヒーは飲めない。」

そんな人もいるかもしれません。

でも、コーヒーの成分はカフェインだけではありません。

クロロゲン酸などのポリフェノールも、コーヒーに含まれる代表的な成分です。

デカフェにも、こうしたコーヒー由来の成分は残っています。

実際に、デカフェコーヒーについても、代謝や心血管系などへの影響を調べた研究があります。

だから、

「カフェインが苦手=コーヒーをあきらめる」

必要はありません。

睡眠が気になる人。
夕方にもコーヒーを楽しみたい人。
カフェインでドキドキしやすい人。

そんな人には、デカフェという選択肢があります。

私なら、こう飲みます

私はコーヒーが好きです。

だから、毎日飲みます。

でも、「体にいいから飲む」のではありません。

朝、仕事を始める前に一杯。
仕事中に、もう一杯。
夕方以降は、できるだけデカフェ。

鉄を意識した食事や鉄剤とは、コーヒーを一緒にしない。

そして、睡眠に影響していると感じたら、飲む時間や量を見直します。

コーヒーを我慢するのではなく、
コーヒーに自分の生活を合わせすぎない。


私にとっては、それくらいがちょうどいい。

まとめ

コーヒーは、敵でも味方でもありません。

鉄不足が気になる人なら、
鉄をとる時間とコーヒーを分ける。

更年期が気になる人なら、
睡眠やほてりへの影響を見ながら調整する。

仕事に集中したい人なら、
必要な時間に使う。

運動を楽しみたい人なら、
運動前の一杯を味方にする。

カフェインが苦手なら、
デカフェを選ぶ。

同じコーヒーでも、目的が違えば、付き合い方も変わります。

エビデンスが教えてくれるのは、

「飲むか、飲まないか」

だけではありません。

「あなたにとって、どんな飲み方がちょうどいいか」。

健康のために好きなものを全部やめるのではなく、知ったうえで、自分に合う方法を選ぶ。

それが、私の考える「ずるい栄養学」です。

☕️ もうすこし、コーヒーの話


参考資料

・Poole R, Kennedy OJ, Roderick P, et al. Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes. BMJ. 2017.
・European Food Safety Authority. Scientific Opinion on the Safety of Caffeine. EFSA Journal. 2015.
・World Cancer Research Fund International. Diet, Nutrition, Physical Activity and Cancer: A Global Perspective.
・International Society of Sports Nutrition. Position Stand: Caffeine and Exercise Performance.

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