本因坊家を揺るがした宣言!「道策流を継ぐは我のみ」
『秘伝 新撰碁経大全』の「囲碁心持之事(囲碁の心構え)」全20項目の原文(翻刻)と現代語訳を統合した完全版です。
目算を捕る事(損となり勝となりむだのあり、員となり角となり打処あり)
目算(地計算)を正しく行うこと。目算には損得や無駄があり、石の配置や角の形によって正しく打つべき場所が決まるためである。
夫数を勝と考へて打べからず
単に目の数が多いことだけを根拠に「勝っている」と過信して打ってはならない。
あやしきとてせまくなりとおもふべからず
自分の陣形が怪しく不安に見えるからといって、過剰に小さく縮こまって打ってはならない。
よき手とてあやしき打込ある事あり
一見すると良い手に見えても、相手から思わぬ打ち込み(隙を突く手)を受けることがあるので警戒せよ。
先手より打くさどりの打勝にして勝つ
主導権(先手)を握って相手の陣形を切り崩し、優位を保って勝利を収めること。
右成来るといへども又自ら打ありと知べし
相手が勢いに乗って攻めてきたとしても、自ら打開する手が必ず残されていると知るべし。
たとへ業ある時はいよいよ大切ありと知べし
手筋や技がうまく決まりそうな状況のときこそ、より一層慎重かつ大切に打たねばならない。
中に覚ざる打手の有事、自ら気をつくるべし
予期せぬ手を打たれたときは、慌てることなく自ら気持ちを整え直すべし。
上手なりとも囲碁を粗末の用と望むと相手の必要と知べし、用を慎く打べし
たとえ自分が上手であっても、対局を雑に扱ってはならない。相手にとっても大切な一局であることを理解し、礼節をもって慎重に打つべし。
手短なる事、人によく手を尋て基の上下を見るべし
冗長にならず簡潔に打つこと。他者の手をよく学び観察して、相手の棋力の上下(実力差)を見極めるべし。
両角を切は上・下・中と変ず、とき振よりして得と知べし
隅を切る手は状況によって上・中・下の評価が変わる。その場の振り替わり(振り替わりの成否)によって損得を判断すべきである。
作と申者は処手も能~大勢ある事としるべし
定石や構えというものは、局所の手だけでなく大局観(全体の勢力)にも深く関係していると知るべし。
盤上かる時は手をおもからんと念じ打べし、心ふも軽〜打へし、手も重くあるねきなり
盤上の石の配置が軽い(薄い)時は、手を重厚(堅実)に打つよう心がけること。心が浮ついて軽はずみにならず、手筋も堅実で重みのある打ち方をすべきである。
囲碁は心静に打事
囲碁は心を穏やかに静めて打つものである。
井目より九目までの碁は段々打様の相違あり、手をそろ〜打と論ずると言ども、手もしっかり勝ににくきものあり
2子局(井目)から9子局までの置碁では、ハンデの数に応じて打ち方に違いがある。じっくり手を揃えて打とうとしても、相手が堅く打つとなかなか勝ちにくいものである。
立川目向ふてきらふ手あり、打掛るは打付けく打べし、大掴みにして数多く勝ににくきものあり
相手が嫌がる筋やアプローチの手がある。打ちかかる際はしっかりと働きかけて打つべきであり、大掴みな構えだけで多くの地を得て勝つのは難しいものである。
三間の場にてきよう打時、先のおそろしき角の手~手も不料(おもわざる)手〜のり、うふも名の切ぬ手打
急所となる場面で思い切って打つ際、相手の恐ろしい狙いや予想外の手が飛んでくることがある。
二間の碁にてきよう打手は急なる手、大掴みにはあ~いそけち悪手なるさいあ意
二間(の展開など切迫した場面)で打つべきは急場の手であり、大雑把な構えや焦った打ち方は悪手となるので注意せよ。
二間直に打時、大目悪、小目悪、小目吉、是皆伝事之
二間に直接打つ(打ち込む・アプローチする)際、局面によって大目高や無理な小目が悪手となり、着実な小目が吉となる。これらはすべて相伝される教えである。
右御心持折節により法の書を印す者也。初心の気中、当規重古の如件
以上の心構えは、局面や折々に合わせて法則を書き記したものである。初心の心持ちにおいて、古来の規範を重んじることはこの通りである。
(文字起こし・訳 Gemini3)
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出典・秋山仙朴 著『新撰碁経大全 : 秘伝首書』,荒川書屋,明25.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/861286 (参照 2026-08-29)
