現場のムダを減らす「前日の一言」|準備不足から学んだ仕事のセンス
朝一の突然の電話と、現場の現実
現場を管理していると、たまにヒヤッとする瞬間があります。
朝一番に鳴り響く電話。「今日、配管工事に来たんだけど、図面がないからどう施工したらいいかわからないよ」という職人さんからの連絡です。
もちろん、本日工事が入ることを完全に把握していなかったこと、そして図面を完全にクラウドにて共有できていなかったことは、こちら側の大きな落ち度です。弁解の余地はありません。
しかし、その場ですぐに「こうしてください」と答えるのもまた、現実的には難しいのです。正確な指示を出すためには、過去の資料を調べたり、関係各所に確認を取ったりする時間が必要になります。
「正論」の掛け合いが生む、お互いのデメリット
職人さんからすれば、「事前に資料を揃えていないそっちが悪い」と思われるのは当然のことでしょう。仰る通り、こちらのミスです。
ですが、「誰が悪いか」という正論をぶつけ合っても、現場は1ミリも前に進みません。むしろ、返答を待つあいだ職人さんの手は完全に止まってしまい、お互いにデメリットしか生まれない状況に陥ってしまいます。
こちらとしても、予兆のない質問が朝一番に飛び込んでくることで、一日の計画が一瞬で崩れ、それが急遽「最優先タスク」に跳ね上がります。
(ま、そうならない様に対処を事前にしておくのが、何よりも大事なことですが、、)
この状況を回避するために必要なのは、犯人探しではなく「前日の一言」という配慮ではないでしょうか。
ほんの少しの「猶予」が、仕事をスムーズにする
もし前日に、「明日現場に入ろうと思うのですが、配管経路がわからないので図面をいただけますか」と連絡をいただけたら、どうでしょうか。
たったこれだけで、こちらには数時間の猶予が生まれます。最悪、夜のうちに確認を済ませ、翌朝には完璧な状態でお迎えすることができるのです。理想を言えば2日前なら確実ですが、前日であってもお互いのストレスは劇的に減ります。
たとえ相手に非があったとしても、相手の状況を想像して丁寧に言葉を選ぶ。「申し訳ないけれど、明日のために教えてほしい」と一言添える。この「相手を困らせないための配慮」こそが、仕事における本当の「センス」なのだと感じます。
叱責ではなく、誠実さから生まれる「本当の配慮」
配慮のできる職人さんに対しては、こちらも心から「次は絶対に迷惑をかけないよう、もっと慎重に準備をしよう」という気持ちになります。
しかし、強い言葉で文句を言われたり、罵声を浴びせられたりして生まれる反省は、長続きしません。そもそも、改善をしたい気持ちと、怒りに対してのネガティブな気持ちがぶつかり、建設的に次に繋げようとできない未熟な自分が現れるのです。
しかし、相手の誠実さに触れたときに内側から湧き出てくる「申し訳なさ」や「感謝」は、強い原動力となり、次からの自発的な気づかいへと変わっていきます。
叱責では決して得られないこの変化こそが、一回の苦い経験を大きな学びへと変えてくれるのです。
どんな仕事であっても、相手が困らないように先回りして考えること。その小さな配慮を積み重ねていく姿勢を、これからも大切にしていきたいと思っています。
