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3行日記 3/16 才能とは「楽にできて、結果が出ること」 なぜ水木しげるは長生きできたのか

漫画家の世界には、
昔から一つの文化がある。

それは、
「どれだけ寝ていないか」という自慢だ。

漫画家たちが集まると、
こんな会話になる。

「昨日は三時間しか寝ていない。」
「いや、私は三日間徹夜だ。」

まるで、
睡眠時間の少なさを競う大会のようだ。

忙しいということは、
仕事があるということ。

つまりそれは、
売れている証拠でもある。

忙しいほど価値がある。
休まないほどすごい。

そんな空気が、
どこかにある。

だから漫画家は、
無理をする。

徹夜をする。
体を削って描く。

そして実際、
人気漫画家の中には
六十歳前後で亡くなる人も少なくない。

たとえば
手塚治虫。

そして
石ノ森章太郎。

どちらも
信じられないほどの仕事量で
漫画を描き続けた人たちだった。

ところが、
その世界に
まったく違う考え方の漫画家がいた。

水木しげるである。


水木さんは、
徹夜自慢をする漫画家たちを
むしろ少しあきれて見ていた。

そして、
どんなに忙しくても
必ず寝ることにしていた。

徹夜だけは、
絶対にしない。

それが
水木さんの流儀だった。


その結果、
水木しげるは
九十三歳まで生きた。

しかも、水木しげるは、そのあいだずっと面白かった。

でも、
本当にすごいのは
そこではない。

歳をとっても、
作品が面白いのだ。

人は、
無理をすると
どこかで枯れてしまう。

体だけではない。
発想も、
感性も、
だんだん細くなっていく。

けれども
水木しげるの作品には、
年をとっても伸びやかさがある。

無理をしていない。

だから、
枯れない。

長く生きることと、
長く面白いことを作ること。

この二つは、つながっているのかもしれない。

頑張りすぎない。
無理をしない。
きちんと寝る。

それは
怠けることではない。

私も、若いころは
「忙しいほど価値がある」
と思っていた。

でも歳をとってみると、
本当に大切なのは
無理をしないことだと分かってきた。

そして、無理をしないでできること、

かも、きちんと結果が出ること、

それこそが、

自分を生かす才能だと実感している。

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


水木先生はエッセイの中で、
まったく同じようなことを、書かれている。

きっとそれが、
93歳まで面白い作品を描き続けた
理由なのだと思う。

水木先生から、
人生のコツを一つ教わった。





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