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プロの顔した「自費出版ごっこ」に騙されるな。夢を売る印刷屋のメッキを剥がす話

「夢の絵本作家」を安売りするな。自費出版の甘い言葉に隠された毒と真実。


プロの顔した「自費出版ごっこ」に騙されるな。夢を売る印刷屋のメッキを剥がす話


「あなたの夢を形に」なんて綺麗事に騙される前に知っておくべき、本当の絵本づくりの話



「あなたの絵本作家への夢、私たちが叶えます」

Webサイトを開けば、耳に心地いい言葉がずらりと並んでいる。創業50年の実績、最高賞の受賞歴、8,000本以上の出版経験……。いやあ、立派な肩書だ。画面の向こうで「お気に入りの絵本を参考にノートへまとめてみましょう」「仮のタイトルをつけるとワクワクしますよ」なんて、まるで優しく手を取ってくれる先生のような顔をして語りかけてくる。

だが、甘い言葉に酔いしれる前に、少しだけ冷や水をぶっかけさせてほしい。

自費出版ビジネスのの本質は、身も蓋もない言い方をすれば「金を払えば誰でも作家になれるアトラクション」だ。

自動見積もりボタンをポチポチ押して、自分の財布と相談しながら部数やサイズを妥協する。半金を振り込んだ瞬間に、プロのデザイナーがレイアウトを組んでくれて、立派な校正紙が家に届く。手に取った瞬間、「あぁ、私、本当に絵本作家になるんだ!」と胸が高鳴るだろう。その高揚感自体を否定するつもりはない。自分の生み出した作品が形になるのは、間違いなく素晴らしい体験だ。

けれど、勘違いしてはいけない。お金を払って印刷してもらったからといって、あなたが「プロの絵本作家」になったわけではない。ただの「豪華な自慢の一冊を作った顧客」だ。

厳しいことを言うようだが、全国流通や書店配本という言葉にも毒がある。「全国の書店に並びますよ」と聞くと、まるでTSUTAYAや大型書店の平積みに自分の絵本がズラリと並ぶ姿を想像するかもしれない。しかし現実はどうだ? 注文があれば取り寄せられる状態になるか、あるいは地方の小さな書店の棚の隅っこに数冊挿される程度が関の山だ。誰も存在を知らない本が、棚の奥で静かに埃をかぶっていく。

結局のところ、出版社側が本当に提供しているのは「印刷技術」と「作家気分を味わえるパッケージ体験」であって、あなたの作品を売るための熱量やプロモーションではない。どれだけ最高賞を受賞した印刷技術があろうと、売れるかどうかは完全にあなた任せなのだ。

だからこそ、もしあなたが本気で作品を世に問いかけたいのなら、この「お仕着せの夢パッケージ」を逆手に取るくらいの毒と覚悟を持たなければならない。

「予算がオーバーしたら妥協点を探しましょう」なんていう印刷屋の都合に流されるな。色味にこだわるなら、意地でも本機校正のオプションを要求して、職人と刺し違える覚悟で刷り色を追い込め。「プロの装丁」に甘えず、自分の世界観を完璧に再現するためにデザイナーを使い倒せ。

自費出版は、甘やかしの温床にもなれば、最強の武器にもなる。

綺麗事に騙されて「お客様」としてチヤホヤされたまま終わるか。それとも、金を払って職人たちを従え、エゴと拘りを詰め込んだ狂気の作品を世に叩きつけるか。

選ぶのは、他の誰でもないあなた自身だ。

〈了〉



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