”Nighttime Delivery”「自分が書きたい文章」という呪い〜市場を無視した一人よがりなポエムの末路〜
「書きたいこと」を垂れ流すな。プロは読者の欲望を金に換える
「自分が書きたい文章」という呪い〜市場を無視した一人よがりなポエムの末路〜

紙面を買い取る読者を舐めるな。プロの売文業とアマチュア自慰行為の絶対的断絶
新聞でも、雑誌でも、そして商業小説でも、金を取るメディアに共通する絶対の真理がある。
プロの仕事とは「他人が金を払ってでも読みたいと思う文章」を作ることだ。
対して、アマチュアの仕事(あるいは趣味)とは「自分が気持ちよく書きたい文章」を垂れ流すことに過ぎない。
この単純で残酷な構造を理解していない自称・書き手が、世の中にはあまりにも多すぎる。
彼らは「自分には語るべき素晴らしいストーリーがある」「この思いを世界に伝えたい」と、熱っぽく自説や設定を語り出す。だが、厳しい現実を突きつけてやろう。見ず知らずの他人の脳内や、誰も頼んでもいない個人的な思いに、1円たりとも価値はない。
新聞記者は、読者が「今、知りたい事実」や「社会の膿」を掘り起こすために足を棒にして取材する。雑誌ライターは、読者が「思わず目を留めてしまうゴシップや実用情報」を血眼になって企画化する。そこにあるのは徹底した「顧客ファースト」であり、読者の欲望に対する忠誠心だ。自分自身の「書きたい欲」なんてものは、原稿用紙の隅にすら存在しない。
ところが、アマチュア作家はどうだ。
読者が何を求めているか、どんな感情を味わいたいのかという「市場の視点」をすっかり欠落させたまま、己の性癖や自己満足のポエムを原稿用紙に叩きつける。そして、それが売れなかったり選考に落ちたりすると、「時代の目が追いついていない」「大衆にはこの良さが分からない」と本気で宣うのだから笑わせる。
プロとは、欲望の調達業者だ。
読者が抱く「スカッとしたい」「泣きたい」「不気味なものを覗きたい」という暗い欲求を察知し、それを緻密な技術でストーリーという商品に加工して売りつける。自分の書きたいことなど二の次、三の次だ。読者の頭の中に滑り込み、その時間を心地よく奪うことだけに命を削っている。
「自分が書きたいから書く」のは結構だ。趣味のブログやノートに鍵をかけてやっていればいい。
だが、他人の財布から金を取り、時間を奪おうとするプロの土俵に上がりたいのなら、そのナルシシズムに満ちた「書きたい欲」を今すぐドブに捨てろ。読者の「読みたい」にどこまで命を懸けられるか。プロとアマの境界線は、いつだってその一点にしか存在しない。
〈了〉
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