あいつの夏
高校に入ってから
あいつとは連絡をとっていない
野球部の強豪校に入り、寮生活
スマホも家に置いていった
そして、今日
テレビにあいつが映った
甲子園のマウンドに立っていた
久しぶりにみるあいつは
ずっと大きくなっていた
背も肩も顔つきも
試合が終わり、あいつは
甲子園の土を握りしめていた
俺もなんか泣きそうになった
大きくなったのは体だけじゃない
三年間俺の知らない場所で
こいつはずっと戦っていたんだ
「......すげぇな」
テレビの中の背番号を見ながら
俺は小さく呟いた
「負けてられないな」
(おしまい)
