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元証券マン、投資デビューまで12年かかりました

証券会社にいたのに、自分で銘柄を選んで株を買ったことがなかった。

こう書くと、たいてい驚かれる。

でも本当の話だ。
新卒で証券会社の営業の仕事を始めてから、実際に自分の意思で株を買うようになるまで、12年かかった。


証券マンなのに、株が買えない

証券会社に勤めていた頃、社員が個人的に株を買うには、いろいろな手続きが必要だった。

まず、会社に口座を作る。
買いたい株があれば申請書を書き、上司のハンコをもらう。
承認が下りて、実際に買えるのはだいたい3日後。
指値注文もできない。

売るときも同じ流れだった。
売りたいと思ったら申請書を書き、上司のハンコをもらう。
承認が下りて、実際に売れるのはだいたい3日後。

上司のハンコというのも、ハードルが高い

先輩が申請書を出しているのを見て、
「えー、お前そんなの買うの?」とツッコまれていた。

お客様には、投資信託やファンドラップなど株以外の商品を勧めることが多かった。
手数料率が高く、契約1件がいろんなノルマに計算されたからだ。

私が体感した証券マンとは、投資商品を売る仕事だったんだな、と今は思う。
自分が買えない、試せないものを売るって難しかった。

それでも株はちょっと特別だった

株式を提案することも、もちろんあった。

郵政3社、JR九州。
大型上場があるときは、営業店全体がお祭りのようだった。

そういえば、
営業店の中で、こんなイベントをやったことがある。

月初に1銘柄決めて、月末に一番値上がった人が優勝!

若手に株式への意識をもってもらおうというねらいだったような気がする。

優勝したのは、新人の私。
惚れ込んだ銘柄だった。

ただ、残念ながら私のお客様には買ってもらえなかったけれど。

教員になっても、動けなかった

教員に転職して、株取引の制約はなくなった。
証券マンだった頃の「3日待ち」も「上司のハンコ」もない。
理屈の上では、いつでも好きなときに株が買えるようになったはずだった。

でも、忙しすぎて、相場を見る余裕がまったくなかった

子どもができた。
2022年、育休を取ったときは、ようやく時間の余裕ができたように見えた。
日中に相場を見られるタイミングも、確かにあった。
日経が急落したというニュースを見て、「おっ」と思うことはあった。

でも、それだけだった。

子育てのお金のやりくりで頭がいっぱいで、投資に回せるお金なんてどこにもなかった。
この子を育てることを思うと、当時の貯金には手をつけられなかった。

時間はあっても、お金がなければ何も始まらない。

証券マン時代に散々見てきたはずのことを、自分の身で初めて実感した。

復帰4年目、ようやく

育休から復帰して4年目になる。
貯蓄がある程度進み、多少のリスクを取れるようになった。

子どもは少し落ち着いたけれど、バレエを始めたりして、お金がかかることは相変わらずだ。

それでも、ようやく投資に回せるお金と、相場を見て考える時間の両方が手に入った。

じゃあ何を買おうかな。

流行りのあの銘柄を、1株だけ買ってみる。
値動きの激しさに、少し利益が出たら売った。

意外と小心者なのかもしれない。

でも、本命は…私の中では一択だった。

新人証券マンだった私が当てた、あの株

12年前に学んだ、買い時を見極める指標をいくつか思い出した。
当時、一生懸命「この株を勧める理由」を考えた自分を思い出した。

数字を見ても、感覚的にも、
いいタイミングの予感がした。

ドキドキしながら、買い注文を出した。

ほぼ含み損を抱えることなく、上がり続けた。

2か月後、ひとまず利益を確定させた。

もちろん、たまたまタイミングが良かっただけかもしれない。
次に買う株が、同じように上がる保証なんてない。

それでも、少しうれしかった。

新人の頃、「この会社はきっと伸びる」と選んだ株を、12年後の私は、自分のお金で買うことができた

証券会社を辞めて、教員になって、子どもが生まれて。

投資を始めるまで、ずいぶん遠回りをした。

でも私に必要だったのは、投資の知識より先に、
投資に回しても大丈夫だと思えるお金と、考えるための時間だったのだと思う。


元証券マン。

投資デビューまで、12年。

ようやくスタート地点に立った。


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