「今日の結果は、昨日までの努力で決まる」元証券会社員の教員が、最後の5分を大切にする理由
ずっと、頭の中に残っている言葉があります。
「今日の結果はアポが全て。
アポは昨日までの努力の結果だ。」
大きな取引は、電話一本では決まらない。
だから、アポ(直接会う約束)が大事になる。
そして「今から会いましょう」なんて約束をするのは、親しい人だけ。
つまり、今日の結果は、昨日までに取りつけたアポで、決まっている。
教員に転職して8年目。
今の仕事で「アポ」という言葉を使うことは、ほとんどありません。
けれど、あの頃の「アポの準備」は、今の私にとって「最後の5分の仕込み」へと姿を変えて生き続けています。
この言葉は、新卒で入った大手証券会社で出会った、上司の言葉でした。
丸の内のOLに憧れて選んだはずの会社。
でも最初に配属されたのは、地方の営業店でした。
毎日課せられる予算というノルマ。
上司からの厳しい叱責。
「こんなはずじゃなかった」という思い。
その上司は、熱量のある人でした。
今の私と同じくらいの年齢。
とても優秀な営業マンで、若くして管理職になった人でした。
当時の私は、ただ必死。
この言葉の意味を、ゆっくり噛みしめる余裕なんてありませんでした。
でも今、教員に転職し、シングルマザーとして働くようになってから、この言葉の重みを一番実感しています。
忙しい人の朝に、「考える余裕」はない
金融の世界も、教員の世界も、朝から一気に仕事が動き出します。
ワーママとしては、子どもを起こして、着替えさせて、朝ごはんを食べさせて、機嫌よく送り出すだけでも、すでにかなりの段取りが必要ですよね。
職場に着いてからも、メールの確認、突発の対応、誰かからの呼び止め。
デスクに座って、「さて、今日は何からやろうか」と考える時間は、まず存在しません。
だから、「朝に考える」では間に合わない。
定時に出勤し、定時に退勤するためには、朝の自分に判断を残しすぎないことが大切だと思っています。
私が定時出勤・定時退勤を続けられているのは、頭が良いからでも、仕事が速いからでもありません。
昨日の自分が、今日の自分を助けてくれるように、少しだけ仕込んでいるからです。
「最後の5分」は、次への仕込み時間
私が意識しているのは、何かの終わりを、ただの締めくくりで終わらせず、次への「仕込みの5分」に変えることです。
①授業の終わりの5分
授業の最後を「今日はこんなことができたね」で終わらせません。
「次の国語の時間は、これをするよ」という一言で締めます。
時間に余裕があれば、次のめあてもノートに書かせてしまいます。
子どもたちが見通しをもち、楽しみになるのです。
「先生、次何するの?」という質問攻めが減るのも、正直助かっています。
「次はこの勉強をするんだ」とノートを開いた状態で、次の授業が始められるのです。
②帰りの支度の5分
子どもたちが帰りの支度をしている間に、私は教室を「朝バージョン」に整えておきます。
翌朝の動きを黒板に書いておく。
明後日の予定をホワイトボードに書いておく。
宿題などの提出物を出せる場所を用意しておく。
翌朝、子どもたちが教室に入った瞬間から、私の指示がなくても動き出せる状態にしておく。
これは、翌日の自分のためだけではありません。
万が一自分が休むことになっても、職場の人たちが、とりあえず朝の流れをつかめます。
子どもたちが朝の支度をしている間に、代わりに入る先生と「今日は何をするか」を確認する余裕も生まれます。
自分がいないと回らない状態を、少しだけ減らしておく。
それも、この5分の意味です。
③職場を出る直前の5分
今度は、明日の自分が迷わず動き出せるようにデスクまわりを「明日の
朝バージョン」にしておく。
翌朝のToDoを付箋に書いてiPadに貼っておく。
明日処理が必要な書類をPCに挟んでおく。
「明日はここからスタートだ」自分に言い聞かせてから職場を出ます。
朝の自分に、考えさせすぎない
朝の自分は、思っているより頼りになりません。
眠い。
急いでいる。
子どもの機嫌が悪い。
職場に着いた瞬間から「待ってました」と飛び込んでくる「至急」
そんな状態の自分に、「今日、何からやるんだっけ?」を考えさせるのは、なかなか酷です。
しかも、仕込みをしていない日に限って、朝イチの小さなトラブルが重く感じます。
「先生、水筒がちゃんとしまってなくて、ランドセルがびしょびしょです」
そういう出来事は、どんな日にも起こります。
ただ、頭の中も机の上も準備できていない日は、それだけで一気に余裕を持っていかれる。
偶然ではないのかもしれない、と最近は思っています。
だからこそ、
前日の自分ができるだけ道を作っておく。
明日の朝に見るものを決めておく。
明日の朝に動く順番を決めておく。
明日の朝に迷わない状態を作っておく。
それだけで、朝の重さは少し変わります。
通勤中に、頭の中でリハーサルをする
ここまで仕込んでいるからこそ、朝の通勤中に「今日の動き」を頭の中でなぞることができます。
電車通勤だったころは、スマホで授業準備したりニュースを読んだりする余裕がありました。
今は娘を保育園に送り届けてから自転車で田んぼ道を爆走しているので、そんな余裕はありません。
でも、それでいいのだと思っています。
「今日まず何をするか」だけを頭に入れて、走り出す。
仕込みが終わっているから、それだけで十分です。
職場に着いた瞬間に、迷わず動き出せる。
特別なツールを使っているわけではありません。
大事なのは、完璧なタスク管理ではなく、「昨日の自分が、今日の自分にバトンを渡す」という意識だと思っています。
明日の自分を、少しだけ助けておく
忙しい毎日を、どうにか回したい。
そう思っている方に、この小さな「逆算の段取り」が少しでも届いたら嬉しいです。
昨日までの自分が、今日の自分を助けてくれる。
今日の自分が、明日の自分を助けてくれる。
そのバトンは、大きなものでなくていい。
机の上に置いた書類。
iPadに貼った付箋1枚。
黒板に書いた明日の予定。
朝いちばんに困らないための、小さな準備でいい。
証券営業時代、上司に言われた言葉の意味が、今なら少し分かる気がします。
今日の自分を助けてくれるのは、昨日までの自分。
明日の自分を助けられるのは、今日の自分。
最後の5分で、明日の自分にそっとバトンを渡しておく。
それだけで、明日は少し違って見える気がしています。
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