ドサクサ日記 1/12-18 2026
12日。
「大人」というのは制度の上では18歳に引き下げられたが、いわゆる四十路や五十路の精神がこんなにも未熟なのかと、自分という人間を観察しながら思い知る。俺が子供の頃は大人たちがもっと成熟しているように感じていたが、それは幻想だったのだろうか。ひょんな流れで映画『ズートピア2』を観に行くことになった。狸や猿が出てこないので、もう一悶着あると思う。
13日。
8ottoのTORAちゃんと打ち合わせ。いろいろなことを話した。バンドも人生も一筋縄では行かず、改めて複数人が集まって音楽活動を続けることの難しさというか、ままならなさを思うと、逆説的にその「ありえなさ」が浮かび上がる。誰でも簡単に「クソだ」くらいは言えてしまうし、表現というのはそういう言葉も受け入れることを含むが、美しさを噛み締める側に居たい。
14日。
運動をするとしばらく経ってから筋肉痛が来る。今になってはじまったことではないが、回復や代謝など、身体に関するあらゆるスピードが落ちていると感じる。生き物としての、身体的なピークは過ぎ去った。放って置くとゆっくりと体力は落ちていく。それならばとジムに通って、この加齢に抗う気持ちはない。でも、ゆっくり呼吸を合わせて、年齢や身体と向き合いたい。
15日。
藤枝へ。機材の多いグループが来た場合にも対応できるように、倉庫の棚のレイアウトを考える。アンプやドラムなどの楽器には個体差があって、数があることがバリエーションに直結する。けれども、その数を支えるほどの床面積がないのが悩み。タワマンみたいに延べ床面積で対応するしかないが、高さにも限度がある。こういう制限のなかで工夫することは、案外楽しい。
16日。
新曲のミュージックビデオ撮影。建さんが「俺も出たい(意訳)」と言ったために、稼働時間が増えてしまった。忙しさにかまけてよく台本をチェックしていなかった俺が悪いが、朝イチからラーメン屋の格好をさせられた。煮え切らない気持ちでいたが、俳優のYさんがキリッとモードを変換させる場面を見て、頑張らねばと思い直す。さすがのプロの仕事。それは各セクションの技術者も同じ。自分の新曲なのに不本意な顔をしているのもダサい。というか、失礼だと思う。やるならフルスイングしたい。撮影後は都内のスタジオにひとり出向いて、この日に撮影した新曲のミックスチェック。自分でPro Toolsを触れるようになってから、変化させたい部分についての言語が増えた。身体言語も含んでいるので、立ち会わないと通じないところがある。
17日。
岩手県の水沢江刺へ。新幹線のホームで国技館の焼き鳥を持っている爺さんとすれ違った。爺さんはビニールに入れず素手で焼き鳥の箱を握っていた。これはホームで売っているなと直感した。KIOSK的なショップに入ると国技館の焼き鳥が積み上がっていたので、お土産に5つ買って新幹線に乗り込んだ。奥州のback stateという新しいライブハウス。オーナーと知り合ったのは2011年のこと。大船渡と陸前高田への炊き出しに向かう際に、水沢江刺から現地まで送っていただいた。それからフェスに出展しているオーナーの千田さんと年に何度か顔を合わせるようになり、彼の経営する萬福食堂でイベントをするという約束をして、随分と時間が経ってしまっていた。そうこうしているうちに新型コロナが蔓延して大変なことになったが、千田さんは苦境のなか、仲間たちとライブハウスを作った。火事場のクソ力と呼ぶにはもっと切実な、人生を転がし続けるエネルギーの強さを感じた。人柄というか人間力というか、包容力ゆえの事業だと思った。ツアーで東北や三陸の沿岸部に行きたいが日程を組むのが難しい、と考えているバンドやアーティストはback stateをひとつのハブやコモンだと考えて、相談してみてほしい。


18日。
早朝に飛び起きて、千田さんに送ってもらって帰宅。深夜に食べた鰹の藁焼き(韮醤油)を脳内で反芻する。我々の味覚や消化器官が対応する形で、実際に食物を反芻することができたら、人間の幸福度は爆上がりするだろう。美味しいものをガムのように噛み続けられたら最高だと想像する。でも、なんというか、飲み下すときこそが幸福度MAXな気もする。飲み込む幸せ。

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