見出し画像

食費の改定をご家族へ伝える手順|お知らせ文の作り方と周知の進め方

請求書の金額が先月と違うのですが、と電話が入ってから、こちらが説明の言葉を探す。食費や居住費の見直しがあった月に、事務所でよく起きる場面です。悪気なく聞いているだけなのに、答える側が準備できていないと、不信の入口になります。


2026年8月から、施設サービスの食費にかかる基準費用額が見直されました。公表されている資料では、1日あたり1,445円から1,545円へ、100円の引き上げとされています。近年の食材料費の上昇を踏まえた改定と説明されていますが、対象になる方の条件や、負担限度額認定を受けている場合の扱いは一律ではありません。金額と適用範囲は、厚生労働省の通知とお住まいの市区町村の案内で確認してください。


事務として重いのは、改定そのものではありません。対象になるご家族一人ひとりに、同じ内容を、同じ時期に、行き違いなく届けるところです。今日は、お知らせ文を作って配り終えるま
でを五つに分けて並べます。どれも今日から試せます。



その1 誰に出すのかを先に一覧にする


文面から作りたくなりますが、順番が逆です。まず、今回の改定で負担額が変わる方と、変わらない方を分けてください。


当社で作った一覧は、氏名、部屋番号、請求書の送付先、連絡がつきやすい方法、負担限度額認定の有無、この五列だけです。表計算ソフトで十分でした。ここを飛ばして文面を先に作ると、認定を受けていて金額が変わらない方にまで値上げのお知らせが届き、あとから訂正の連絡をすることになります。実際、当社も最初の下書きでは全員に同じ文面を送るつもりでいて、一覧を作る段になってようやく二通りに分けるべきだと気づきました。



その2 お知らせ文の骨組みを決める


骨組みは六つで足ります。何が変わるのか。いつから変わるのか。いくらになるのか。変わらないものは何か。問い合わせ先はどこか。返事や確認が必要なら、その期日はいつか。


このうち抜けやすいのが、変わらないものは何か、の一行です。食費の話をしているのに、家族の側は介護サービス費や居住費まで上がるのではと受け取ることがあります。今回変わるのは食費の部分だけです、と一文入れておくだけで、問い合わせの数が目に見えて変わります。骨組みが決まってから、初めて文章を書き始めてください。



その3 文面の下書きはAIに作らせる


骨組みができていれば、清書はAIの得意分野です。頼み方の例を置きます。


次の内容を、福祉施設の利用者ご家族向けのお知らせ文にしてください。読み手は八十代の入居者のご家族です。専門用語は使わず、六百字程度、敬体で。冒頭に何が変わるかを一文で書き、そのあとに理由、金額、開始時期、変わらない項目、問い合わせ先の順で並べてください。お詫びの言葉を過剰に重ねず、事実が先に伝わる書き方にしてください。そのうえで、材料として一覧に入れた項目を渡します。


出てきた文章は、そのまま出さずに読み直してください。制度の説明部分にAIが一般論を足してくることがあります。当社の一回目の下書きにも、公表資料には書かれていない補足が一行紛れ込んでいて、公開前に削りました。数字と制度の記述は、AIの文章ではなく、行政の通知を横に置いて突き合わせる。ここだけは人の作業として残します。



その4 紙と連絡手段の二本立てで配る


紙だけだと、面会の少ないご家族には届くのが遅れます。連絡アプリだけだと、使っていない方が取り残されます。二本立てにしてください。


当社は、請求書に同封する紙のお知らせを正式なものとし、公式LINEで同じ内容を先に流す形にしました。先に流す理由は単純で、請求書が届いてから知るのがいちばん驚かせるからです。配信のときは、一覧で分けた二通りを取り違えないよう、送信前に別の職員がもう一度突き合わせています。



その5 聞かれることへの答えを先に三つ書いておく


問い合わせは、たいてい同じ三つに集まります。なぜ上がるのか。うちも対象なのか。手続きは要るのか。


この三つの答えを、電話に出る職員が読める形で事務所に置いてください。全員が同じ言葉で答えられる状態にしておくのが目的です。答えが決まっていない質問が来たら、その場で推測せず、確認して折り返す。そのほうが結果として早く終わります。当社では、この三問を紙一枚にして電話機の横に貼りました。



安心して使うための3つのルール


・名前や個人情報は、仮名にしてから渡す

・AIの出力はたたき台。使う前に人が確認する

・制度や法令にかかわることは、公的資料や専門家で確認する


ルールが3つで済むのは、判断を人の側に残しているからです。



この記事で決めてほしいこと


決めることは一つです。今回の改定で負担額が変わる方は誰か。ここが確定していれば、文面も配り方も後から直せます。逆に、一覧のないまま文章だけ整えても、送ったあとに訂正が走るだけです。対象者の一覧ができた時点で、この記事の元は取れています。


お知らせ文のように、年に何度か形を変えて出す文書ほど、頼み方の型があると後が楽です。型は一度作れば使い回しがききます。


福祉×AI活用の全体像は、5つのステップにまとめてブログで紹介しています。


具体的なプロンプトや、事業所に合わせた使い方の相談は、公式LINEからどうぞ。公式LINEに登録するだけで「コピペで使えるAIプロンプト集(16本)」を無料プレゼント中です。


当社は自社でも福祉施設を運営しています。その現場感を持って、AI活用を伴走支援しています。料金はショット(単発)と月額から選べます。



いいなと思ったら応援しよう!