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tamagodaisuki
ショートショート 「センコー花火」
夏休み前最後の登校日。担任の熱血教師は、俺たち不良グループに「夏休み中、俺に会えなくて寂しいだろ」と、特製の花火を配った。
数日後の夜。公園に集まった俺たちは、暇つぶしにその花火に火をつけた。チリチリと燃え出した先端から、聞き慣れた声が響く。
「おら、夜更かしし過ぎんなよ!」「宿題少しでもやったか?」
パチパチと激しく散る火花に合わせて、センコーの暑苦しい小言が飛び出してきた。
「こいつ夏休みまでうるせーな」
俺たちは悪態をつきながらも、なぜか誰も花火を手放さず、赤い火の玉が落ちないように息を殺してじっと見つめていた。
やがて火花が細く、弱くなってくる。すると、声のトーンもしんみりとしたものに変わった。
「……まあ、羽目を外しすぎるなよ。怪我だけはしないように」「二学期も、また元気な顔見せろよ」
ポトリ。 赤い玉が地面に落ちて、ジュッと音を立てた。辺りは急に暗く、静かになった。あんなに鬱陶しかった小言が消えたのに、なぜか胸の奥が少しだけチクリとした。
「煙が目に染みやがる」
「……しゃーねえ、二学期はちゃんと学校行ってやるか」
誰かの呟きに、俺たちは無言で頷いた。
(了)
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