フェンス観た
簡単あらすじ
東京にてライターをしている小松綺絵が、沖縄で発生した米兵による性的暴行事件の取材をしながら、その被害者であるというブラックミックスの大嶺桜と共に事件の真相と、沖縄、ひいては日本の現状と向き合っていく物語。
非常に良かった。
もっと大々的に話題になるべきである。
自分はこういった現実の問題をしっかり取り扱った物語を積極的に観るタイプではない。
苦手とかではなく単純に興味の外にあったので観る機会が無かっただけではある。興味を持て。
今回は以前Twitterのフォロワーにおすすめされたこと、脚本がアンナチュラルやMIU404の野木亜紀子であるということから観ることとなった。
最初におおまかなあらすじを知った時、性的暴行事件から女性が生きるにあたっての問題やなんかを掘り下げていくのかな、と思ったのだが、実際はそれを入り口として、沖縄における基地問題、戦争、環境、人種、親子関係、家族内での役割など、現代社会において、日本の歴史から地続きの解決できていない問題について目を向ける物語であった。
物語において、暴行事件の犯人は現地の米兵であるという疑いのもと調査される。
だが、作中に出てくる米兵は怪しいが、あからさまな悪としては描かれていない。そういうところがかなりストレスなく観られた。いや悪いことしてる人がいるのは事実なのだが。
究極的に突き詰めれば、犯罪に人種は関係ないのだ。ようは本人の人間性である。最終的に発覚した犯人についてもそうである。
また、作中、桜は沖縄に住みつつ、基地埋め立てに活発に反対活動をする祖母を持つ。
しかし、様々を経て最終的に自分が埋め立てに賛成したらどう思う、と祖母に不安げに問う。そして祖母はどんな意見を持っていたって桜は大切な孫であると受け入れる。
個人の主観で観た感想だが、まだ桜はどうするか迷っている段階ではありそうではあるものの、基地埋め立てに積極的に反対しない可能性を提示したのは意外であった。
もはやこれは偏見の域に入るのだが、沖縄現地の人はなんとなく、みんな反対しているのかなあなどとぼんやり自分は考えていたのだ。
それこそが正義であるのだと。
ものすごく偏った認識をしていた。
しかしそうではない。冷静に考えればあまりに当たり前のことであるが、今まで深く考えてこなかった自分に反省した。
何か一つの結論が正しいわけではない。
なんというか、わかりやすく嫌悪感を提示するのではなく、フラットに登場人物に寄り添ったうえでの自然な展開をしてくる。
こういう物語の作り方はさすがアンナチュラルの野木亜紀子だなと感じた。
他にもこの作品は、あまりに自分は今まで何も考えてこなかったんだな、という気づきが多かった。日本に住む人間として、しっかり向き合わねばならない。
自分は東京の人間である。
たしかに、沖縄の基地問題などはニュースなどを観て知識としてはなんとなく知ってはいるが、あくまで遠い地の話であり、あまり現地に住む人間にとって、生活に介入するほどリアルな問題であると意識できていない。作中でもそういったことが指摘される。非常に耳に痛い。
また、自分はここ数年毎年冬にザトウクジラを見に沖縄へ行っている。
その時に、「きれいだな~」と撮った海の写真がある。
そこに映り込んでいた崖が、作中で「かつて戦争中、多くの人が身を投げた」と語られ、愕然とした。そうなのか。何も知らずにのうのうとしていた自分にサッと血の気が引いた。無知は罪である。
と、まあ自分の浅はかさが浮き彫りになり、反省することばかり書いてしまったが、この作品はそれだけではなく、単なる物語としても良い作品だ。
簡単に言ってしまうと女女バディの友情と絆の物語である。
桜と綺絵の関係性も良い。この先も沖縄での出会いを大切に生きてほしい。
他にも、沖縄現地の温かさが感じられる。
特に好きなのが、モアイ精神のタコライスシステムだ。
桜が経営するカフェバーにて、任意で大人が金を払いタコライスチケットを購入して店先においておく。
すると地元の子供たちがそれを利用して無料でタコライスを食べれる、というものだ。
すごくいい。外で遊んでいる子供は食事として利用できるし、家庭の事情で食事が不足している子供でも気兼ねなく使用できる気がする。
しかも完全に無料サービスではないため、店の売り上げにもちゃんとつながる。
子供にとっての入りやすい店となれば、現代の夏なら、熱中症対策にもなるし、人の目の届く場所にいてくれるので安全対策にもなりそうだ。
こういったシステムは現実でも実際に行っている店があるらしい。見かけたらぜひチケット提供側として参加したい。
また、正直東京だとあまりなじみがないが、個人的には、地方に根付いている長兄贔屓制度のようなものについても触れていたのが印象的だ。
長年Twitterをやっていると様々な人と交流がある。やはり、沖縄のフォロワーもいるし、現地での男女の役割が明確に決められてしまっていることなどもリアルに聞くことがあった。
そんな中、作中では暴行被害者の兄の心境が変化することも描かれている。
実際に現実で知っている人が対面している問題を、変えていかねばならないと物語上で提示してくれているのが心強かった。
他にも細かく語りたくはあるのだが、あまりに多くの要素がちりばめられすぎており、語りきれない。
扱うのが難しい問題ばかりがテーマになっているのだが、ぜひ多くの人に観てほしい。
ただ、綺絵!いくら対策しているとはいえ、潜入捜査目的で容疑者っぽい人のとこに一人で行くのは危険すぎる!!!!!
あのマチアプ待ち合わせシーンが観ていて一番ヒヤヒヤした。
暴行はされないかもしれないが、逆上して殺される可能性だってあったのだ。そういったことを考えないで済む世界になりたいな……。
とにかく一旦みんなFENCEを観てほしい。
良い作品です。
▼ネトフリで観れる
▼U-NEXT
的外れ発言ではあるんだが、あの作中で度々飛んでいた戦闘機はF-15だろうか。機影で判断できるほど知識がない。
米軍基地があると日本が所有する戦闘機以外も飛んでたりするのかな、全然知らんけど。
戦闘機ってかっこいいので好きだけど、戦闘機が不要な世界になるべきとも思っている。アクロバティックショーだけになればいいよ。
なんかガンダムは戦争肯定物語だみたいなアホの意見を見かけたけど、そんなわけないだろ。
戦争物語のファンは大半は戦争物語を観ているからこそ戦争反対だと思う。
兵器カッコイイと戦争反対は両立する。
ガンダムがちょっと好きでエースコンバットプレイヤーの自分だってそうです。
おわり

