短編小説 : 紙の眼差し
私はいつも景色を見ている。しかし、その景色の中に私の眼は見つからない。彼の顔には二つ並んだ窪みがあって、それが眼だという。だが、私に見える景色は常に一つだ。ならば私にあるのも一つの眼のはずだ。私は、彼とは違って一つ眼なのだ。
私は景色の中に眼を探すのをやめた。別の方法を思いついたから。遠くのものは小さく見える。近くのものは大きく見える。この法則が私を嬉しくさせた。ここから私の眼の大きさが測れるのではないか。遠くを見て、近くを見る。もう少し実験が必要だ。
私は、眼の大きさを測るのを保留した。
私は一枚の景色を見ている。やはりそこに眼は見えない。眼は景色の一部ではない。しかし、存在することは分かっている。私には一つの眼がある。そこがスタートラインだ。どこにあるのか。大きさは。形は。それらを知りたい。景色を見ると、その周縁がわずかにぼやけていることに気づいた。これが手がかりかもしれない。
景色の周縁を観察する。おそらく、景色は円、あるいは横長の楕円だろう。だが、景色の端を見ようとすると視線が逃げてしまい、観察は難しかった。私は私の眼が見たい。それはなぜか、コップのように思えた。ぼやけた周縁は、そのコップから溢れた景色ではないか。
私は絵画のような一枚の景色を見ている。今の私はコップを見ている。眼は、一つの背の低いコップであると仮定する。それはどこにあるのか。景色の手前にあることは確かだ。
景色の手前とはどこか。コップのすぐ後ろから、景色が始まる。しかし、コップのすぐ後ろが景色であるなら、景色の手前はコップになってしまう。コップがどこにあるのかを探しているのに、その場所がコップになってしまう。何かがおかしい。私のコップは景色に潰されて、紙のように薄くなってしまった。
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