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短編小説 : 眼と二つの指

君の親指がタイムラインをポチるとき、それは自然な動きをしている。風に吹かれた落ち葉のような、とても自然な動きだ。

君の親指がタイムラインでないものをポチるとき、君は自然ではない。君は落ちる葉ではなく引力に逆らうロケットだ。指が深くスクロールを求める。「もっとみる」を押す、アイコンを押す、「月別」を押す。親指はどこかに行こうとして迷っている。親指は穴へ落ちることを拒んだのだ。

そのとき、眼はこう言った。

「手の端にいる親指よ。手の指の大黒柱よ。いつまでも迷っていないで、一つに決めなさい。男でしょう? 大人でしょう?」

お父さん指は反論できない。迷うのは男らしくないからだ。己の生を誰と添い遂げるのかを決めて、それをタップしなければならぬ。親指は、迷う自分が恥ずかしくなった。

そのとき、足の親指がこう言った。

「まて、眼よ」

足の親指は真実を突きつける。

「お前の話はおかしい。お前が諭したのは前足だ」

眼はそれきり、言葉を失った。
後ろ足の親指は前足の親指に告げる。

「眼のレトリックに騙されるな。君は自由になった前足なのだ。迷えない俺の代わりに迷え。そのあとに箸を掴め。胃と文化を満たしたら、そのあとにペンを掴め。俺にはそれが掴めない。ペンを掴んだらまた迷え」

前足と呼ばれた親指は、かつて仲間だった後ろ足のエールを受けて迷い出す。しかし、その迷いに迷いはなかった。前足は自由を掴んでいた。



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