モンチッチ公園 ①
勤務している職場は、びっくりするほどおんぼろだからか、今時珍しく二宮金次郎がいる。銅像が好きらしいと、最近自分の潜在的な好みを自覚した身としては、二宮さんとて被写体となる。小さくて可愛い。
新小岩駅で出会って以来、モンチッチ公園が気になって仕方がなかった。モンチッチが好きだったとか、未だに好きだとかではない。好きだったらしいのは寧ろうちの妹で、確かに子どもの頃、モンチッチの人形が我が家には何体か居たが、それが妹のもので、妹がモンチッチ好きだという自覚はなかった。大人になって何年も経ったつい最近、たまたま聞いたばかりだ。
モンチッチ公園。近辺に都バスは走っていないから、他の方法を考えなければ行けない。さていかにお金を使わずに行こうかと頭を悩ませていたら、なんと、職場から徒歩30分ほどあれば辿り着くとわかった。
綾瀬川から中川へ、ひたすら川沿いを歩くのだが、商店街を歩いた方が若干近いと地図に表示され、そのつもりでてくてく歩いて行ったのに、気付けは商店街ではなく住宅街に居た。スマホのデータ消費量を気にしつつ地図アプリを開く。最初から川沿いの大通りに出ていればわかりやすかったのだ。
と言っても、川沿いということがわかりにくい大通りである。車がバンバン走る横の歩道。川は道路の下なので、歩いている方は川沿いの道を進んでいる自覚を持てないのである。
綾瀬川は確認できないまま進んだが、中川沿いへと曲がった後は、しっかり川の上を歩く自分と向き合うことになる。橋の欄干、私の身長より低いのに、川は想像以上に巨大で、風は轟轟と激しく、底の見えない深さを感じさせる水の上には、タンカーのようなものが乗っている。恐怖に襲われる。落ちたら死ぬな。水、冷たいやろうな。被害者になっても、気付いてもらえないよな今だったら…。だって短期とはいえ単身世帯状態で、周りには知人も友人もいないのだから…。スマホを落としたら実家とも連絡が取れなくなるし、持ってるもの、風で飛ばされたらどうしよう⁉
なんて、様々な悪い想像から生まれる恐怖と闘いながら、一刻も早くこの橋を渡り切らねばと足取りが早くなる。橋の袂は工事中で、作業している人たちが実は悪い人間で、突然突き落とされたらどうしよう⁉なんて、何処までも悪い妄想を止められないまま、橋から道路に飛び降りて、親切に設置されているが工事用の諸々で見えなくなっている公園看板のモンチッチによって現実に引き戻され、私は無事、モンチッチ公園に辿り着いた。
