見出し画像

世界遺産の温泉地 バーデン=バーデン

今年は、いくつかの保養地を巡った。
ティティ湖やバート・ローテンフェルデ、そしてドロミテの山岳保養地アルペ・ディ・シウジなど。
しかし私は、まだ肝心の場所を訪れていなかった。
それは世界遺産に指定された温泉地、バーデン=バーデンだ。
全裸混浴がネックだったが、全裸サウナも経験し数々の保養地を巡っていくうちに、全裸への抵抗が薄くなった。
また、数年前に旅行先で知り合った女性がこの街の出身で、街について話してくれた事も、訪れたい理由の一つに加わった。
その出会いはこちらにて。

Baden-Badenバーデン=バーデンは、南ドイツのバーデン・ヴュルテンブルク州にある街。
2021年に『ヨーロッパ大温泉保養都市群』の一つとして、世界遺産に登録された。
他には、フランス、イタリア、イギリス、オーストリア、ベルギー、チェコの計7カ国の都市が選出された。
1700年ごろから、これらの都市では温泉を利用した治療を中心に、建築、食文化や社交場の創設などの特別な文化が花開いた。

バーデンBadenとは入浴を指すので、街の特性がそのまま名前になっている。
ドイツには、Essen食べる、Siegen勝つ、Gießen注ぐ等の街があるが、Badenを2回使って強調するのは、この街特有かもしれない。
この街の天然ミネラル分を豊富に含んだ水質は、既に2000年前に発見され、湯治として傷を癒す療法があったそうだ。

クアハウス

ここは温泉とカジノ、コンサート会場の複合した高級温泉保養所で、迎賓館として1766年に造られたもの。
周辺では、大きなクリスマスマーケットが開かれていた。

クリスマスマーケットには、ドイツ以外の食べ物もあるが、この街では偶然にもハンガリーの物を2ついただいた。

揚げパンLangos
クルトシュ
焼きたて

満月とツリーは絵になる。

カジノは、保養地に集まる上流階級の人々のために造られた名残りで、入場にはドレスコードがあり、身分証明書提示の厳格なチェックが待っている。
内部は贅沢な装飾で、ネオ・バロック様式。
ここには多くの著名人も訪れており、ブラームスやドフトエフスキーなどは、この場所を好んだそうだ。

クアハウスの隣にはTrinkhalleと呼ばれる水飲み場があり、円柱がとても美しい。
今は衛生上の観点から、飲料水としては用いられていない。

数々のクリッペ
絶えず流れる温水

市庁舎付近

ここにはビアホールLöwenbreuがあり、一帯は華やかなイルミネーション。

祝祭劇場

かつての駅は、今は劇場になっている。

電車の切符売り場が受付に

メルクール山

こちらも世界遺産の一部で、1913年に開業されたケーブルカーが、668mの山頂まで運んでくれる。
その勾配は28度から58度で、ドイツで最も長く急勾配なケーブルカーとして知られているそうだ。

登山列車駅
途中から急勾配

ここからの日没が美しいと聞き、夕刻に出かけたが、あいにくの雲。

風を待つパラグライダー
サイコロのオブジェと展望台
展望台からの眺め
パラグライダーが飛び立った!
別のパラグライダーのかたも

ホーエンバーデン城

今は廃墟となっているお城までは、ハイキングも兼ねて訪れたかったが、小雨が降り出してしまい諦めた。
街から見える様子。

こちらはメルキュール山頂から見たお城。

フリーダー・ブルダ美術館

市内の美術館にも足を運んだ。
詳細はいつか別の記事でまとめたい。

Max Lieberman 自画像
Max Beckmann
バーデンバーデンの窓からの景色
各展覧会のポスター

カラカラテルメ

この街には2つの温泉施設がある。
その1つは、大規模スパリゾートのカラカラテルメ。

温泉の湯気が立ち上る

大きな円形プールでは、泳ぐよりのんびりしているかたが多い。
水温の高い小プールには打たせ湯もあり、蒸気サウナはアロマの香りで落ち着く。
私のお気に入りは、外部プール。
夜の外気は1度くらいで、プールからの湯気がもうもうと立ち上り、暗がりなので人の輪郭しか見えない。
そして雲一つない空に、まん丸い月。
温水に仰向けに浮かび、湯気の中から月を見上げていると、まるで別の世界に踏み込んでしまったかのような神秘的な感覚だ。
そして水温の高い小さな区画は、まるで日本の温泉の月見風呂のよう。
館内は写真撮影不可のため、HPとパンフレットから。

フリードリヒスバート

そしてもう1つが、療養を目的とするFriedrichsbadフリードリヒスバートで、その建設は1877年。
施設内は全裸で、ベットシーツのような薄手のタオルが渡される。週に2日は、水着着用可能日あり。
私はこの日、最初の訪問客となった。

ルネサンス様式の外観

17個の体験スポットには5分〜30分程の時間目安が書かれ、低高の温風部屋、蒸気サウナ、炭酸風呂、水風呂などへ番号順に各自で移動し、全体で約3時間かかる。
こちらも内部写真はHPとパンフレットより。

私が見たかったのは、大理石のローマン・アイリッシュ円形浴場。
思いがけず、ここを独り占めできた。
水面に仰向けに浮かび、丸天井と細かな装飾を飽きる事なく眺める。
また全裸での初水泳は、言葉にできないほどの心地良い開放感で、たった一枚の布の有無でこれほどの差があるとは驚いた。
そして自分は、動物の一種なのだと思い知らされた瞬間だった。

最後は、18度の冷水で身体を引き締める。
その後は、ほの暗い休憩部屋が待っていて、係の方が丁寧に身体ごとスッポリ毛布に包んで下さる。
遠くからイビキが聞こえてきて笑ってしまったが、つい居眠りしそうなほど気持ち良い。
最後の読書部屋では紅茶のサービスもあり、全コースを通して心からリラックスできた。
ここを訪れた文豪マーク・トゥエインが残した言葉が、パンフレットに載っていた。

10分経てば時を忘れ、20分経てば世界を忘れる

その言葉通り、世界遺産認定に納得する、いかにも特別な経験だった。

また、地下にはローマ時代の浴槽が遺されているが見学シーズン外。写真はHPより。

カフェ・ケーニッヒ

シュヴァルツヴァルト地方に来たら食べたくなるものは、やはり黒い森のさくらんぼケーキ。
トルストイやリストがファンだったというケーキ屋さんCafé Königカフェ・ケーニッヒ。
外は寒いが、チョコレートとさくらんぼの甘さ、そしてお店の方の笑顔が優しく心身に沁み、まさに至福のひととき。

アトランティック・パークホテル

ホテルは、リヒテンターラー通りに面したアトランティック・パークホテルを選んだ。
バルコニーからは、劇場とクアハウス、クリスマスマーケットが見える。
ゲストカードで、カラカラテルメなど複数施設の割引もあった。

早朝散歩が心地良い
部屋からの景色

この街には2泊したが、多くの方は長くこの街に滞在し、療養や休息を取っているようだ。
2日だけでも、水にたっぷり触れたお陰で、肌がツルツルで柔らかくなったのを実感し、その効果は今でも続いている。

古くより、王侯貴族の集まる場所であった温泉地としての魅力だけでなく、更に人を惹きつける娯楽施設が作られ、文豪や著名人が集い、今日のバーデン=バーデンがある。
この街は人々を癒し、心から楽しませる不思議な魅力のある街だ。
それぞれの季節がきっと美しいだろう。
次はもっと長く滞在し、見学できなかったローマ時代の浴槽を見学し、お城にも登り、スパを心ゆくまで楽しもう。

*****

クリスマスの思い出はこちらから。

いいなと思ったら応援しよう!