音楽室の肖像画には、続きがある|クラシック作曲家を“人間”として楽しむ雑学シリーズ
みなさんこんにちは!音楽企画ハーモニーオンでは、音楽を通じて、人と人がつながる場所。 挑戦する人が、安心して学び、発表できる環境。そんな“ハーモニー”を社会に広げていきたいと考えています。
今日は、私たちハーモニーオンが制作している、ひとつのシリーズをご紹介させてください。
その名も、『面白く知るクラシック作曲家 雑学』。Kindleで読める電子書籍シリーズです。おかげさまで、ベートーヴェン、モーツァルト、バッハ、ショパンと、これまでに四冊がそろいました。
「クラシックって、なんだか難しそう」。そう感じている方にこそ、手に取ってほしいシリーズです。
これらはすべてKindle Unlimitedの対象です。会員の方なら、追加料金なしで読み放題。気になった巻から、気軽にのぞいてみてください。
1. なぜ「雑学」から入るのか
音楽室の壁を、思い出してみてください。
たいてい、こわい顔の人たちが並んでいます。白い巻き毛の、少し不機嫌そうな大家たち。あの肖像画のせいで、クラシックの作曲家というと、どこか近寄りがたい聖人のように思えてしまいます。
でも、調べていくと、話はだいぶ変わってきます。
コーヒー豆を一杯ぶん、きっちり数えていた人がいます。生徒に腹を立てて、剣を抜いた人がいます。葉巻をくわえた年上の恋人を、最初は「あれは女性なのか」と訝った人もいます。
みんな、笑って、怒って、恋をして、お金に悩んだ、生身の人間でした。
その人間くささを知ってからもう一度あの曲を聴くと、不思議と、音楽がぐっと近づいてきます。肖像画のしかめ面の奥に、ひとりの人がいた。それが分かるだけで、クラシックはずっと楽しくなるのです。
このシリーズは、そんな「入り口」になりたくて作っています。
2. このシリーズが大切にしていること
紹介に入る前に、私たちが書くときに守っていることを、少しだけ。
ひとつめは、笑っても、決して見下さないこと。作曲家本人はもちろん、その家族や恋人、まわりの人たちも、からかいの材料にはしません。病気や死を、笑いのオチに使うこともしません。あくまで敬意をもって、人間の可笑しみを愛でる。そういう書き方を心がけています。
ふたつめは、はっきりしないことは、正直に「諸説あります」と書くこと。面白い逸話ほど、本当かどうか怪しいものです。そこを断定せず、「諸説あること」そのものを楽しむようにしています。
みっつめは、クラシック初心者を置き去りにしないこと。専門用語が出てきたら、その場でかみくだきます。予備知識はいりません。
声を張らず、事実をそっと置いて、読んだ人が自然にクスッとくる。読み終えたころには、その作曲家の曲が聴きたくなっている。そんな一冊を、毎回めざしています。
では、これまでの四冊を、順にご紹介します。
3. 第1弾『ベートーヴェン編』
■ 気難しい「楽聖」の、人間くさい素顔
トップバッターは、やはりこの人。楽聖ベートーヴェンです。
運命や第九で知られる大作曲家ですが、その暮らしぶりは、なかなかに人間くさいものでした。コーヒーは豆をきっちり六十粒数えていれる。生涯の引っ越しは、数えきれないほど。耳の聞こえに苦しみ、絶望の手紙まで書きながら、それでも書くことをやめなかった人です。
第九の初演では、聴衆の大喝采に気づかず、振り向かされて初めてそれを知った、という逸話も残っています。
この巻で読めるのは、たとえばこんな話です。
名前の意味が、まさかの「大根農家」だった件
正確な誕生日が、じつははっきりしない話
「不滅の恋人」へ宛てた、宛名のない手紙の謎
ナポレオンに捧げるはずだった「英雄」の、その後
気難しさの奥にある、まっすぐな情熱。それが見えてくる一冊です。
4. 第2弾『モーツァルト編』
■ 神童の、お茶目で生々しい素顔
二冊目は、神童モーツァルト。
天才のイメージが強い人ですが、手紙を読むと、びっくりするほどお茶目で、いたずら好きで、お金にはとんと無頓着でした。六歳で女帝の膝によじ登り、飼っていたムクドリが死ぬと、まじめに葬式を出したりしています。
そして、長く信じられてきた「サリエリによる毒殺」の噂。これについては、サリエリの名誉のためにも、きちんと「濡れ衣であること」を書きました。
この巻で読めるのは、たとえばこんな話です。
本名「アマデウス」は、「神に愛された」という意味だった
姉ナンネルもまた、神童だったという事実
稼いでも稼いでも、お金が残らなかった台所事情
「ケッヘル番号」って、そもそも何なのか
天才の肩書きの下にいた、ひとりの陽気な人。その素顔に出会える一冊です。
5. 第3弾『バッハ編』
■ 小川という名の、大海
三冊目は、「音楽の父」バッハ。
謹厳実直、というイメージそのものの肖像画で知られる人です。ところが実際のバッハは、若いころに生徒と剣を抜いて渡り合い、四週間の休暇を勝手に四ヶ月に延ばし、就職のもつれでひと月ほど留め置かれたこともある、なかなか血の気の多い人物でした。子どもは、二十人。
けれど、その角の立つ振る舞いは、よく見るとどれも一本の糸でつながっています。音楽にだけは、絶対に妥協しない、という頑固さです。
バッハという名前は、ドイツ語で「小川」を意味します。その控えめな名前の人が、海のように深い音楽を遺しました。後の人は言いました。「彼は小川ではなく、大海と呼ばれるべきだ」と。
この巻で読めるのは、たとえばこんな話です。
すばらしい演奏家を一目聴きたくて、四百キロを歩いた話
後継者の条件が「娘との結婚」だった、就職事情
コーヒーがやめられない人々を描いた、愉快なカンタータ
亡くなって八十年後、ある若者の手でよみがえった大作
しかめ面の奥にいる、汗をかき、腹を立て、たくさんの子を育てた職人。その姿が見えてくる一冊です。
6. 第4弾『ショパン編』
■ 花に隠した、大砲
そして最新刊が、「ピアノの詩人」ショパンです。
青白くて、儚くて、ピアノにもたれて消え入りそう——そんなイメージが強い人ですが、本物のショパンは、もっと具体的で、もっと可笑しな人でした。手袋の色やズボンの仕立てにこだわる洒落者で、物まねで人を笑わせる芸達者。公開演奏が大の苦手で、生涯でたった三十回ほどしか人前で弾いていません。
体は弱く、三十九歳で世を去ります。けれど死んだあと、彼の心臓だけが、コニャックの瓶に浮かんで祖国ポーランドへ帰っていきました。体はパリ、心臓はワルシャワ。二つの国に引き裂かれた人の物語です。
この巻で読めるのは、たとえばこんな話です。
誕生日が、ふたつある理由(諸説あります)
月謝を、弟子に背を向けて受け取っていたわけ
リストとの、まぶしい友情と、ちいさな火花
嵐の島で書き上げた、前奏曲「雨だれ」のこと
やわらかな旋律の奥に、祖国を想う強い芯がある。シューマンはそれを「花に隠した大砲」と呼びました。読み終えたら、きっと夜想曲のひとつも聴きたくなる一冊です。
7. こんな方におすすめです
クラシックに興味はあるけれど、何から触れていいか分からない方
作曲家を「すごい人」ではなく「面白い人」として知りたい方
通勤・通学やすきま時間に、肩の凝らない読み物がほしい方
お子さんと一緒に、音楽の話を楽しみたい方
予備知識はいりません。一話完結、三千字ほどで読み切れる構成なので、好きな作曲家から、好きな話から、どこを開いても大丈夫です。
8. おわりに
ハーモニーオンが大切にしているのは、音楽を通じて人と人がつながることです。
難しそうに見えるクラシックも、その入り口に「ひとりの人間の物語」があれば、ぐっと身近になります。このシリーズが、あなたとクラシックをつなぐ、小さなきっかけになればうれしいです。
次は、どの作曲家を書こうか。委員会では、いつもそんな相談をしています。「次はこの人を読みたい」というリクエストがあれば、ぜひ教えてください。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。 よろしければ、フォローやスキで応援していただけると、励みになります。
それでは、また次の記事で。
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