AIの登場で変わったこと、変わらなかった原点 〜UXリサーチの5年を振り返る〜
こんにちは!スマートバンクでUXリサーチャーをしているHarokaです。

2022年、スマートバンクから私とtakejuneで登壇させていただいたのですが、はや5年!記念すべき5周年イベントで登壇してきました。
このnoteは、2026年5月に開催されたRESEARCH Conference 5周年イベントでの登壇スライド(抜粋)と、スピーカーノートをまとめたものです。
2022年登壇した当時、終わってすぐtakejuneが登壇内容をブログに仕立て上げ、公開している動きを横で見ていました。
参加された方の体験を考えて取り組まれていることを知り、以降、自分も登壇し終わったらすぐ資料を出すようにしています☺️

リサーチカンファレンスが始まってから、5年🎉
5年前は、UXリサーチャーとして活動している方、リサーチに取り組んでいる組織も多くなかったように思います。
毎年リサーチカンファレンスに参加していて思うのが、いろんな職種・お立場の方がリサーチを通じて顧客理解を深めようとしていること。それぞれの事業や組織の状況が異なる中でのベストウェイを模索されている様子に、大変勇気付けられました。
このスライドでは、弊社スマートバンクのキャラクター、ワンバンたちに登場してもらい、一緒に歩みを振り返っていきたいと思います。

今日は、私が辿ってきた5年間を、リサーチカンファレンスの各テーマにそって振り返ります。
私のリサーチに向き合い姿勢や進め方は、5年間を通じて変わった部分もありつつ、変わらない部分もあると感じています。
2022年は「START」──一人目のリサーチャーとして最初の一歩を踏み出した年。
2023年は「SPREAD」──リサーチをチームに広げていった年。
2024年は「ROOTS」──リサーチの意義を問い直し、深めた年。
2025年は「POTENTIAL」──AIの波が来て、組織の可能性が広がった年。
そして2026年が今年、「WEAVING」──AIとともに、リサーチと事業を編み合わせていく年になると感じています。
2022 START|一人目のリサーチャーとして、旅は始まる

2022年、私はスマートバンクに入社し、1人目のUXリサーチャーとして最初の一歩を踏み出しました。

2022年の登壇当時は、入社してすぐのタイミングで、これまで取り組んできた事例について話すことができなかったため、あえてリサーチャーはどのようなスタンスでチームと関わるべきかについて語りました。
当時の発表内容はこちら。
タイトルにも、「1人目のリサーチャーとして、信頼してもらうために取り組んだこと」とあります。リサーチャーとしてプロダクト開発の現場に関わる時、蚊帳の外からものを言うような関わりになるのは良くないのではないか、まずはチームメンバーとして信頼してもらい、その上でチームに入っていきながら、一緒にユーザー理解を深めていけるよう振る舞うべきではないか、と強く感じていました。

ユーザー・ビジネス・エンジニアリングの三者がいる中で、リサーチャーはどこに立つと、うまくいくのか。
過去の経験上、「調査の視野が狭いとうまくいかないな」「私だけが課題に思っていても前に進まないな」と思っていたので、「調査の専門家」として蚊帳の外にいるのではなく、三者の橋渡しとして機能しなければと思ったのです。
当時、転機になったのは、チームメンバーへの1on1でした。
エンジニアが何を考えているか、PMがどんな意思決定をしているか、それを知るだけでリサーチの精度を上げていけるようになりました。

誰かにプレゼントを渡すとき、何を渡すと普段使いにしてくれるだろう?もらえてよかった!と心の底から喜んでくれるだろう?という頭の使い方を、チームメンバーがリサーチを一緒に進めるときの体験として重視しました。相手のことを知ることは、今、何の情報を手渡すと前に進めるかを考えることにつながります。

「ユーザーについて聞きたかったら話しかける人」になろうと決めたのもこの頃です。リサーチというタスクに落ちていなくても、会話するところから関われたら、きっと課題解決がしやすくなります。

「リサーチは、リサーチャーだけのものではない」──これが私の原点であり、今も変わらず目指し続けている言葉です。
リサーチャーが収集してレポートを書いて終わり、ではなくて、チームがリサーチを自分ごととして使える状態を作ること。私の仕事は「ユーザーの声を届ける人」ではなく「チームがユーザーを見る目を養う仕組みを作る人」だと思っています。

2022年に具体的にやったことをまとめると、こんな感じです。
「事業と経営にユーザー視点を提供する」と宣言して、自分の役割を明確にしたこと。チームメンバーとの日常的な対話を増やしたり、1on1で目標や仕事に対する思いなどをお聞きしたこと。定量データが少ない環境で、定性データを中心にチームの意思決定を支えたこと。
これらが後の「チームに根ざしたリサーチ」の土台になりました。
2023 SPREAD|リサーチをチームに広げる

2023年のテーマは「SPREAD」、リサーチをチームに広げる年でした。
一人でできることには限界があります。
一方、別の部もUXリサーチ部の拡張メンバーと捉えた時に、全員がリサーチの目を持てれば、観察できる範囲が何倍にも広がる。
この年は「リサーチを同じ目線で語れる人を増やすこと」が目標でした。
チームに広げるためには、リサーチャーの視点を言語化し、リサーチャーが触れる情報へのアクセス性を高める必要があります。
そのため、自分の業務の関与範囲の言語化や、データの保守運用方針の策定などを進めてきました。

「点ではなく、線で関わるリサーチ」がこの年のキーワードです。
調査の実行だけではなく、企画の初期段階から参画し、設計部分もメンバーと共同で進めるようにしました。リサーチ設計をPMやデザイナーと一緒に作る。チームで顧客理解を共有・活用する。マーケティングや広報などプロダクト以外のチームにも関与を広げることで、組織全体のユーザー理解を進められるよう動きました。

リサーチデータの資産化などの環境整備も合わせて進めました。
スマートバンクでは、過去のインタビューが参考になるケースがあります。そのため、過去の知見がチームの共有財産として活きるようにできないか?と考えました。
Notion DBを使って、リサーチ知見の社内流通の仕組みを構築、メンバーの業務の導線で自然に見つかるように設計するよう工夫しました。
具体的な進め方はこちらの記事も参考になさってください!

合わせて、コンテキストの共有も行なっています。「なぜこの調査をやったのか」「当時はどんな機能があったのか」のコンテキストを踏まえて過去のインタビューを確認できるようにしました。
過去の経緯が知りたいケースは、新しいメンバーが入った時だと感じたので、整備と合わせて新入社員オンボーディングにも関わるなど、チームとしてリサーチが身近にある環境を作りました。
これから出会う新しいメンバーのためにも、リサーチャーの視点を言語化し、一緒にリサーチを進めていきやすくする目的でリサーチカルチャーブックを作りました。なぜリサーチするのか、どんなふうに進めるのかなどを整理しました。


2024 ROOTS|リサーチの意義を問い直す

2024年のテーマは「ROOTS」──「なぜリサーチするのか」を言語化することを意識した年だったように思います。
この頃、社内事例を紹介した際に「スマートバンクさんだからうまくいくんですよね」という反応をいただくことも。他社の方から、チームに対してリサーチの成果を伝えづらい、どうしたら協力してもらえそうか?と悩みを共有いただくことが増えました。

自分でもうまく答えられず…これが、のちに書籍『UXリサーチの活かし方』を書く原動力になるのですが、意思決定するには何が揃っていれば良いかを捉えることがその手掛かりになると感じました。
「いつ・誰が・何を根拠に決めているか」をリサーチャーが把握しないと、リサーチをする意味がなくなってしまいます。
「なぜリサーチするのか」に対して、自分なりに答えを持ち、組織のタイミングを見計らいながら貢献していく振る舞いが求められるのではないでしょうか。

時には、アンケートやインタビューなどの形に収まらないこともあると思います。とはいえ、見つめる先は事業が前に進められるか、より目指す目標を見据えて行動できるかに立ち返って考えることこそ、ROOTSに直結するのではないかと考えました。
何か意思決定をする際、ユーザー情報だけでは決められないと思いますし、タイミングごとに必要な情報粒度も異なります。

「リサーチ=ユーザーに聞きに行くこと」だけにとどまりません。
戦略を頭に入れ、収益構造を理解し、チームの実現可能性を踏まえる。
その上ではじめて、ユーザーの声は「使える示唆」に変容します。
何かしら聞いたらわかるだろう、とリサーチを進めてもうまくいかないのは、組織や事業の状態の理解が不足しているからだと考えます。
この先のことは誰もわからないけれど、ユーザー視点を集めつつ、私たちのとっての良い正解とは何か?を見つめ続けなければなりません。

なお、2024年は、リサーチカンファレンス史上初の取り組みであるポスターセッションに参加しました。チームを巻き込み、目線を揃える工夫について来場者の方と対話する良い時間を過ごせました。

2025 POTENTIAL|可能性を広げ、AIの波が来た年

2025年のテーマは「POTENTIAL」──可能性を広げ、AIの波が来た年でした。「私とAIがチームになった」一年でした。
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