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【映画感想】『ヒトラー 〜最期の12日間〜』を見て、「美しく閉じた世界」について考えさせられた



ちゃんとしてない系教養ママの
harukaです。



4歳児と世界一周したのをきっかけに
「第二次世界大戦」への関心が
高まっていたのですが





先日、ひょんなことから



映画『ヒトラー 〜最期の12日間〜』
アマプラ視聴いたしました。



この表情に見覚えのある方は
いらっしゃいませんか



いやーーーー面白かった!!!!!!




「総統閣下シリーズ」
空耳パロディ動画の
元ネタとしても有名なこの作品。





さすが「最期の12日間」
というだけあって



ドイツ軍が
追い詰められすぎてて
笑いのシーンなんてほぼ皆無😇




むしろ
「ここから2時間以上もつの?!」
と、映画の展開が心配になるくらい




アドルフ・ヒトラーの往生際の悪さと
ナチスドイツの没落っぷりを
たっぷり味わう156分間でした。



ネットミームで有名な例のシーンも、実は前半。
敗戦確定なのに、この後どないすんねん?!
ドイツの国境どころか、首都ベルリンが
敵国に囲まれている😇



以下、その感想を
徒然と書いてみたいと思います。




◾️世界一周したドイツ語学習経験者としての感想

この作品を見て
私が最初に感じたのは



ナチスドイツの悪事が
ドイツ語でなされていた
という、あまりにも当たり前な事実。




そもそもドイツのお話でしたわ



実は私、ドイツ語学習経験者でして
ドイツに短期留学したこともありますし
独検3級も持っています。



セリフが全部わかるとか
そんなレベルでは到底ありませんが




ところどころの言葉はわかるし




何より、ちょっと前の
世界一周旅行では




ドイツ語を使った
温かいコミュニケーションにも
恵まれていました。



南ドイツの長閑な風景
ドイツ語でいろんな方に助けてもらいました




その同じ言語で
世にも恐ろしい悪行が
80年前に行われていた事実。




「ありがとう」「お名前は?」
そんな初歩的な表現も登場しました



ナチスドイツの恐ろしい実話は
一見、別世界の話ではありますが




1から10まで全く理解不可能
という訳ではないこと




ひょっとすると、何かの機会に
分かり合えていたかも知れない
そんな人物たちが加担していた事実。




時空を超えた
そんな微妙な「近さ」
まず私の心を捕らえました。




ヨーロッパで最初に降り立ったミュンヘンも
そういえば「ナチス発祥の地」でした



その上、先日の世界一周旅行では
ドイツだけでなく



オーストリア、ハンガリー
チェコ、フランスと
かつてナチスドイツに
併合、侵略された街
も訪れました。




第二次大戦中に強制労働させられた人々を悼む
ザルツブルクの慰霊碑
美しきブダペストのドナウ河岸
かつてユダヤ人が多く殺されたエリアでもあります
娘が大はしゃぎだったプラハの公園
かつてナチスに接収されたエリアでした
パリ侵略時にドイツ軍が通った
パリのエトワール凱旋門



ナチスドイツの話は
遠い異世界のようでいて




現在も地球上に痕跡が残る
「実際に起こった出来事」
という感覚。




映画の序盤から
「これは私には無関係な話だ」
とは、思えませんでした。




◾️総統地下壕に引きこもる「ナチスドイツのリアリティ」

▶︎「人間ヒトラー」のリアリティ|ブルーノ・ガンツの名演がすごい!

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』の
最大の見どころは、やはり




ドイツの名優(スイス人ですが)
ブルーノ・ガンツ演じる
人間ヒトラーの圧倒的リアリティ



ヒトラーはこういう人間だったのかもしれない
そうリアルに感じさせる名演でした




教科書や歴史資料で見るヒトラーは
あまりに記号化されている
感じがするというか



しかめ面・ちょび髭・軍服という
特徴的なビジュアルもあって



「同じ人間」という感じが
あまりしないのですが




ブルーノ・ガンツが
演じるヒトラーは




疲れていて、神経質で、
癇癪持ちで、理不尽で、時に紳士的。




特に、序盤の秘書面接時のヒトラーは
独裁者と思えない、気遣いあふれる紳士でした




ああ、本当に存在した「人間」なんだ
と思わせるリアリティが
凄かったです。




ヒトラーは特殊な悪だったのではなく
実在する人間の延長だった、というおぞましさ



▶︎「総統地下壕」という閉じた世界

ところで、このヒトラーという人物は



作品中はほぼずっと
「総統地下壕」と呼ばれる
地下基地で過ごしています。




地下壕で怒り、食べ、最後には自殺する



戦況の報告を受けたり
作戦の構想を練ったり
といったことは
全てこの地下壕で行われました。



それが、私には
とても象徴的に思えて
仕方ありませんでした。




地下壕の出入口
作品中ではほぼここから出ませんでした



言い換えると、ヒトラーは



空襲に逃げ惑うベルリン市民や
命懸けで戦う戦線の兵士たち
血まみれの負傷者たち
迫り来るソ連兵など




戦争がもたらした
凄惨な「現実」を
その目で見ていないのです。



粗末な武器で
ソ連軍に立ち向かおうとする少年兵たち



総統地下壕に引きこもり
忠実な幹部に囲まれていたからこそ




ヒトラーは凄惨な現実を
無視し続けることができた




「本来あるべきドイツ」
幻想やイメージから離れることが
できませんでした。




メチャクチャな作戦を指示したり
有能な将校を処刑したり




戦況をむしろ悪化させる
悪手を打ち続けながら
根拠のない奇跡を
信じ続けている終末感。




ヒトラーが総統地下壕に
居住するようになったのは
ほんの3ヶ月程度でしたが




それでも、彼はある意味で
「総統地下壕」に象徴されるような




自分の理想以外を認めない
「閉じた世界」の住人
だったのではないか。




非現実的で、独善的で
自分が思い描いた
幻想の外の世界では生きられない




ヒトラーという人間の
弱さ、愚かさ、そして邪悪さが




あの地下壕に
象徴されているように思えました。




▶︎ナチス幹部の女性たちの美と豊かさ

ヒトラーとはまた別の角度から



ナチスドイツの「閉じた世界」
感じさせたのが



ヒトラーを取り巻く女性たち



敗色濃厚な戦局で
髪のカールが完璧に美しい、という違和感



彼女らも
作品中では基本的に
地下壕の中で生活しているのですが




ヘアメイクやファッション
とても戦時中とは思えぬ
優雅さを保っていて



時にはパーティーを開いたり
子供達に歌を歌わせたりと
浮世離れした一面
度々見せていました。




負傷したナチス兵のために
歌を披露するナチス幹部の子供たち
誰も反発できない地獄



2024年に公開され、話題になった
映画『関心領域』もそうでしたが





この非常事態下で保たれる
「美」「豊かな暮らし」って
やっぱり異常な印象を受けます。




十分な医療も食糧も得られず
苦しみながら死んでいく人もいるのに



これこそまさに「特権階級」




直接戦争に関与してはいなくとも




ナチスドイツの中枢で
甘い蜜を吸っていた事実は
暮らしぶりに如実に出ていました。




ヒトラーの腹心・ゲッベルスの子供達も
この身なりの良さ



その一方で、彼らもまた



自分たちの美や余裕のある暮らしは
ナチス社会の外では成立しない

という自覚もあったよう。




ヒトラーの妻エヴァや
ゲッベルス夫人に至っては




戦犯者や捕虜としての辱めを避けるため
自らの美しさや気品を保ったまま
自殺や心中を選択。




「ナチスなき世界で
子供たちを育てられない」

子供達にも無理心中を強います。



ゲッベルス夫妻もその後
子供たちの後を追います



ナチス社会以外では生きられないだなんて



地獄の捕虜生活が控えている兵士たちや
敗戦国としての生活を強いられる
一般ドイツ国民の立場は……?




ヒトラー同様
彼女たちにとっても



人民や兵士というのは
あくまで自分たちを
物心両面でサポートしてくれる
「養分」でしかなく




ナチスドイツは
「理想社会」であったのと同時に




ナチスドイツの滅亡が
「自分たちの生活の死」に直結するほど



狭く、閉ざされた
特殊な世界だったのです。




かえすがえす
あの「総統地下壕」は




自分たちの理想の世界でしか
生きられない弱さ、愚かさを
象徴するような空間
でした。




◾️脱出成功した秘書と少年の笑顔

ところで、今回の作品で
個人的に1番腹が立っているのは
秘書ユンゲと、少年兵ペーターです😇



見ず知らずの他人同士だったのに
しれっと家族のふりをして、ソ連兵をやり過ごす2人




秘書ユンゲは
物語の冒頭から最後まで
妙に無邪気な表情を保っていて



文字通り、最後まで
ヒトラーのそばを離れない忠誠ぶり。



奇妙な無邪気さを最後まで保ち
ギリギリまで地下壕を離れなかった秘書ユンゲ



一方の少年兵も



第一次世界大戦で片腕を失い
本物の戦争を知る父親の説教を無視して
最後まで奮闘します。



ヒトラーに直接褒められて
誇らしげな少年兵ペーター



秘書ユンゲも、少年兵ペーターも
ナチスドイツの世界観において
美しく、ピュアな信奉者




ヒトラーが自殺するまで
周囲にどれだけ諭されようとも
聞く耳を持たない一方




ヒトラーが死に
いよいよ敗色濃厚となってからは



しれっと仲間を見捨てて
ベルリンを脱出し
逃亡成功するのです。




謎に「よかったね」の雰囲気を醸す
本当はナチスのゴリゴリの信奉者の2人。



若い二人は
ある意味、ナチスドイツの
犠牲者でもありますが




ナチスドイツの歯車として
積極的に加担した
加害者の立場には変わりありません。





なのに、この妙に
爽やかな笑顔。


なぜかめでたしめでたしな雰囲気を出す
ヒトラーの秘書ユンゲ



ナチスドイツ滅亡とともに
自らの死を選んだ
ヒトラーやナチス幹部とは異なり




秘書ユンゲと少年兵ペーターは



「推し」が死んだら
あとは自分たちの人生に
集中するだけ



という



なんとも残酷な軽やかさを
象徴しています。




映画の一鑑賞者としては
つい、感情移入をしそうになる
ラストの若き2人ですが




彼らも彼らで
とんでもない悪
だと
私はどうしても
許せない気持ちになってしまいます。




◾️私たちはどんな美しさ、豊かさを目指せばいいのだろう

80年前のドイツ
および、その周辺国では



ユダヤ人約600万人をはじめ
ソ連軍捕虜、ポーランド人、障害者など
数えきれないほど多くの人々が
殺害されました。



それは遠い世界の話のようで
今、生きている私たちと
まったく無関係の話では
ない気がします。



ドレミの丘から小さく見えるこの城も
かつてナチスドイツの関連施設だったそう



『ヒトラー 〜最期の12日間〜』
ヒトラーを理解するための映画というより




ヒトラーを「ただの怪物」として遠ざけず




人間の歴史の中にあった存在として
直視させる映画だったかもしれません。



特に



閉ざされた理想社会でしか
生きられず



多くの人々を散々苦しめておいて
自殺や一家心中を選んだ
ヒトラー夫妻、ゲッベルス夫妻



無邪気な忠誠心を貫きながら
あっさりと保身に走り
何事もなかったかのように
微笑む秘書ユンゲや少年兵ペーター



かたちを変えて
現在の私たちの住む社会にも



いえ、むしろ、私たち自身の
様々な一面として
生き続けている気がします。



誰にだって信じたい世界、守りたい世界はある
でも、何かを犠牲にしていないか?



SNSなどのメディアで見かける
インフルエンサーたちの
浮世離れした世界観や
特権階級を思わせる暮らしぶり。




私も私で
憧れる世界はありますし




実際、先日の世界一周旅行では
いろんな優雅な世界に
足を踏み入れる経験も重ねました。




今回、1番豪華だったかもしれない
ブダペストのニューヨークカフェ



ただ、その美しさの背景に
どんな物語があるのか?




誰かの犠牲や
権力者による搾取など
なにか問題をはらんでいないか?




「知ろう」とする姿勢
やっぱりいつの時代も
大事なのではないかと思います。




首都で市街戦が起きているのに
この優雅さを保てる異様さ



「どんな状況でも美や品を保つ」
というライフスタイル自体は
個人的に憧れるところではありますが




戦時中でもエレガンスを保っていた
ヒトラーの妻や
ゲッベルスの妻ら

目指したいわけではありません。




自分が理想とする美や平穏は
いったい何と引き換えに
成り立っているものなのか



ときどきは
憧れの画面をタップする指を止めて
考える視点を持ちたいなと思います。



狭い世界でしか
自分らしく、美しく過ごせないなんて嫌だ



地球上の違う地域では
今も戦争や重大な人権侵害が
起きています。




この世界から
「悪」や「不正義」と呼ばれるものを
完全に取り払うことは
不可能だと思いますし




そもそも、自分が「悪」だと思うものを
取り除こうとする行為自体
かつて「ユダヤ人」を排除しようとした
ナチスドイツの危うさを含んでいます。




だからといって
「どうしようもないから」
と、無関心・思考停止を貫くのではなく




せめて想像力を働かせたり
知ろうとする姿勢を
私は持っていたい。




清濁を知ったその上で
自分の人生の選択を重ねていきたい。




そんな思いを抱かせる
作品でした。







以上、ここまでお付き合いくださり
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【haruka プロフィール】

演劇研究10年、高校教師13年。ぜーんぶ辞めて、家族で世界一周に出た41歳。大阪生まれ、京都育ち。幼少期にアメリカ3年🇺🇸
国際学会、進路指導、国際交流支援……一見ちゃんとしてそうなのに、博士論文を出せずに大学院を単位取得退学。
「どこにも使えなくなった知識と教養」を育児・旅・自分のために注入中。
育児のモットーは、「親のメンタル死守」。自分の心を大事にしつつ、子どもには豊かな世界を見せたい。
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