夏の朝の習慣
ここ数年、夏になると毎朝シャンプーをしている。
自分から発する汗臭さを少しでも緩和するためである。
人間、自分の匂いは自分でわからないから困る。汗臭いオバハンにはなりたくない。
汗臭い人にレジを打たれるのは嬉しくなかろう。私ならそんなレジ、避ける。
早朝ジョギングをやっているわけではない。
朝の家事を慌ただしくやっているだけで、いつの間にか顔と言わず頭と言わず、大量の汗が噴き出て、顎から滴り落ちるのだ。タオルがぐっしょりとなるくらいのレベルである。
このまま放置すると、きっとかなり公共の迷惑になってしまうに違いない。このままレジに入ると、店の売り上げを落とすという、由々しき事態をも招きかねない。
勿論、身体も汗みずくではあるが、仕事に行く日はシャワーを浴びている時間も惜しい。やむを得ず汗拭きシートで身体を拭き、制汗剤をスプレーして終わりにしている。
以前はこんなに大量の汗をかかなかったように思う。
異常気象のせいか、はたまた自身の更年期のせいか、理由はよくわからないが、そんなことはどうでもいい。
どちらにしても有難くはない事態だが、なってしまったものはしょうがない。色々おかしくなっているのかもしれないけど、身体が必要だ、と判断したから汗が出ているわけなので、それを嘆いたところでどうしようもない。人前でこうなると困るだろうが、今のところ許容範囲内にとどまっている。だから出てきた汗に適切に対処するのみなのだ。
『朝シャン』は私が中学生くらいの頃、大流行した。テレビのCMがきっかけだったように記憶している。
朝からシャンプーのいい匂いをさせている子がいれば、羨望の眼差しで見ていたものだった。
自分もやりたかったが
「水を大量に使うなんてもったいない!」
という母の監視の目は厳しく、こっそりとシャンプーできる環境ではなかったから、若い頃は一度もやらずじまいだった。
夫によると、義姉は毎日のように洗面所でやっていたらしい。その為に蛇口の改修までしたそうだ。
朝から懸命に髪を洗っている高校生時代の姉の姿を想像すると、ちょっと微笑ましい。
夜の入浴時にもシャンプーをしているので、朝のシャンプーは二度目になる。
夜シャンプーする時は湯を使うが、朝のシャンプーは水を使う。暑さで火照った頭を水で冷やすのが気持ちいいからだ。
頭皮の油分を過剰に落としたくない、という気持ちもある。けどどのくらい理にかなっているかはわからない。
一日に二度シャンプーするのが果たして頭皮や髪にとっていいのか、気になって担当の美容師さんに尋ねてみたこともあるのだが、
「二度くらいまでなら平気ですよ」
とのことだったので、多分大丈夫なんだろう。
汗みずくの頭を先ず冷水でざっと洗い、その後シャンプーをつけて洗う。
服を着たままなので、濡らさないように頭だけを傾けて前傾姿勢をとる。
この姿勢を続けるのはキツイが、短時間なら耐えられる。
洗い終わったらトリートメントをして漱ぎ、髪をタオルで拭いて浴室を出る。
朝から清々しい気分を味わえるひとときである。
犬になったことはないから気持ちはわからないけど、多分トリミングを終了したばかりはこんな気持ちなんじゃないか、といつも思う。
さっぱりして気分がいい。
ドライヤーで乾かし、ブローして髪を整えれば全て終了である。
起きた時の頭は大抵爆発しているけれど、こうやって全部濡らしてからだと髪型が決まりやすい。
時間を取られることだけがネックだが、その他はいいことづくめなのだ。
エチケットとして始めた朝シャンだけど、今はすっかりこの時間が気に入っている。
朝シャンすると、余分な頭の皮が一枚、剥がれたような気分になる。
爽快感がハンパない。
朝の家事を終え、一日のスタートを順調に切れたという満足感でいっぱいになる。
こんなオバサンになってから毎日朝シャンをしているなんて、昔の私が知ったらビックリするだろう。
もう立秋も過ぎたというのに、当分猛暑が続きそうだ。
私の朝シャンも、しばらく続行予定である。
いいなと思ったら応援しよう!
山崎豊子さんが目標です。資料の購入や、取材の為の移動費に使わせて頂きます。