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「専門性がある」だけでは価値はない

『平民の平民による平民のための書』全9章・100項から、第068項(陸 仕事の基礎力)を掲載します。全文は公式サイトで読めます(無料・登録不要)。


大事なのは、専門性があることではありません。その専門性を使って、どんな価値を生み出すか。今日はその話です。

数年前にジョブ型雇用が話題になったあたりから、「これからの時代は専門性だ」という話を、よく聞くようになりましたよね。

それ自体が間違いだとは思いません。でも、ひとつだけ言わせてください。専門性を「持っている」という状態に、満足してはいけない。もっと言えば、専門性を持っていること自体には、なんの価値もないんです。

これはほかでもない私自身が、新卒の頃に思いきり勘違いしていたことです。

私は大学時代にUSCPA、米国公認会計士の資格を取っていました。そのおかげで、入った会社では「専門人材候補」のような扱いで、ちょっとチヤホヤされたんです。天狗になっていたつもりはありません。でも今思えば、「専門知識を持っているだけで、自分には価値がある」と、完全に勘違いしていました。

立派な剣を持っているだけで、強くなった気になっていた。でも、剣は振らなければ意味がないわけで、その振り方がわかっていなかったら何の役にも立たない。仕事とは、つきつめれば価値を生む営みです。前に、どんな仕事も設計情報を何かに転写して価値を生むモノづくりだ、という話をしましたね。だとすれば専門性も、何かの価値に転用されてはじめて意味を持つ。持っているだけの剣に価値はないんです。

最近は「どんな専門性を身につけるべきか」「より希少価値の高い専門性はどれか」という話も増えてきました。それも大事です。でも、もうひとつだけ問いを持っていてほしい。その専門性を身につけて、キミは結局、どんな価値を生みたいのか。

そして専門性を価値に変えるには、それを使うためのビジネスの教養も要ります。前に、これからはジェネラリストの時代だ、という話をしましたね。専門性とは矛盾しません。ビジネス全体を見渡せるジェネラリストでありながら、ある領域では確かな専門性も持っている、その両取りこそが、専門性を本当に価値へ変える形だと、私は思っています。

提案

いまキミが持っている、あるいはこれから身につけようとしている専門性を、一つ思い浮かべてください。そのうえで、紙に一行だけ書いてみる。「この専門性で、私は誰の、どんな困りごとを解きたいか」。書けたら上等。すぐ書けなくても大丈夫、その問いを持っているだけで、専門性の磨き方が変わってきます。


この本について

『平民の平民による平民のための書』は、大学生・20代の若手社会人に向けて、人的資本の育て方を100の型にまとめたものです。全9章・100項。平民Laboのコーチングのカリキュラムも、この100の型に基づいています。

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著者について

コンサルティングファームで問題の切り方を、経理財務とUSCPAで数字の裏づけを、経営企画と経営研究機関で経営の視座を、それぞれ実務のなかで身につけてきました。平民Laboでは、それを進路選びと日々の仕事に効く形に翻訳して渡しています。

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このシリーズについて

『平民の書』全100項を、平日1日1項ずつ掲載しています。

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