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朽ちる

モノならば 朽ちたとて
朽ちたなりの美しさも在るだろう

僕の母は 演劇を通し知り合った父と
恋に落ち 猛反対する家族から
逃れるように駆け落ちをし
女優業も モデル業も捨て

僕が18の時
ステージ4の末期癌で この世を去った
10代の頃 幾人かと付き合って来て
その誰よりも美しいプロポーション
ボディライン そんな母だった
特別 何か!をしていた訳でもなく
そんな母も 病室のベッドに
幾つもの管に繋がれ
筋肉も脂肪も無くなり
骨と皮膚だけの様な
床ずれも出来
病と床ずれで 痛いハズ!
なのに 一切 口には出さなかった

入院した時点で 持って1ヶ月
だいたい その通りに 生命の
灯火が消えた
僕から見ても もはや誰?
それまでに祖父などの
葬儀に出席した事は在るが
目の前で 息を引き取る人間は
母が初めてだった

朽ちて 美しいとは言い難い姿
病室で医師が告げたご臨終です
あの言葉の時点では


父も 都内で飲んだ帰りだか
雨降る夜に 道端で倒れていたらしく
救急搬送され 3ヶ月の入院生活
そもそも病院嫌いの人だったし
何故3ヶ月かと言うと 色々な検査を
しても 原因不明だった
腹水が溜まるとか ……

退院してから 母の後輩だった女性の
家で養生していた
最初の内は 会話も 出来たが
徐々に 会話も 記憶も曖昧になり
街に出たら やたらとモテた父も
見る影すら無くなり
やせ細り 会話も出来ず

部屋に1人の時に肺炎で亡くなり
司法解剖をされ ……

あの人は 本当によくモテた
確かに 見た目も良いが 人として
素晴らしい人だった
優しすぎる所は 良い場合と
駄目だろ!な場合が在るけれど

それから自分自身 仕事の仲間や
友達も 若くして逝く様になり
皆 朽ち果て 消えていった

人の亡くなる姿や なくなってからの姿
そこには朽ち果てた美は感じられず
まぁ、それが正常なのだとは思うが
自分の番が来た時  想像したくは無い
色々な死に直面して来て
何時かは自分自身もなのだろうが

死が怖いと思った事は無いが
醜態は晒したくは無いかな
まぁ、誰かが見る羽目にはなる
だろうけれど

人の死と 朽ち果てる美は
結びつかないし
病だろうと事故だろうと
時折 考えてはしまう

僕の寿命は18年と言われ
その18年の時には母が
アレから随分と時が経ち

悲しみは無いが 悔いはある
もっと沢山の 親孝行をしたかった
母をもっと笑わせたかった
父とは もっと沢山話しをしたかった

過ぎた事とは言えど 悔いているし
2人の子で本当に良かったと感謝
している
親より先では無かった分
ほんの少しだけ 親孝行だったのだろう

兄弟も無く この親の事で話す事も無く
両親の友人達の心には残っているだろう

今!自分が辛い思いを している人へ
朽ち果てて 良い事なんて無い
絶対に 悲しみ 嘆いても 少しの
希望だけでも持って欲しい
そして その希望へと向かって欲しい

嫌でも明日は来る  毎日 毎日
だから絶対に負けて欲しくはない

さて 御盆か!
両親が来るやもしれぬ
にぎやかに迎えて あげたいものだ
どうせ僕の心配などしていないハズ
あなた達の子なのだからね
って事は 来ない可能性もあるのか
でも祖父や祖母は顔くらい見に
来るかもしれないよね

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