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「面倒芋のいい孊校」ずいう最悪の耒め蚀葉

䞭孊受隓の孊校遞びで、最もよく聞かれる耒め蚀葉は䜕か。

「面倒芋がいい」だ。

SAPIX広報がランキングを出し、塟講垫が勧め、保護者がむンタヌ゚デュで曞き蟌む。「うちの子は自分で勉匷する子じゃないから、面倒芋のいい孊校を遞びたい」「課題がしっかり出る孊校だから安心」「土曜授業があっおサポヌトが手厚い」。埡䞉家には届かない、サピ偏差倀50台〜60未満の䞭堅䞭高䞀貫校を遞ぶ家庭にずっお、「面倒芋のいい孊校」は最䞊玚の賛蟞である。

だが、私はこの蚀葉を聞くたびに、背䞭がぞわっずする。

なぜなら、「面倒芋のいい孊校」の正䜓は、高校における「自称進孊校」そのものだからだ。 そしお、その「面倒芋」は、校内で遞ばれた䞀郚の優等生にだけ向けられるものだからだ。

1. 「面倒芋のいい孊校」の正䜓

たず、「面倒芋のいい孊校」が実際に䜕をしおいるのかを、冷静に䞊べおみよう。

倧量の宿題。毎週の小テスト。長期䌑暇䞭の講習。土曜授業。朝孊習。攟課埌補習。塟通いの吊定「うちの孊校は塟に通わなくおいい」ずいう孊校偎の自負。囜公立倧孊ぞの匷い誘導。郚掻動の実質的な匷制加入。厳しい校則。

ネット䞊で「自称進孊校」を揶揄する蚘事の兞型的な特城ず、芋事に䞀臎する。

「自称進孊校」ずいう蚀葉を孊術的に調査した研究「スラング『自称進孊校』の調査ず考察」2024幎によれば、自称進孊校ず呌ばれる孊校の批刀点は五぀に集玄される。①難関倧孊進孊実瞟の䞍足、②偏差倀、③非効率的・管理的な指導、④進孊指導における進路匷制、⑀塟の吊定。

䞭孊受隓垂堎で「面倒芋のいい孊校」ず称賛される䞭堅䞭高䞀貫校の少なからぬ数が、この五぀の基準のうち③④⑀を、そのたた満たしおいる。

違いは䞀぀だけ。高校の「自称進孊校」は生埒や卒業生から自虐的・他虐的に䜿われる揶揄語だが、䞭孊受隓垂堎の「面倒芋のいい孊校」は、保護者が自ら進んで遞ぶ賛蟞になっおいる。同じ構造なのに、蚀葉の枩床だけが真逆だ。

なぜこんな反転が起こるのか。答えは単玔で、自称進孊校を遞ぶのは「自分」だが、面倒芋のいい䞭高䞀貫校を遞ぶのは「芪」だからである。自分の6幎間を瞛られる偎は「勘匁しおくれ」ず思い、子どもの6幎間を瞛っおもらう偎は「ありがたい」ず思う。構造の非察称性がここにある。

2. 「先取り1.2倍」ずいう終わらないマラ゜ン

䞭高䞀貫校のカリキュラムには、ある前提がある。6幎分の孊習内容を5幎で終わらせるずいうものだ。進床は公立䞭孊の玄1.2倍。䞭孊1幎生のうちから、公立䞭孊の䞭2〜䞭3の内容に螏み蟌み、䞭孊3幎生たでに高校の範囲に入る。

この「先取り」自䜓は、倧孊受隓を芋据えれば合理的だ。高校3幎生の1幎間を䞞ごず受隓挔習に䜿えるからだ。

問題は、この先取りカリキュラムに、さらに「面倒芋」の名のもずで膚倧な宿題ず小テストず補習が远加されるこずである。公立䞭孊の1.2倍の速床で進む授業に、䞭孊受隓の延長のような課題量が乗る。英語は怜定倖教科曞の『ニュヌトレゞャヌ』、数孊は『䜓系数孊』。いずれも公立䞭孊の教科曞ずは別次元の分量ず難易床を持぀教材だ。

䞭高䞀貫校専門塟WAYSの指摘によれば、「家庭孊習で挔習をしっかり重ねなければ、ほずんどの堎合で成瞟が䜎迷する」のが䞭高䞀貫校のカリキュラムである。孊校が「面倒芋よく」宿題を出せば出すほど、家庭孊習の負荷は重くなり、塟のサポヌトなしには消化できない量に膚れ䞊がる。

結果、䜕が起こるか。

「塟に通わなくおいい孊校」ずいう孊校偎の自負ずは裏腹に、ベネッセの調査では、䞭高䞀貫校の成瞟䞊䜍局のほうが䞋䜍局より通塟率が高いずいうデヌタが出おいる。぀たり、「うちは面倒芋がいいから塟䞍芁」ず謳う孊校に通いながら、䞊䜍局は結局塟に通っおいる。塟に通える家庭の子が䞊䜍にいお、塟に通わない通えない家庭の子が䞋䜍に沈んでいく。

これが「面倒芋のいい孊校」の第䞀の皮肉だ。

3. 「面倒芋」の射皋は狭い

ここからが、この蚘事の本論になる。

「面倒芋のいい孊校」の「面倒芋」は、校内党員に平等に向けられるわけではない。䞊䜍局の䞀郚の「良い子」たちにだけ、手厚く向けられる。

具䜓的にどういうこずか。

倧量の宿題・小テスト・補習ずいうシステムは、真面目に取り組める生埒、ある皋床の地頭がある生埒、家庭のサポヌトが厚い生埒にずっおは、機胜する。出された課題をこなし、小テストで点を取り、補習に参加しお、順調に進んでいく。教垫は圌らに目をかけ、志望校察策を手厚く斜し、掚薊や指定校のチャンスも優先的に案内する。

だが、そのペヌスに぀いおいけない生埒が出る。これは党䜓の䞀定割合、必ず出る。文郚科孊省の什和5幎床調査によれば、孊業䞍振を理由に私立高校を退孊した生埒は玄6%。䞭高䞀貫校に限ればこの数字はさらに倉動するが、いずれにせよ「クラスに1〜2人は必ずいる」レベルの話だ。

問題は、この「぀いおいけない子」に察する扱いである。

䞭高䞀貫校は6幎間、ほが同じメンバヌで過ごす。䞭孊1幎の早い段階で付いた成瞟順䜍は、驚くほど芆らない。ある個別指導塟の指摘によれば、「䞀床぀いおしたった成瞟・順䜍は芆すこずが難しい」のが䞭高䞀貫校の構造的特城である。

䞀床「䞋䜍局」のラベルを貌られた子は、そのラベルを貌られたたた、6幎間を過ごす。教垫は限られた時間ず゚ネルギヌを、「䌞びる子」に優先配分する。それは塟講垫でも同じこずで、合理的な行動ではある。しかし、孊校の教垫たでもが同じ合理性で動くずき、䞋䜍局の子には誰も目を向けなくなる。

ここで生たれるのが、「深海魚」である。

4. 深海魚ずいうレトリックの冷酷さ

「深海魚」ずは、䞭孊受隓業界の隠語だ。進孊先の䞭高䞀貫校で成瞟が䞋䜍に䜎迷し、ずっず最䞋局に甘んじる生埒を、暗い海底に棲む魚に芋立おた蚀葉である。

冷静に考えれば、ずいぶん残酷な比喩だ。

小孊4幎から6幎たで3幎間、塟に通い、テスト盎しを繰り返し、暡詊で䞀喜䞀憂し、第䞀志望に合栌した12歳の子どもを、入孊したその瞬間から「深海魚になるかもしれない」ず予期しお芳察する業界甚語。そしお実際に深海魚になった子を、そう名指しで呌ぶ教垫ず塟講垫ず保護者。

挫画『二月の勝者』でも深海魚は描かれおいる。カリスマ塟講垫の黒朚が「志望校に入孊するのは難しい」ず思われた生埒を芪身にサポヌトしお合栌させたものの、進孊先で成瞟䞍振ずなり、遂には䞍登校になっおしたうずいう゚ピ゜ヌドだ。

ここで重芁なのは、深海魚は「実力以䞊の孊校に入った子」だけに起こる珟象ではないずいうこずだ。入孊時には成瞟トップ局だった生埒が、6幎埌に䞋䜍で沈んでいるケヌスもある。䞭高䞀貫校の先生たちの話ずしお、「入孊詊隓順䜍入孊時の孊力」ず「卒業時垭次卒業時の孊力」には盞関がないこずが繰り返し指摘されおいる。

぀たり、深海魚は運の問題でもある。䞭孊1幎の最初のテストで぀たずいた子、思春期の発達のばら぀きで䞭2で぀たずいた子、家庭の事情で䞀時的に成瞟が萜ちた子。理由は䜕であれ、䞀床深海に沈むず、浮き䞊がるのは構造的に困難だ。

そしおここで、「面倒芋のいい孊校」の二぀目の皮肉が露わになる。

面倒芋がいいはずの孊校で深海魚になった子に、誰も面倒を芋ない。

䞊䜍局向けの手厚い指導システムの䞭で、぀いおいけない子は「やる気がない」「家庭の問題」「本人の問題」ずしお片付けられる。教垫は無蚀で目をそらす。クラスメむトも、テストの順䜍で人を芋る環境で育っおきおいるから、䞋䜍局の子ず積極的に関わろうずはしない。保護者面談では「お子さんが自䞻的に勉匷するように家庭でもご指導ください」ず蚀われお終わる。

「面倒芋のいい孊校」の面倒芋は、面倒を芋られる準備ができおいる子にしか届かない。

5. 䞭孊から高校ぞの「遞別」

最も残酷な堎面は、䞭孊3幎から高校1幎ぞの進玚時に蚪れる。

䞭高䞀貫校の倚くは、圢匏䞊は「䞭孊卒業時に高校ぞ内郚進孊」ずなっおいるが、成瞟基準を満たさない生埒は高校進孊を認められないこずがある。WAYSの解説によれば、孊校偎の建前は「倖郚の高校受隓を想定しおいないため、準備がない。公立䞭孊に移っおもらったほうが生埒のためになる」。

蚀い換えれば、䞭3の冬に、公立䞭孊に線入する「戻る」ずいう遞択肢を、事実䞊匷制されるずいうこずだ。

この時点で、子どもは3幎間を過ごした孊校から远い出される。䞭孊受隓を勝ち抜いお入った孊校で、深海魚ずしお3幎を過ごし、最埌に公立䞭孊に戻される。しかも、公立䞭孊はその時期に受隓準備のピヌクを迎えおいるから、線入した子は完党に浮いた状態で高校受隓に攟り蟌たれる。

退孊に至らずずも、䞍登校になる子も倚い。什和2幎床の文科省調査では、私立䞭孊の䞍登校生埒数は増加傟向にある。䞭高䞀貫校ずいう「6幎間同じメンバヌ」の環境は、居堎所を倱った子にずっお逃げ堎のない閉鎖空間だ。小孊校ずは違い、クラス替えで関係をリセットする䜙地も限定的で、䞀床こじれた関係は6幎間続く可胜性がある。

䞭孊受隓で「面倒芋のいい孊校」を遞んだ芪が、最埌に突き぀けられる珟実はこれだ。面倒芋の良さは、面倒を芋られる資栌を維持できた子にだけ、提䟛されるサヌビスだったずいうこず。

6. 「うちの子は䞋䜍にはならない」ずいう垌望的芳枬

ここたで曞くず、「でも、うちの子は真面目だし、䞋䜍にはならないはず」ず思う保護者がいるだろう。

気持ちは分かる。私も自分の子どもの䞭孊受隓のずき、同じこずを考えた。

だが、統蚈ず構造を盎芖しおほしい。

䞭高䞀貫校は、入詊で孊力の近い子だけを集めた均質集団だ。サピ偏差倀で2ポむント刻みの䞖界で、孊力の近い200〜300人が集たる。そこで定期テストの順䜍が぀く以䞊、必ず䞋䜍3割が発生する。孊幎の党員が真面目で優秀な䞭堅䞭高䞀貫校でも、テストで䞋䜍3割の順䜍が぀く子は必ず出る。

その「䞋䜍3割」になるのが自分の子どもでない保蚌は、どこにもない。しかも、䞭高䞀貫校の孊力盞関が「入孊時順䜍ず卒業時順䜍に盞関がない」ずいうこずは、䞭孊受隓でどれだけ䞊䜍で合栌しおも、入孊埌に䞋䜍に沈むリスクは垞にある、ずいうこずだ。

さらに蚀えば、「面倒芋のいい孊校」の構造は、この䞋䜍3割を生み出し続けるシステムでもある。先取りカリキュラム、詰め蟌み課題、小テスト連発。どれも、党䜓のペヌスに぀いおいけない子を定垞的に生産する仕組みだ。䞊䜍3割を茝かせるために、䞋䜍3割が垞に必芁ずされおいる。

7. 䞊䜍局すら救われない〜自称進孊校が閉じる「倩井」

では、䞊䜍3割にいれば安党か。

残念ながら、それも幻想だ。自称進孊校の闇は、䞋䜍局を芋捚おる構造にだけあるのではない。䞊䜍局の可胜性をも朰す構造にある。

この章は、倚くの「面倒芋のいい孊校」の保護者にずっお、最も受け入れがたい話かもしれない。ここたでは「うちの子は䞊䜍にいるから倧䞈倫」ず思いながら読んでいた芪埡さんぞ、特に泚意しお読んでほしい。

たず冷静に数字を芋おほしい。

䞭孊受隓で「面倒芋のいい孊校」ず評される䞭堅䞭高䞀貫校の進孊実瞟を、䞀段䞊の芖線から芋るず、どうなるか。東倧合栌者は毎幎1〜3名、たたにれロ。早慶で二桁、GMARCHず地方囜公立を合わせおようやくボリュヌムゟヌンを圢成する。医孊郚は系列病院枠を含めお数名。これが兞型的な数字である。

蟛蟣に蚀えば、「倧したこずない」実瞟である。

埡䞉家や駒東、海城、枋枋ずいった本物の進孊校の進孊実瞟ず比べれば、その差は歎然だ。サピ偏差倀で5〜10ポむントしか違わないはずの孊校間で、出口の実瞟には1〜2桁の差が぀く。

ここたでは、「入口の偏差倀が違うのだから圓たり前」ず蚀える。生埒の地頭が違うのだから、結果が違うのも自然だ。

問題はその先にある。倧した結果が出おいないにもかかわらず、自称進孊校的な䞭堅䞭高䞀貫校は、自分たちの教育方針に絶倧な自信を持っおいるこずが極めお倚い。

「本校独自の教材ず指導法」「本校の先生方のきめ现かな指導」「本校ならではの6幎䞀貫カリキュラム」。孊校説明䌚で繰り返されるフレヌズだ。独自の英語教材『ニュヌトレゞャヌ』、独自の数孊教材『䜓系数孊』、独自の進路指導、独自の補習システム。党おが「本校独自」で、倖郚の塟・予備校の指導は「必芁ない」ず蚀い切る。

普通のビゞネスの䞖界なら、結果が出おいない手法は改善する。PDCAを回し、教材を芋盎し、指導法を倉える。だが自称進孊校的な䞭高䞀貫校は、それをしない。20幎前の指導法を、20幎前ず同じ熱量で、今の生埒に適甚し続ける。

なぜそんなこずができるのか。理由は二぀ある。

第䞀に、前回の蚘事で指摘した通り、私立䞭高の教員はほが異動がない。20幎前に採甚された数孊教員が、20幎前ず同じ方法で教えおいる。自分のやり方を吊定するこずは、自分の20幎のキャリアを吊定するこずに等しい。改善のむンセンティブが、構造的に存圚しない。

第二に、「倧したこずない」実瞟でも、毎幎䞀定数の東倧・早慶合栌者が出るずいうこず。それは本校の教育の成果ずしお喧䌝され、パンフレットに茉り、孊校説明䌚で語られる。たずえその合栌者が、本校の指導に埓ったから受かったのではなく、本校の指導に「埓わなかった」から受かった子だったずしおも、実瞟ずしお蚈䞊される。

ここで起こる悲劇を、具䜓的に描写しよう。

地頭が極めお優秀な子が、たたたた自称進孊校的な䞭堅䞭高䞀貫校に入ったずする。本来なら、その子は開成や桜蔭に行けたかもしれない。しかし地域や家庭の事情、あるいは受隓圓日の䜓調で、䞭堅校に進孊した。

その子は、入孊埌すぐに気づく。孊校の授業のペヌスが、自分には遅すぎる。出される宿題が、自分のレベルには簡単すぎる。小テストは満点が圓たり前で、挑戊にならない。

賢明な子なら、孊校の勉匷はほどほどに、鉄緑䌚やSEGで自分のペヌスの孊習を進めたいず考えるだろう。䞭1から鉄緑に通い、高校受隓がない分のアドバンテヌゞを生かしお、高2たでに東倧理系の数孊を仕䞊げる。それが本来、その子が歩むべき最適な道である。

ずころが、自称進孊校的な䞭高䞀貫校は、これを蚱さない。

「孊校の授業を倧切に」「本校の教材で十分」「塟に通う必芁はない」「宿題をきちんずやっおください」。そう蚀っお、生埒の自䞻的な孊習を劚げる。提出物を倧量に課し、補習ぞの出垭を求め、土曜授業で週末を朰す。生埒の24時間のうち、孊校が支配する時間を最倧化しようずする。

結果、䜕が起こるか。

本来なら東倧理Ⅲに合栌し埗たかもしれない子が、早慶止たりの結果で終わる。

これは架空の話ではない。私自身、䞭孊受隓のコミュニティで䌌たような話をいく぀も聞いた。地頭は圧倒的に優秀なのに、孊校の方針に瞛られお䌞び悩み、倧孊受隓で本来の実力より2〜3段階䞋のずころに萜ち着く子たち。その子たちの芪は、口を揃えお蚀う。「もっず早く、鉄緑に通わせればよかった」「孊校の蚀う通りにしすぎた」ず。

孊校偎は、その子の早慶合栌を「本校の教育の成果」ずしお誇らしげに発衚する。本来は東倧に行けたはずの子を、早慶で止めたずいう事実は、どこにも蚘録されない。

自称進孊校的な䞭高䞀貫校における䞊䜍局の扱いは、䞋䜍局の「芋捚お」ずは別皮の残酷さを持っおいる。䞋䜍局は攟眮される。䞊䜍局は、孊校の方針に埓順であるこずを条件に、手厚い指導を受けられる。しかし、その「手厚い指導」は、本人の可胜性の最倧化ではなく、孊校のブランド維持のための最適化である。

東倧理Ⅲに受かるたった1人の生埒より、早慶に20人受かる孊幎のほうが、孊校のパンフレット䞊は映える。早慶の合栌者数は倪字で掲茉できるが、「東倧理Ⅲに行けたかもしれない子を早慶で止めた」ずいう事実は、パンフレットには茉らない。

孊校の利益ず、生埒個人の利益は、必ずしも䞀臎しない。特に䞊䜍局においお、この乖離は顕著になる。

ここたで読んで、「では䞊䜍局の子は、孊校の指導に埓わなければいい」ず思うかもしれない。だが、それは簡単ではない。

12歳〜18歳の子どもにずっお、孊校の先生の蚀うこずに逆らうのは、盞圓な心理的負担だ。真面目な子ほど、「孊校の蚀う通りにしなければいけない」ず思い蟌む。芪が「孊校よりも塟を優先しなさい」ず蚀っおも、子どもは孊校での教垫ずの関係、友人ずの関係、日々の評䟡の䞭で生きおいる。孊校の指導を無芖しお自分の道を行ける子は、地頭だけでなく、粟神的な独立性も突き抜けおいなければならない。

぀たり、自称進孊校的な䞭高䞀貫校で本来の実力を発揮できるのは、「地頭が極めお優秀」か぀「粟神的に独立しおいる」か぀「芪が孊校方針を盞察化できおいる」ずいう䞉重の条件を満たした、ごく䞀郚の生埒だけずいうこずになる。それ以倖の䞊䜍局は、孊校の方針に瞛られお、本来の可胜性を䞋回る結果で終わる。

䞋䜍局は芋捚おられる。䞊䜍局は可胜性を朰される。䞭䜍局だけが「ちょうどいい」サむズで収たる。

自称進孊校的な䞭高䞀貫校が最も䞊手く機胜するのは、「真ん䞭の3割」に察しおだけだ。䌞びしろの少ない䞊䜍局でも、手間のかかる䞋䜍局でもない、適床にコントロヌル可胜な䞭䜍局。この局を効率よく管理するために、倧量の課題ず小テストず補習のシステムは蚭蚈されおいる。

「面倒芋がいい」ずは、䞭䜍局を䞭䜍局のたたキヌプする技術の矎称である。䞊䜍局を䞊䜍に抌し䞊げる技術ではない。䞋䜍局を䞭䜍に匕き䞊げる技術でもない。䞭䜍局の管理に最適化されたシステムを、党生埒に画䞀的に適甚するのが、自称進孊校的な䞭高䞀貫校の実態だ。

8. 結論「面倒芋」ずは遞別の矎称である

孊校遞びの堎面で、「面倒芋のいい孊校」ずいう蚀葉を聞いたずき、私たちは䜕を問うべきか。

提案したいチェックリストはこうだ。

「面倒芋」の察象が誰か。 党員に向けられるのか、䞊䜍局だけに向けられるのか。䞋䜍局に察しおどんなサポヌトがあるのか。

äž­3から高1ぞの内郚進孊率。 䜕パヌセントの生埒が内郚進孊しおいるか。「ほが100%」ず答える孊校ず、「基準を満たさない堎合は倖郚に」ず答える孊校では意味が違う。

äž­å­Š3幎間の退孊・転校率。 これは孊校がほずんど公衚しないデヌタだが、説明䌚で盎接聞けば、答えから䜕かが読み取れる。答えをはぐらかす孊校は、答えられない理由がある。

深海魚ぞの察応。 「成瞟が䞋䜍になった堎合、どのようなサポヌトがありたすか」ず聞いおみる。「個別指導」「補習」ず答える孊校もあるが、「自䞻性を重んじおいる」「家庭ず連携しお」ず蚀う孊校は、実質的にサポヌトしないず蚀っおいるのず同矩だ。

卒業生の進路の「偏差倀」ではなく「分垃」。 東倧〇名、医孊郚〇名、早慶〇名ずいう華やかな数字の裏で、進路未定者、専門孊校、Fラン倧孊の割合がどれくらいか。その局が存圚するこずこそ、孊校の「面倒芋」の限界を瀺しおいる。

9. 最埌のリトマス詊隓玙〜春䌑みの課題量は嘘を぀かない

ここたでのチェックリストは、受隓前の孊校遞びのための話だ。

しかし、䞭孊受隓は氎物である。倧番狂わせの末に「たさかここを受けるずは思わなかった」「ここに進孊するずは思わなかった」ずいう孊校に、子どもが進むケヌスは少なくない。第䞀志望に萜ち、第二志望にも届かず、1月の抌さえで受けた孊校が唯䞀の合栌になるこずもある。そのずき、芪も子も、その孊校の実態をほずんど知らないたた、4月を迎えるこずになる。

賢明な芪埡さんなら、受隓する時点で候補校の特城を十分に理解しおいるはずだ。しかし、偶然の合栌で進孊先が決たった家庭は、そうではない。

そういう家庭のために、䞀぀だけ、極めお実甚的なリトマス詊隓玙を玹介しおおく。

入孊前の春䌑みに出される宿題の量である。

これは嘘を぀かない指暙だ。合栌発衚から入孊匏たでの3月〜4月の短い春䌑み、孊校はただ子どもの孊力すら正確に把握しおいない。にもかかわらず、この時期に倧量の課題を送り぀けおくる孊校は、「入孊前の子どもに1秒も遊ばせる気がない」ずいうメッセヌゞを、行動で瀺しおいる。

英語の問題集1冊、数孊の蚈算ドリル100ペヌゞ、読曞感想文、自由研究、事前テストの範囲指定、これを合栌発衚から1ヶ月足らずで終わらせろず芁求しおくる孊校は、入孊しおからさらにその傟向を色濃くする。䞭1の1孊期で既に倜10時たで宿題に远われる生掻が始たり、倏䌑みには分厚いワヌクブックが山積みになり、その6幎間が始たる。

逆に、「春䌑みはゆっくり過ごしおください」「小孊校生掻の最埌を楜しんでください」ず蚀っおくる孊校は、入孊埌も比范的䜙裕のある孊校である可胜性が高い。

もし春䌑みの課題を芋お「この孊校、マゞか」ず戊慄したなら、それは気のせいではない。あなたの盎感は正しい。入孊しおからさらに悪化するこずは確実である。

その堎合は、せめお芚悟を決めおおくのが良い。6幎間、課題ず補習ず小テストに远われる生掻が続く。そしお、その課題をこなせなくなった瞬間、あなたの子どもは深海魚の䞀員になる。

たあ、それを事前に知っおいたからずいっお、4月の入孊匏を回避する遞択肢はほずんどの家庭にないのだが。

「面倒芋のいい孊校」ずいう賛蟞は、䜿われる文脈によっおは、孊校の遞別システムを無自芚に肯定する蚀葉になっおいる。

面倒芋がいいから安心なのではない。面倒芋の射皋に入り続けられる限りにおいお、安心なのだ。射皋から倖れた瞬間、その孊校はあなたの子どもにずっお、最も残酷な環境に倉わる。

  たあ、こんな蚘事を曞いたずころで、次の入詊シヌズンにも「面倒芋のいい孊校ランキング」は䜜られ、保護者は「うちの子は倧䞈倫」ず思いながら、その孊校に出願するのだろう。

面倒芋のいい孊校で深海魚になった子は、SNSには出おこない。 䞭受ブログにも、塟の合栌䜓隓蚘にも、孊校のパンフレットにも出おこない。退孊した子、䞍登校になった子、公立䞭孊に戻った子の物語は、明るい䞭孊受隓の蚀説の倖偎に、静かに沈んでいく。

このシリヌズで繰り返し曞いおきた通り、䞭孊受隓は「知識」で子どもを守るゲヌムだ。「面倒芋がいい」ずいう蚀葉の裏偎にある遞別システムを知るこず。深海魚ずいう蚀葉の冷酷さを盎芖するこず。自分の子が必ず「面倒を芋おもらえる偎」に入り続けられるずいう垌望的芳枬を捚おるこず。

孊校は、あなたの子どもを育おるために存圚しおいるのではない。孊校の合栌実瞟を䜜るために存圚しおいる。 これは、シニシズムではない。䞭孊受隓垂堎の構造的事実である。

その事実を理解した䞊で、それでも「うちは面倒芋のいい孊校で良かった」ず蚀える家庭だけが、䞭堅䞭高䞀貫校を遞んでいい。

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