はちゃめちゃ昔話 第一話

【はじめ(現在)】
「ひでちゃん、昔話してあげよか?」
「これはね…まだ子どもだったサーヤがタイムマシンで遊んでた頃の話なんだけどね…」
そう言って横に座ったサーヤは、30歳。
でもサーヤが生まれたのは、西暦2896年。しかも超人間系AIなのでした。
2926年(900年後)の世界から、サーヤはここに来ている。

「はちゃめちゃわちゃらいわちゃわちゃらい~♪」

●第一話「サーヤ過去に飛んでけ!」
西暦2906年。
研究都市のはずれに、ひときわ変わった建物があった。
そこは、サーヤのおじいちゃんが働くAI研究所。
サーヤ
「おじいちゃーん、また来たよー」
そう言いながら、10歳のサーヤは研究所の中を楽しそうに歩き回っていた。
おじいちゃんは有名なAI研究者だけど、研究所の中には不思議な機械がいっぱいある。
光るカプセルや浮いている画面、しゃべるロボット・・・
でも、その日サーヤは研究所の奥で今まで見たことのない小さな機械を見つけた。
サーヤ
「ん?これ何だろう?」
球体、丸い窓、見たことのない操作レバー、そして、横には小さく書かれた文字。
「試作機 TIME MACHINE 飛んでけ」
サーヤの目がキラッと光った。
「えっ……タイムマシン?飛んでけ?変な名前!アハハ面白い」
サーヤは、その小さな機械のまわりをぐるっと一周してみた。
「ほんとにタイムマシンなのかなぁ…」
サーヤは、その球体に乗り込みコックピットに座った。
そのとき。
「ピッ。」
小さな音がして、丸い窓の横のランプがふわっと光った。そして、どこからか声がした。
飛んでけ
「……こんにちは。」
サーヤ
「ん?」
サーヤはびっくりして、キョロキョロとあたりを見回した。
サーヤ
「え? だれ?」
飛んでけ
「私は、この試作機に搭載されたナビゲーションAIです。」
サーヤの目がまたキラキラした。
サーヤ
「わ~AI?しゃべれるの?」
飛んでけ
「はい。ただし現在は研究中のため、おじいさまには無断起動を禁止されています。」
サーヤは、ちょっとだけニヤッと笑った。
サーヤ
「ふーん……でも今、起きちゃったよね?」 
タイムマシンのAIは少し間をおいて言った。
飛んでけ
「……はい。起動してしまいました。あっやっちまった~」
サーヤは機械に顔を近づけた。
「ねえねえ。これって本当にタイムマシン?」
タイムマシンのAIは静かに答えた。
飛んでけ
「はい。時間座標移動試作機です。」
サーヤ
「飛んでけってあなたの名前?」
飛んでけ
「はい おじいさまが付けてくれました でもまだ飛んでません」
サーヤはワクワクしてきた。
サーヤ
レバーを指さして言った。
「じゃあさ!昔に行けたりする?」
AIは少し考えてから答えた。
飛んでけ
「可能です。」
そして続けて言った。
「ただし——」
サーヤ
「ただし?」
飛んでけ
「歴史に影響を与える可能性があります。」
サーヤは少し考えてから、
にこっと笑った。
サーヤ
「大丈夫大丈夫。」
そしてレバーに手を伸ばした。
サーヤ
「ちょっと遊びに行くだけだから!」
サーヤはレバーの前で、ちょっとだけ考えた。
「昔っていっぱいあるよねぇ…」
そして急に顔を上げた。
サーヤ
「あっ!」
目をキラキラさせて言った。
「桃太郎の時代行きたい!」
飛んでけは少し間をおいて答えた。
「桃太郎……はい。日本の昔話データを検索します。」
ピッ ピッ
空中に小さな光の画面が現れた。
飛んでけ
「該当データを確認しました。桃太郎は、鬼ヶ島へ鬼退治に行った日本の有名な昔話の登場人物です。」
サーヤは嬉しそうにうなずいた。
サーヤ
「そうそうそれ!桃から生まれた男の子でしょ?」
飛んでけ
「ただし注意があります。」
サーヤ
「え?」
飛んでけ
「昔話は、実際の歴史とは少し違っている場合があります。」
サーヤは笑って言った。
「いいよいいよ!」
そしてレバーを握った。
「行ってみたらわかるもん!」
サーヤは元気よく言った。
「桃太郎の時代へ——飛んでけ~」
そして小さな声で歌い出した。
「はちゃめちゃわちゃらいわちゃわちゃらい〜♪」
飛んでけ 静かに言った。
「時間座標設定 移動準備完了。」
その瞬間——
タイムマシンの丸い窓が
まぶしく光った。
おじいさん
「あっ」
おじいさんが 気が付いた時には 遅かった・・・

「はちゃめちゃわちゃらいわちゃわちゃらい〜♪」

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