【真・自己紹介】「自分でやった方が早い」と思っていた僕が、“主人公を育てるマネジメント”にたどり着くまで
「自分でやった方が早い」と思っていた僕が、“主人公を育てるマネジメント”にたどり着くまで
「自分でやった方が早い」
管理職やリーダーを経験したことがある人なら、
一度くらい思ったことがあるんじゃないでしょうか。
僕はありました。
というより、昔はかなり本気でそう思っていました。
仕事が止まっていたら、自分でやる。
メンバーが迷っていたら、答えを教える。
やり方が違っていたら、「こうした方がいいよ」と修正する。
その方が早いし、失敗も少ない。
なにより、それがリーダーとしての親切だと思っていました。
当時の僕が思い描いていた「良いリーダー」は、
誰より仕事ができて、誰より知識があって、
困ったときには正解を教えられる人。
言ってしまえば、
チームの中で一番優秀な“主人公”になろうとしていたんです。
でも今振り返ると、
それが僕のマネジメントで最初につまずいた原因でした。
育てているつもりで、考える余白を奪っていた
初めて本格的にチームを任された頃。
僕には、自分なりに積み重ねてきた経験がありました。
「こうすると上手くいく」
「ここではこう判断した方がいい」
「このやり方なら失敗しにくい」
だから、それを惜しみなくメンバーに伝えていました。
僕としては、かなり親切なつもりです。
攻略本を持っているなら、渡した方が早いし
わざわざ同じ落とし穴に落ちてもらう必要はない。
そう考えていました。
でも、その中に一人、
自分なりの考えをしっかり持っているメンバーがいました。
能力も高い。
経験もある。
そして、自分で考えながら仕事を進めたいタイプでした。
そんな彼にも僕は、
「こうした方がいい」
「次はこうやってみよう」
「僕ならこうする」
と、自分の答えを渡し続けました。
良かれと思って。
本当に、良かれと思って。
でも僕は一つ、
大事なことをしていませんでした。
彼がどう考えているのかを、
ほとんど聞いていなかったんです。
自分では育てているつもりでした。
けれど実際には、
考える前に答えを渡し、
試す前にやり方を決め、
彼自身の仕事なのに、
僕の正解へ近づけようとしていた。
そして、
その関わりはうまくいきませんでした。
最後には、
彼がチームを離れるという経験までしました。
あのとき初めて、
「こんなに一生懸命やっているのに、
なぜうまくいかないんだろう」
と本気で悩みました。
そして少しずつ気づき始めました。
もしかすると、
教えることと、育てることは同じじゃないのかもしれない。
ここから僕のマネジメントは、大きく変わり始めました。
教えることと、育てることは同じじゃなかった
そこから僕は、少しずつメンバーとの関わり方を変えていきました。
それまでは、
「どうすれば上手くできるか」
を僕が考えて、答えを渡していた。
でも、やめました。
もちろん、何も教えなくなったわけではありませんよ。
経験がない人には、まずやり方を伝える。
危険がある場面なら、迷わず指示する。
一方で、自分なりの考えを持っている人には、すぐに答えを渡さない。
「どうしたい?」
「どこで迷ってる?」
「あなたはどう考えてる?」と、
まず相手の中にある答えを聞いてみる。
最初は正直、もどかしかったです。
僕が答えを言えば、30秒で終わるのに
相手が考えるのを待てば、数分はかかる。
だから頭の中では何度も、
「いや、もう言っちゃった方が早くない?」
という声が聞こえてきました。
でも、そこで答えを奪わない。
相手が考える時間を待つ。
必ず答えを出してくれると
心から信じて待つことを繰り返しました。
そして、出てきた考えに対して、
「いいアイデアだね!じゃあ、まずやってみよう」
と背中を押す。
そうやって関わっていくうちに、
少しずつ変化が起きて
こちらから細かく言わなくても、
自分で考える人が増えていったんです。
もちろん、
最初から全部うまくいったわけではありません。
失敗することもある。
判断を間違えることもある。
僕から見れば、
「そこ、そうなるか!」
と頭を抱えたくなることもありました。
でも、その失敗をすぐに取り上げて、
「だから最初から僕の言う通りにすればよかった」
とは言わない。
一緒に振り返る。
何を考えていたのか。
どこで迷ったのか。
次に同じ場面が来たら、どうするのか。
すると、失敗がただの失敗ではなくなっていきます。
次に自分で判断するための経験になる。
ここで僕は、ようやく分かり始めました。
育てるというのは、
正しい答えをたくさん教えることではないんだと。
その人が、自分で答えをつくれるようになることなんだ。
そして、それには「任せる」だけでも足りません。
教えた方がいい場面もある。
問いかけた方がいい場面もある。
背中を押す場面もある。
黙って見守る場面もある。
大事なのは、
自分が何をしたいかではなく、
その人が今、何を必要としているか。
そこを見ることでした。

僕がいなくても、チームが動き始めた
関わり方を変えてから、チームの空気も少しずつ変わっていきました。
以前の僕は、
「リーダーなんだから、自分が一番考えなきゃ」
と思っていました。
でも、あるときから逆の景色が見えるようになりました。
僕が何かを言う前に、メンバー同士で話し始める。
誰かが迷っていたら、別の誰かが声をかける。
一人では足りないところを、別の誰かが自然に補う。
「あれをやって」
「次はこれをやって」
と僕が全部指示しなくても、チームが前に進んでいく。
リーダーなのに、出番が減っていくんです。
昔の僕なら、少し不安になったかもしれません。
「俺、ちゃんと仕事してる?」って。
でも、その頃には逆に思うようになっていました。
これでいいんだ。
僕が全部動かしているうちは、僕が止まればチームも止まる。
でも、一人ひとりが考えられるようになれば、僕がいなくても進める。
そして、そのチームで僕たちは全国1位という結果を経験しました。
もちろん、結果は嬉しかったです。
全国の舞台で一番になる。
簡単に経験できることではありません。
でも今振り返ると、
僕の中に一番残っているのは「1位」
という数字だけではありません。
それ以上に嬉しかったのは、
僕一人が頑張って勝ったチームではなかったこと。
それぞれが自分の役割を考える。
仲間の状態を見る。
必要なら声をかける。
失敗したら修正する。
自分の強みを出しながら、誰かの弱みを補う。
気づけばそこには、
「リーダーから指示されたから動く人」
ではなく、
自分たちで物語を前に進める人たち
がいました。
当時の僕は、
まだその人たちを「主人公」とは呼んでいませんでした。
でも今なら分かります。
僕があの頃つくりたかったチームは、
一人の優秀なリーダーが引っ張るチームではなく、
一人ひとりが主人公として動けるチームだったんです。
そして数年後。
僕は、ある一冊の本と出会います。
その本を読んだとき、
ずっと自分の中にあったマネジメントへの違和感や、
目指してきたものにようやく名前がついた感覚がありました。
僕が育てたかったのは、「主人公人材」だった
僕は一冊の本と出会いました。
新島泰久也さんの
『傍観者が育つ組織 主人公が育つ組織』です。
この本を読んだとき、
「ああ。僕がずっと育てたかったのは、こういう人だったんだ」
と、バラバラだった経験が一本につながった感覚がありました。
本書では、「主人公人材」という考え方が紹介されています。
・目指す理念や目的を持ち、自分から一歩を踏み出す。
・一人ですべてを抱えるのではなく、仲間と関係を築き、
お互いの強みと弱みを補い合う。
・経験から学び、自分の考えや行動を修正していく。
・正解がなくても、試行錯誤しながら新しい方法をつくる。
そして、自分に起きた出来事へ意味を与え、
それらを成長の物語としてつないでいく。

僕はこの考え方が、とても好きです。
というより、
これは今では、僕のマネジメントのバイブルになっています。
なぜなら、僕自身がこれまで
「いいチームだった」と感じた瞬間を振り返ると、
そこにはいつもこんな人たちがいたからです。
彼らは何でもできる
スーパーマンだったわけじゃありません。
迷うこともある。
失敗することもある。
苦手なことだってある。
それでも、
「じゃあ、どうする?」
と自分たちで考える。
分からなければ仲間に頼る。
失敗したら学ぶ。
昨日までのやり方が通用しなければ、別の方法を試す。
そして、また一歩進む。
僕が思う「主人公人材」とは、
何でも一人で解決できる人ではありません。
自分が何を目指しているのかを知り、
そのために自分なりの一歩を踏み出せる人です。
うまくいかなければ仲間を頼り、
経験から学び、
正解がなければ自分たちで答えをつくっていける人です。
そしていつか、
「あの失敗があったから、今の自分がいる」
と、その経験さえ自分の物語の一部にできる人です。
そう考えると、昔の僕は真逆のことをしていました。
メンバーが考える前に、答えを渡し、
迷う前に、道を決める。
そして失敗しそうになったら、先回りして助ける。
これでは、主人公が物語を進める前に、
隣にいる僕が勝手にストーリーを進めてしまいます。
もはや主人公の乗っ取りです。
当時は良かれと思ってやっていたんですけどね。
だから今は、こう考えています。
管理職の仕事は、自分が主人公になることではない。
チームに、たくさんの主人公を生み出すことだ。
自分だけが判断できるチームではなく、
一人ひとりが考えられるチームへ。
自分だけが答えを持っているチームではなく、
みんなで答えをつくれるチームへ。
僕がこれからつくりたいのも、
このnoteを通じて増やしたいのも、
そんなチームです。
このnoteで伝えていきたいこと
だから、このnoteでは
「こう指示すれば人は動く」
というテクニックだけを伝えたいわけではありません。
僕が伝えたいのは、
メンバーが自分で考え、動けるようになるために、
管理職は何をすればいいのか。
ということです。
たとえば、
仕事を任せるとき、どこまで伝えればいいのか。
「どうしたらいいですか?」と聞かれたとき、すぐ答えるべきなのか。
ミスが起きたとき、どんな言葉をかければ次の成長につながるのか。
1on1では何を聞けばいいのか。
会議で誰も意見を言わないとき、どうすればいいのか。
報告が遅いメンバーに、どう関わればいいのか。
僕自身、こうした場面で何度も失敗してきました。
本を読んで、
研修へ行って、
コーチングを学んで、
現場で試して、
「これは全然うまくいかないな」
と頭を抱えて。また試す。
そんなことを10年以上繰り返してきました。
だから、このnoteでは綺麗な理論だけを書きたいとは思っていません。
僕自身がやって失敗したこと。
実際に変化があった関わり方。
本や学びから得た考えを、現場でどう使っているのか。
そこまで書いていきます。
読んだあと、
「なるほど」で閉じるのではなく、
「じゃあ明日、これを一つやってみよう」
と思えるところまで。
管理職やチームリーダーになったばかりの人。
何年か経験しているけれど、
「自分のマネジメント、これでいいのかな」
と迷っている人。
そんな人と一緒に、
主人公が育つチームのつくり方を考えていけたらと思っています。
主人公を育てる「師匠」になろう
もし、管理職になったばかりの頃の僕に会えるなら、
一つ伝えたいことがあります。
「誰より優秀な主人公になろうとしなくていい」
ということです。
昔の僕は、リーダーになったら
誰より詳しくなければいけない。
誰よりできなければいけない。
困ったときには、いつでも正解を出せなければいけない。
そう思っていました。
でも今は違います。
僕が管理職に目指してほしいのは、
主人公ではなく、主人公を育てる“師匠”です。
僕が好きな物語には、
魅力的な師匠たちがたくさん登場します。
ルークを導いたマスター・ヨーダ。
緋村剣心に飛天御剣流を伝えた比古清十郎。
少年だった信に「天下の大将軍」という背中を見せた王騎。
若村麓郎の成長と停滞を鋭く見抜くヒュース。
みんなタイプはバラバラです。
優しく教える師匠もいれば、
「そこまで言う?」
というくらい厳しい師匠もいます。
ですが、彼らには共通していることがあります。
主人公の代わりに、物語を生きないことです。
すべての敵を倒してあげない。
すべての答えを教えない。
転ばないように、ずっと手を握って歩くわけでもない。
見る。問う。教える。背中を見せる。挑戦させる。
そして、歩けるようになったら手を離す。

だから主人公たちは、
自分で考え、
自分で決め、
自分の足で次の一歩を踏み出していく。
マネジメントも、同じなんじゃないかと思っています。
メンバーが迷ったら、問いを渡す。
知らないことなら、教える。
立ち止まっていたら、違う景色を見せる。
失敗したら、一緒に振り返る。
挑戦しようとしているなら、背中を押す。
そして、
一人で歩けるようになったら、
少しずつ手を離していく。
目指したいのは、
「あなたがいないと何も決められないチーム」ではありません。
あなたがその場にいなくても、
主人公たちが相談し、考え、助け合いながら、
自分たちで物語を前へ進められるチームです。
だから、
管理職1年目の僕に一つだけ伝えるなら、
「誰より優秀な主人公になろうとしなくていい。
主人公を育てられる師匠になろう。」
と伝えます。
すぐには、うまくできなくても大丈夫です。
僕も何度も失敗しました。
たぶん、これからも失敗します。
それでも、
問いかけ方を一つ変える。
任せ方を一つ変える。
答えを言う前に、ほんの少し待ってみる。
そんな小さな関わり方の変化から、
メンバーの物語は少しずつ動き始めます。
そしていつか、
あなたが細かく指示をしなくても、
チームの主人公たちが
自分たちで次の物語をつくっていく。
僕は、そんなチームを増やしたい。
そして、
そんな主人公を育てられる「師匠」を増やしたい。
このnoteでは、そのために僕が学んできたこと、
失敗してきたこと、実際に現場で試してきたことを、
これから一つずつ届けていきます。
よかったら、僕と一緒に
「主人公が育つチーム」
をつくっていきましょう。
参考文献
新島泰久也
『傍観者が育つ組織 主人公が育つ組織 自ら動き出す人たちが圧倒的に強い理由』
ディスカヴァー・トゥエンティワン、2026年
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