競輪場にメシを食いに行くのは間違っているだろうか

何やら甘い匂いをさせてh: が戻って来た。
私「何を買ったんだ?」
h: 「甘酒と揚げたてアジフライ、食う?」
組み合わせ… すごいな…
私「さっきのパンもらうよ。」
h: 「アジフライも半分食えよ。」
私「ああ… ありがとう。」

私はコロッケを挟んだパンを手に取った。
まだほのかに温かい。
口に頬張るとサクッとしたコロッケの歯触りとふんわりバターが香る。その後にジャガイモの甘さとソースのスパイシーさが相まって美味しい。
私「うまいな。」
h: 「だろう。素朴だけどうまいよな。」
コロッケは冷凍だろうけどサクッと揚がっているし、パンもふわふわしてる。 
私「さっきから食ってばかりだな。」
h: 「え?メシ食いに誘ったんだから当たり前だろ。」
私は「はっ!」とした。
「変わった所にメシを食いに行く」
そう言われてh: について来た事を思い出した。
私「ありがとう。久しぶりに人間らしい1日だった。寿司もこのパンもうまかった。」
h: は何も言わずに笑ってた。

私「それでさ、今度はこっちがご馳走したいんだけど次の水曜日休みだって言ってたけど暇だよね。」
h: 「いつも思うんだけど、決めつけるのなんなの? 忙しいかもしれないじゃん。美女とデートかもしれないだろ。映画行ったりとかさ。」
私「わかった。ごめんよ。9:30に集合で」
h: 「分かってない!ジャイアンかよ。」
私「おお!アジフライもうまいな。色々食べれて祭りに来てるみたいだよ。」
h: 「確かに… 祭りの時くらいだよな甘酒売ってるの。」
私「神社とかのイメージだよね。普通は置いてない。年配の人が多いからかな?」
h: 「もっと人がいてもいいのにね。座る場所多い割には空いてるよな。」
私「メシ食う場所ってよりもギャンブルのイメージが強いからかな?もったいない気がするけど。」
h: 「古い建物だから入りづらいのもあるかもな。」
私「今日はレースやってないけど、本場開催の時は混んでるのかな?」
h: 「それなりに来るんじゃないの?選手のファンも来るだろうし。あっ!さっきチラシ見たぞ今度本場開催あるの!」
私「えっ?そうなの?」(しらばっくれ)
h: 「あっ!見に来るつもりだろ!それで俺を誘ったろ!絶対そうだ!」
私「奢るから。そんな言うなよ。」
h: 「まあいいよ。気になってるメニューあるし、ラーメンも美味そうだったし。」
私「…… 」 (まあいいか。)

h: 「あっ!そうだこれ。」
お金をジャラッとテーブルに置いた。
私「なんだよこれ?」
h: 「払い戻し。」
私「ええ!?いくらついたの?」
h: 「2300円くらい。おまえ本当に強いよな。川口オートの時も戸田のボートも初見なのに勝ってたし。」
私「随分前だから忘れてた。それに 元気だったし。」
h: 「今も元気だろう。」
私「いや… 腐ってるよ。休日外出するのなんて久しぶりだし。ずっと断ってたでしょ。」
h: 「腐ってる?……  熟成、熟成だよ。チーズだって肉だって旨くなるだろ。メシも食えて、競輪も当たって いいだろ? それで楽しくて。」
私「そうだな。ありがとう。」
h: の口元にアジフライのパン粉が付いてたけど、心配してくれる人が近くにいる事が 本当にありがたいと思った。

私「口の端にパン粉ついてるから。」
入り口でもらったポケットティッシュをh: に渡した。



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