雨が降る前の空は、ちゃんと夏だった
今日は朝から、なんとなく暑くなりそうだなって思ってた。
カーテンの隙間から入ってくる光がもう強くて、起きた瞬間から部屋の中が少し白っぽかった。
夏の朝って、目が覚めたときからもう一日が始まってる感じがする。
冬は布団の中にいる時間まで朝の一部みたいなのに、夏は起きた瞬間から「はい、暑いです」って現実を突きつけられる。
今日はそこまで予定を詰めてなかったから、ゆっくり起きた。
冷たい水を飲んで、顔を洗って、しばらくベッドの上でぼーっとしてた。
スマホを見てたら、友達が昨日の写真を送ってきてて、それを見ながらちょっと笑った。
自分では普通にしてるつもりなのに、写真だと妙な瞬間が残ってたりする。
何かを見てる途中の顔とか、歩きながら口がちょっと開いてるとか。
前はそういう写真、すぐ消したくなってた。
でも最近は、むしろそういうほうがその日の空気まで思い出せる気がして、結構好き。
今日は昼前くらいに外に出た。
近くまで買い物に行きたかったのと、家にいるだけだと一日がそのまま終わりそうな気がしたから。
ちゃんとした目的がなくても、とりあえず外に出ると少し気分が変わる。
服はかなり夏っぽくした。
薄いトップスと、歩きやすいボトム。
暑い日はもう、見た目より涼しさが勝つ。
朝ちゃんと髪を整えても、外に出て10分くらいすると湿気と汗でだんだん意味がなくなるし。
だから最近は、最初から完璧にしようとしないようになった。
少しくらい前髪が崩れてもいい。
むしろそのくらいのほうが写真は自然だったりする。
昼は軽くごはんを食べた。
ものすごくお腹が空いてたわけじゃなかったけど、何も食べないと夕方に変な時間にお腹が空くから。
最近そういうのが多い。
食事の時間が少しずつずれて、夕方にお菓子を食べて、夜ごはんが遅くなる。
夏休みっぽいといえば夏休みっぽい。
でも生活リズムとしてはたぶん良くない。
分かってるけど、直せてない。
ごはんのあと、少しカフェに寄った。
今日はアイスコーヒー。
また。
自分でもさすがに飲みすぎかなって思う。
でも暑い日に外から入って、冷房が効いた店内で氷の入ったコーヒーを飲む時間が好き。
最初の一口だけ、ちゃんと生き返る感じがする。
窓の近くの席に座って、外をぼんやり見てた。
昼過ぎまではすごく晴れてた。
空も明るくて、木の葉が光ってて、いかにも夏って感じだった。
だから、まさか夕方にあんなに雨が降るとは思わなかった。
少し歩いてから帰ろうかなと思って、店を出た。
そのときはまだ大丈夫だった。
ただ、なんとなく空の色が変わってきてた。
雲が増えたというより、明るさが一段落ちた感じ。
さっきまで強かった日差しが急に弱くなって、風が少しだけ冷たくなった。
夏の夕立の前って、あの感じがある。
「あ、これ来るかも」っていう空気。
でも、私は普通に歩いた。
たぶん大丈夫だろうと思って。
こういうときの「たぶん大丈夫」は、だいたい大丈夫じゃない。
5分くらいしたら、ぽつっときた。
最初は本当に少し。
一滴、二滴くらい。
まだ傘を出すほどじゃないかな、って思ってたら、そのあとが早かった。
急に音が変わった。
道路に雨粒が当たる音。
木の葉が一気に揺れる音。
周りの人も急に歩くのが速くなって、みんな同じタイミングで屋根を探し始める感じ。
私も慌てて近くの建物の軒下に入った。
ほんの数十秒だったのに、肩と髪が少し濡れた。
最悪、って思った。
でも、ちょっと面白かった。
さっきまであんなに暑かったのに、一気に空気が変わった。
道路の色も濃くなって、アスファルトから雨の匂いが上がってきた。
夏の雨の匂い、結構好き。
濡れるのは嫌だけど。
軒下でしばらく雨を見てた。
隣にも何人か雨宿りしてる人がいて、みんなスマホで天気を確認してた。
私も見た。
ちゃんと雨雲がかかってた。
見れば分かるレベルのやつ。
だったらもっと早く見ればよかった。
そういうところが雑。
友達に「めっちゃ雨降ってきた」って送ったら、
「こっちも」
って返ってきた。
そのあと、
「傘ある?」
って聞かれて、
「ない」
って返した。
すぐに、
「でしょうね」
って来た。
完全に読まれてる。
折りたたみ傘を持ち歩こうって、毎回雨に降られるたびに思う。
でも晴れた日に家を出ると忘れる。
これをたぶん何年もやってる。
雨はしばらく強かった。
遠くが少し白く見えるくらい。
せっかくなら写真撮りたいなとも思ったけど、さすがにスマホまで濡らしたくなくてやめた。
代わりに、屋根の端から落ちる雨をずっと見てた。
予定が止まる感じが、不思議だった。
急がなくていい理由が急にできる。
雨がやむまでここにいるしかない。
それだけ。
普段だったら、何かしてないと時間を無駄にしてる気がして、スマホを見たり、次に行く場所を考えたりする。
でも今日は、何もしないで雨を見てた。
たぶん10分ちょっと。
その時間が思ったより長く感じた。
雨が少し弱くなってから歩き出した。
完全にはやんでなかったけど、小雨くらい。
道路には大きな水たまりができてて、車が通るたびに水が跳ねてた。
空はまだ暗いのに、西のほうだけ少し明るかった。
変な空。
夏って、こういう一日の中で天気がころころ変わるところも好きかもしれない。
朝はあんなに晴れてたのに。
夕方は土砂降り。
そのあと少しだけ夕焼け。
一日で全部ある。
家に帰った頃には雨もかなり弱くなってた。
玄関に入って、最初に髪を触ったらまだ少し湿ってた。
服も肩のところだけ冷たかった。
とりあえず着替えて、エアコンをつけた。
濡れたあとに冷房の風に当たると寒い。
さっきまで暑い暑いって言ってたのに。
勝手だなと思う。
夜は家でゆっくりした。
外に出てた時間はそこまで長くなかったのに、雨に降られただけで少し疲れた気がする。
アイスを食べながら、今日撮った写真を見返した。
昼間の写真は全部明るい。
木漏れ日とか、青い空とか。
数時間後にあんな雨が降ったなんて全然分からない。
写真って、その瞬間だけ切り取るから面白い。
一枚を見ると、その日の全部がそうだったみたいに見える。
SNSもたぶん同じ。
晴れてる写真を載せたら、ずっと楽しい一日だったように見えるかもしれない。
でも実際は途中で雨に降られて、軒下でぼーっとして、髪も少し崩れてる。
それが本当の一日。
どっちも嘘じゃない。
最近、そういうことをよく考える。
きれいな瞬間だけ残すのもいいけど、予定通りにいかなかったことも、あとから思い出すと結構好きだったりする。
今日の雨も、降ってるときは普通に嫌だった。
サンダルも少し濡れたし、髪も湿ったし。
でも今こうして書いてると、なんとなく今日の中で一番覚えてるのはその時間。
晴れてた昼より、軒下で雨を見てた10分のほう。
変なの。
明日は晴れるかな。
天気予報を見る限り、また不安定らしい。
今度こそ折りたたみ傘を持っていこうと思う。
たぶん。
もし明日また「傘忘れた」って書いてたら、笑ってください。
今日はそんな日でした。
おやすみ。



