イスラーム成立とアラブ帝国―4
第1回 イスラームによるアラブ社会の統一―4
メッカとクライシュ族
イスラームが生まれたメッカは、アラビア半島西部のヒジャーズ地方に位置していました。
メッカにはカアバと呼ばれる聖所があり、イスラーム成立以前から複数の部族が関係する宗教的な場所となっていました。巡礼や祭礼は、人々が一時的に争いを控え、交流や取引を行う機会にもなりました。
このメッカで有力な立場にあったのがクライシュ族です。
ムハンマドも、そのクライシュ族の一氏族に属していました。
クライシュ族の力は、近代国家の政府のようなものではありません。複数の氏族が役割と利害を調整しながら、聖所や都市の秩序を維持する構造でした。
ここでも、個人より氏族が先にあります。
ムハンマドが活動を始めた際にも、彼がすぐに排除されなかった背景には、叔父をはじめとする氏族の保護がありました。新しい教えへの賛否とは別に、部族の成員を外部の者に引き渡さないという規範が働いていたのです。
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