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nandemotaberu
『精神』 ― 58歳の視点から見つめる、魂の破片と芸術の行方
【新作のご紹介:詩『精神』】
先日まで連載しておりました実録小説『忘れ難き旅』。
その全7回を通じ、一人の青年が「精神の破綻」を経験し、
北の大地への旅を通じて
「砕け散った心を再びつなぎ合わせる」までの軌跡をお届けしました。
本日は、その連載の地続きにある「今の言葉」をご紹介します。
58歳になった宏樹さんが、ユトリロやラフマニノフといった
偉大な芸術家たちの生涯に、自らの歩みを重ねて綴った新作の詩です。
精神とは、なんと脆弱で、なんと摩訶不思議なものなのか。
かつて自身の心が「粉々に飛び散った」経験を持つ彼だからこそ見える、
表現者たちの内面の景色。
過去の旅を終え、今もなお「精神」という
広大な宇宙と向き合い続ける彼の、
静かな思索に耳を傾けていただければ幸いです。
ユトリロは、アルコール耽溺者の時
「ユトリロの白」と称された
独特の色彩ニュアンスを醸し出した風景絵を描いて
パリのみならず世界の画壇の評判を獲ちえた。
たが、成功者として
艱難辛苦アルコール耽溺を克服すると
二度と「ユトリロの白」の色彩ニュアンスを
醸し出すことができなくなった。
ラフマニノフは、
若年期秀逸なピアノ協奏曲を作曲して
世界の音楽界の話題をさらったが
貴族故ロシア革命で亡命をせざるをえなくなると、
「ロシアの森が見られなくては作曲出来ない」と
自ら筆を絶った。
ちょうど「二度生まれ」の正反対だ。
精神は何と脆弱にして摩訶不思議な代物だろう
いったい、彼らの内面に
どんな変化が起こったのだろうか?
もしかすると、彼らの精神は、
砕けたガラスの様に
粉々に飛び散ってしまったのかもしれない。
