【エッセイ】ルーマニア渡航紀(part3)
part2でマーケットに行ったと書いたが、演出補佐の日置さんがもりもっちゃんとお土産を探しにいくというので僕もついて行ったのだ。
マーケットはホテルから徒歩10分程度。どことなくアジアンな雰囲気で、埃っぽく雑多な印象だ。
個人的には数日前に行ったイオンのような複合施設で、お土産の目星は付けていたのでマーケットには、物見遊山である。
マーケットは狭い道の両側に店が並び、更にその前に露店もあり、あらゆる中古品と思しきものが売られていた。
服や靴に関しては乱暴に店頭に吊されたり、置かれたりしており、靴に至っては大概片足ずつだ。
店にはadidasやPRADAのロゴが入っているが、売られているものは、しまむら感満載である。
途中、中古のコーラも見つけた。
2ℓのコーラのペットボトルに、うっすい茶色の液体が入ってた。
サステナブルもこうなると果たして持続可能かどうかも怪しい。
だってこれ飲んだら絶対タダでは済まないもん。
更に奥まで進むと、ひき肉を棒状にして焼いた、きりたんぽみたいなものが屋台で売っている。
僕は若干潔癖なところがあるので、ちょっと抵抗感がある。
でも日置さんは勇敢だ。食べてみたいと言い、なんと僕ともりもっちゃんの分まで買ってくれた。
優しい。
でもそうなると、食べないわけにはいかない。
が、3人のうち最初の一口はやめておこうというと思い、様子を窺うことにした。
日置さんが一口頬張る。
そして、中少し赤くない?とか言った。
こうなると僕はもう、このルーマニアきりたんぽを食べる勇気がない。
知らない土地の知らない人間が焼いた生焼け肉。怖すぎる。
少しでも余熱で火が通るように、暫く置いておくが予断を許さない状況だ。
あまり長く置いとくのも失礼ではないか。
一口食べた。炭の香りと強烈な塩味。
つまみとしては最高だ。
中の方は、うっすらピンクかな程度。
どっちだ?どっちに転ぶ展開だ、この色は。
食事中、現地の少年が何かを売りつけに来た。
Noと言っても、ルーマニア語で一生懸命語りかけてくる。
少年よ、君も生きるのに精一杯だろうが、
僕も今、一か八かの肉を食っている最中なんだ。
という切迫感が伝わったかどうかはわからないが、彼は残念そうに帰って行った。
そして僕も肉を平らげた。当然1番最後だ。
2人とも食べるの早いな、恐怖心ないの。
明日生きてるといいなあと思いながら、2人とマーケットを隅々まで見て回る。
日置さんはどこに出しても恥ずかしくない理想のお土産を探しているそうだが、この埃っぽいマーケットになさそうだった。
その後例の商業施設まで行き、僕は目星のお土産を手早く購入。
この施設は建物は大きいが空テナントが多い。
残念ながら日置さんの理想のお土産はここでも見つからなかった。
その後も街を練り歩き、いくつかの店を見て回ったが、収穫なし。
日置さんは、理想のお土産なんて幻想なんだと言い残し、僕らと別れた。
ホテルに帰り、僕ともりもっちゃんは劇場入りまでお昼寝をすることにした。
昼寝から目覚めるとマーケットで見た中古のコーラも、生焼け肉もなんだか白昼夢のように感じて、幻想なんだという日置さんの言葉が蘇る。
結果、体に異常はなく元気に帰国したのできっとあの生焼け肉も幻想だったのでしょう。
