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「手すりを付けたら介護保険の対象外?」電動車椅子のため玄関ポーチにスロープを設置した事例

今回は、電動車椅子で安全に外出できるよう、玄関ポーチにスロープを設置した住宅改修事例をご紹介します。行政は大阪府堺市です。

工事によって玄関前の段差は解消され、電動車いすで移動しやすい動線になりました。

工事開始前にケアマネージャーさんに相談してから、堺市へ介護保険の住宅改修費を申請したところ、今回は支給対象として認められませんでした。

堺市から説明された理由は、スロープに手すりを設置することでした。手すりは介護される方以外にも使用するでしょ…というのが堺市の説明です。

ただし、堺市の公開資料では、手すりやスロープが一律に介護保険の対象外とされているわけではありません。今回の経験から、工事内容だけでなく、手すりを何のために設置するのか、電動車椅子利用者にとって本当に必要なのかを、申請前に明確にしておくことの重要性を感じました。


施工前の玄関ポーチ

施工前の玄関前には、アプローチと玄関ポーチとの間に段差がありました。

一般的な歩行であればそれほど大きな段差に見えないかもしれません。しかし、電動車椅子で出入りする場合、小さな段差でも大きな障害になります。

特に玄関前では、

  • 段差を乗り越える際に車体が傾く

  • タイヤが段差に引っ掛かる

  • 介助する家族の負担が大きい

  • 雨の日に滑りやすくなる

といった危険があります。

施工前は毎回このラダーをだして車椅子を使っていました。

電動車椅子で移動できるスロープを施工

そこで、玄関ポーチまで電動車椅子で移動できるよう、既存の段差部分にコンクリート製のスロープを施工しました。

玄関前の高さに合わせて勾配をつくり、道路側から玄関まで連続して移動できるようにしています。

スロープの外側には、転落や脱輪を防止する目的も含めて金属製の柵を設置しました。

工事後は段差を直接乗り越える必要がなくなり、電動車椅子で玄関前まで進入できる動線になりました。

堺市では介護保険が認められなかった

今回の工事では介護保険の住宅改修費を利用する予定でしたが、結果として支給対象にはなりませんでした。(何度もくどくてすみません)

利用者が使用するのは、歩行器や手動車椅子ではなく電動車椅子です。

電動車椅子でスロープを上り下りする際、利用者自身が手すりにつかまって移動するわけではありません。そのため、「移動を補助する手すり」として申請すると、利用者の身体状況や移動方法との間に整合性がないと判断される可能性があります。(正確な堺市の判断はわかりませんが…)

今回設置した金属製の柵は、実際には身体を支えるための手すりというよりも、車椅子の転落や脱輪を防ぐ安全柵としての意味合いが強いものでした。


手すりやスロープは、本来すべて対象外なのか

堺市の介護保険住宅改修に関する資料では、支給対象となる工事として「手すりの取り付け」と「段差の解消」が示されています。

段差の解消には、玄関から道路までの通路にスロープを設置する工事も含まれます。また、スロープの設置に伴い、転落や脱輪を防止するための柵や立ち上がりを設置する工事も、付帯工事として想定されています。

そのため、「手すりを付けたスロープは、堺市では必ず介護保険の対象外になる」という意味ではありません。

介護保険住宅改修は、同じ工事内容であっても、利用者の身体状況、住宅の状況、普段の移動方法、理由書の内容などを踏まえて個別に審査されます。堺市の資料でも、支給の可否は利用者ごとに異なると説明されています。

今回のケースでは、次のような点が審査結果に影響した可能性があります。

  • 電動車椅子利用者に「つかまるための手すり」が必要なのか

  • 手すりと安全柵の目的が明確に区別されていたか

  • スロープと柵の費用が見積書で分けられていたか

  • 転落・脱輪防止柵として理由書に説明されていたか

  • 利用者の移動方法と工事内容が一致していたか

公開資料だけでは今回の個別判断の詳細までは確認できないため、正式な不支給理由は、堺市から交付された通知や担当窓口の説明を確認する必要があります。


「手すり」ではなく「転落・脱輪防止柵」として整理できた可能性

堺市の資料には、スロープの設置に伴う付帯工事として、転落や脱輪を防止する柵や立ち上がりの設置が記載されています。

そのため、設置する柵の目的が、「利用者が手でつかまるため」

ではなく、「電動車椅子がスロープから外れないようにするため」

であれば、申請時にその目的を明確に説明することが重要です。

見積書にも単に「手すり工事」と記載するのではなく、実際の用途に応じて、

電動車いす使用時の転落・脱輪防止柵
スロープ端部の脱輪防止立ち上がり
スロープ設置に伴う安全対策工事

など、目的が分かる表現にする必要があります。

もちろん、名称を変更するだけで認められるわけではありません。利用者の身体状況や現地の形状から見て、本当に必要な設備であることを図面、写真、理由書などで説明することが大切です。


介護保険の住宅改修は必ず工事前に相談する

堺市の介護保険住宅改修費は、原則として工事前の事前申請と承認が必要です。事前申請をせずに着工した場合や、承認通知を受ける前に工事を始めた場合は、支給対象外になります。

堺市では、要支援・要介護認定を受けた在宅生活者について、20万円を支給限度基準額として、負担割合に応じて7~9割が給付されます。ただし、工事を行えば自動的に給付される制度ではありません。

特に電動車いす用のスロープを検討するときは、工事前に次の点を確認しておくことが重要です。

  1. ケアマネジャーに電動車いすの使用状況を説明する

  2. 堺市の各区役所地域福祉課へ事前相談する

  3. スロープと安全柵の目的を分けて整理する

  4. 工事箇所ごとに費用を分けた見積書を作成する

  5. 平面図や断面図にスロープの幅・長さ・高さを記載する

  6. 電動車いすが安全に通れる有効幅を確保する

  7. 書面による事前承認後に着工する

堺市の資料では、急なスロープを車いすで走行しやすい緩やかな勾配へ改修する例も紹介されています。具体的な勾配は、段差の高さ、敷地の長さ、電動車いすの仕様、介助の有無などを踏まえて検討する必要があります。


工事自体は、生活を大きく改善してくれた

今回は介護保険の対象にはなりませんでしたが、スロープを設置したことで、電動車いすによる玄関の出入りはしやすくなりました。お客様、特に毎朝ラダーの出し入れをしていたお母さんの身体的な負担が多かったので改善できて本当に良かった…。

住宅改修で最も大切なのは、利用する本人が安全に生活できることです。

一方で、介護保険を利用する場合には、単に安全な工事を行うだけではなく、

  • 誰が使用するのか

  • どのような福祉用具を使用するのか

  • 何ができずに困っているのか

  • 工事によって何が改善されるのか

  • 設置する設備の目的は何か

を、工事前の段階で具体的に整理する必要があります。

今回の経験で学んだのは、介護保険の住宅改修は、工事の名称だけで判断されるものではないということです。

「スロープだから対象になる」「手すりだから対象になる」

という単純なものではなく、利用者の身体状況と設備の目的が一致しているかが重要になります。

電動車椅子用の玄関スロープを検討されている方は、見積りや工事を進める前に、ケアマネジャー、施工会社、区役所の担当窓口で十分に打ち合わせることをおすすめします。

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