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良いプレゼンは、話し方ではなく順番で決まる

プレゼンがうまくいかなかった日を振り返ると、
話し方より先に、
話す順番を間違えていたのかもしれません。

以前の私は、プレゼンがうまくいかないとき、
「もっと話し方を磨かないといけないのかな」
と思っていました。

でも実際には、違ったのだと思います。

うまくいかなかった日は、
何を話したかより、
どこから話し始めたかが悪かった。

少し前までの私は、良かれと思って、すぐ戦術から話してしまうことがありました。
「つまり何をやるのか」を早く伝えたほうが親切だと思っていたからです。

でも、そういうときほど相手の反応は鈍い。
説明しているのに、どこかポカンとされる。
話し終わったあとに返ってくるのは、
「で、なんでそれをやるんでしたっけ?」
という質問だったりしました。

今日は、久しぶりに
「良いプレゼンができたな」
と思えました。

話し方が特別うまかったわけでも、派手な演出をしたわけでもありません。
それでも終わったあとに、
「今日は流れが良かった」
という感覚が残りました。

振り返ると、理由はシンプルでした。

プレゼンは「マクロからミクロ」へ降りていく

最初に、市場環境や競合を含めた全体像を描く。
次に、その中でうまくやっている会社の事例を押さえる。
最後に、足元で何をやるのかという戦術に落とす。

この順番で話せたことが、大きかったのだと思います。

プレゼンでは、つい早く答えを言いたくなります。

何をやるのか。
何を変えるのか。
次に何をするのか。

相手も忙しいので、結論から入ったほうが親切に見えることもあります。
ただ、複雑なテーマや、関係者の認識をそろえたい場面では、いきなり戦術から話すとうまく伝わらないことが多い。

なぜその施策なのか。
なぜ今それをやるのか。
なぜ他ではなく、それなのか。

その前提が共有されていないままでは、
どれだけ正しい提案でも、聞き手の中に
「で、なんで?」
が残ってしまうからです。

「で、なんで?」をなくす全体地図の力

逆に、先にマクロを描くと、話は入りやすくなります。

市場は今どうなっているのか。
競合はどう動いているのか。
その中で、うまくいっている会社は何をやっているのか。
そして、自社はいまどこにいるのか。

この地図が見えた状態で、
「だから、まず足元ではこれをやりましょう」
と話すと、戦術が単なる思いつきではなく、全体の中で意味を持った一手になります。

良いプレゼンは、話し方のうまさだけではなく、
相手が今どこにいて、何を見ていて、次にどこへ向かうのかを、迷わせずに渡していくことなのだと思います。

ロジックの骨格に、ナラティブの温度を乗せる

もうひとつ、今日あらためて感じたのは、
全部をロジックだけで押し切らなくていい、ということです。

骨格はロジカルでいい。
でも、ポイントごとに少しだけナラティブに語ると、伝わり方が変わる。

ここでいうナラティブは、感動話をすることではありません。
自分がなぜそこを重要だと思っているのか、その手触りを少し添えることです。

たとえば、市場変化を説明するときも、
データだけを並べるのではなく、
「現場で話を聞くと、ユーザーの迷い方が少し前と変わってきている感覚があります」
と一言入るだけで、伝わり方は変わります。

戦術の優先順位も、
「重要度が高いからです」
だけではなく、
「ここを先にやらないと、現場の小さな詰まりが残る気がしています」
と少し温度を乗せると、単なる説明ではなく提案として届きやすくなる。

ナラティブに語るとは、
感情的になることではなく、
自分の解像度や実感を少しだけ言葉にすることなのだと思います。

プレゼンは「説明」ではなく「納得」の場

プレゼンは、説明の場であると同時に、
認識をそろえ、意思決定を前に進める場でもあります。

だから、全体マッピングがいる。
だから、事例がいる。
だから最後に、足元の戦術まで下ろす必要がある。

空中戦で終わってもいけないし、
足元の話だけでも足りない。

少し上から全体を見て、
そこから、いま踏むべき一歩まで降りてくる。

その流れが作れたとき、
プレゼンは「説明」ではなく「納得」になります。

良いプレゼンは、
うまく話すことではなく、
相手の頭の中に、順番通りに景色をつくることなのだと思います。

全体を描く。
勝ち筋を示す。
そして最後に、足元の一手まで下ろす。

その順番があるだけで、
同じ内容でも伝わり方は大きく変わる。

話し方のテクニックより先に、
まず整えるべきなのは、話す順番なのかもしれません。

相手を動かすプレゼンは、
うまく話したプレゼンではなく、
相手が納得できる順番で景色を見せられたプレゼンなのだと思います。