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管囲と体重、頓挫可能性が一番高い組み合わせは? ― 相関・クロス集計で検証(n=5,300)

管囲と体重、頓挫可能性が一番高い組み合わせは? ― 相関・クロス集計で検証(n=5,300)

管囲(かんい)が太い馬は骨量があって丈夫。
逆に、体が大きいのに管囲が細いと脚元に負担がかかりやすい。
馬体診断でよく語られる見方です。

ウマアイ -eye×AI- のデータベースで、募集時の管囲・体重それぞれと、その後の故障記録の関係を検証してきました。

今回はその2つを1本にまとめ、さらに管囲と体重がどれくらい連動しているか、そして両方を掛け合わせたとき一番頓挫可能性率が高くなる体型はどこかまで踏み込んで検証しています。


【お知らせ】

本記事は下記の馬体診断ツール作成を作る際に出たデータ分析を元にしています。
興味があれば一読ください。


管囲は「谷型」― 中間がもっとも安定する


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管囲を実測0.5cm刻みで見ると、19.5cm付近を底にした谷型がはっきり見えます。19.5cmで26.7%ともっとも低く、そこから細い方・太い方の両方に向かって頓挫可能性率が上がっていきます。

太い方は20.0cm28.9%→20.5cm29.6%→21.0cm30.2%とじわじわ上がったあと、21.5cmで34.7%、22.0cmで34.9%とはっきり水準が切り替わります。

以前の四分位(4等分)集計では27〜31%のレンジに収まるほぼ横ばいの結果に見えていましたが、実測値で細かく刻み直すことでこの谷型が見えてきました。


なお細い側の18.0cm(35.6%)はn=45とサンプルが小さく、振れの可能性がある点には注意してください。


成績で見ると、管囲はもっとくっきりした山型です。


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勝ち上がり率は21.0cmで64.3%とピークをつけたあと、21.5cm・22.0cmで52.7%・47.5%と急激に下がります。
頓挫可能性率の谷(19.5cm)と成績の山(21.0cm)がずれている点も見逃せません。
もっとも頓挫しにくい管囲と、もっとも成績が良い管囲は同じではないのです。太すぎる側(21.5cm以上、n=263、10クラブに分散)は、頓挫可能性率が上がるだけでなく成績も落ちるという、二重に厳しい結果でした。


牡牝で分けると、谷の形は共通・水準が10ポイント違います。


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牡は18.5cmの42.9%から下がり始め21.0cmで32.3%と底をつけたあと21.5cmで35.9%まで戻ります。
牝も同じく21.0cmを底(21.1%)にした谷型ですが、水準そのものが牡よりおおむね10ポイントほど低く推移しています。
谷の形自体は牡牝共通、絶対水準は牡の方が一貫して高い、というのが管囲側の性差です。
なんで牡馬の方が高いのかな…?と思いますが後述する馬体重と故障の関係性を見ると納得できるかもしれません。

なおもう少しnが必要ですが、皆さんが言う細すぎると頓挫する可能性が高いという印象は大きくは間違っていないかもしれません。


体重は「右肩上がり」― 管囲とは違う形


体重については、集計の前提を一段厳しくしています。募集時の測尺月はクラブによって5月〜11月までばらつきがあり、同じ「441kg」でも測った時期が違えば実際の成長段階も違います。

そこで体重の集計は、測尺月が6〜10月に確定しているクラブだけに絞りました。現時点で頓挫可能性のデータが揃っているのはこのうちキャロット・シルク・ライオン・インゼルの4クラブで、対象n=2,345です。

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体重を20kg刻みで見ると、420-439kg帯の26.3%あたりを底に、そこから重くなるにつれて上昇していきます。
440-459kg帯31.6%、480-499kg帯31.8%、500-519kg帯36.1%と、重い方の帯ではっきり水準が上がります。
380-419kgあたりは27〜28%台でほぼ横ばいで、420-439kg帯でいったんわずかに下がったあと上昇に転じる、という形です。
520kg以上はn=31とサンプルが小さいため、このグラフからは外しています。


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勝ち上がり率は440-479kg帯で59%台とピークに近い水準をつけており、全クラブで見たときとほぼ同じ位置です。
頓挫可能性率が上がり始める440kg以降の帯でも、成績自体はまだ高い水準を保っています。
だから馬体重と成績はトレードオフなところがあるんですよね~…。


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牡牝別に見ても、牡は29〜39%、牝は23〜27%のレンジで推移し、どの体重帯でも牡の方が高くなっています。
全クラブで見た牡牝差、そして管囲で見た牡牝差と同じ方向です。


管囲と体重、どれくらい連動している?


ここからが今回の本題です。管囲と体重はそもそも別の指標なのか、それとも実質同じものを測っているのか。
測尺月6-10月クラブの母集団(n=2,345)で相関係数を計算すると、r=0.579という結果でした。体重が50kg増えると、平均的には管囲が0.58cm前後太くなる計算です。


r=0.579は「無関係ではないが、完全に連動しているわけでもない」という中程度の相関です。
体重が同じでも管囲が細い馬・太い馬がそれぞれ相応にいる、ということでもあります。
この余地があるからこそ、次のクロス集計に意味が出てきます。


一番危険な組み合わせは「両方が危険域」


管囲は21.5cm以上、体重は500kg以上で頓挫可能性率がはっきり上がることを確認しました。
この2つの「危険域」を掛け合わせて、4つのグループでクロス集計してみます(測尺月6-10月クラブ限定、n=2,345)。


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両方とも通常域の馬(n=2,135)は28.8%。管囲だけ危険域(n=86)は37.2%、体重だけ危険域(n=84)は39.3%と、片方だけでも10ポイントほど上がります。そして両方とも危険域に該当する馬(n=40)は42.5%と、片方だけの場合よりもさらに高い水準になりました。
28.8%→37〜39%→42.5%ときれいな階段状に上がっていく形です。


「太くて重い」馬が、単に「太いだけ」「重いだけ」の馬よりもさらに頓挫可能性率が高いという結果は、2つの測尺を掛け合わせて見ることの意味を示しています。
単独の項目だけでなく、複数の測尺を組み合わせて極端な値が重なっていないかを見る価値がありそうです。


では「細くて重い」馬は?


ここまでは「太くて重い」馬を見てきましたが、逆に「管囲は細いのに体重は重い」という組み合わせはどうでしょうか。
実測データ上、この組み合わせに該当する馬はほぼ見当たりませんでした。管囲が細い側の馬は体重も軒並み平均以下に収まっており、「細いのに重い」という体型自体がまれなのです。
これは管囲と体重の相関(r=0.579)の裏返しで、成長して体重が増える馬は管囲もある程度連動して太くなる馬が大半、ということを示しています。

まあそれでも上記の体重のみ危険域というのが、管囲普通⇒馬体重上位なのでそれが近い検証結果といえるかもしれませんね!


なお、管囲が細い側の馬だけを体重に関係なく単独で見ると、頓挫可能性率は37%前後と、中間の管囲の馬(29%前後)より高めに出ています。
谷型グラフの底(19.5cm付近)から外れるほど頓挫可能性率が上がるのは細い側・太い側どちらも同じで、「細いから安心」というわけではなさそうです。
ただし「重い」との掛け合わせという意味では、太い側のような危険な組み合わせにはなりにくい、という結果でした。


どう捉えればいいか


管囲と体重は中程度に連動している(r=0.579)ものの、別々の情報を持っています。
管囲は中間がもっとも安定する谷型、体重は重い方に向かって素直に上がっていく形と、単独で見たときの傾向自体も異なります。


もっとも頓挫可能性率が高かったのは、管囲21.5cm以上かつ体重500kg以上の両方に該当する馬(42.5%)でした。
これは全体平均(28.8%)の1.5倍にあたります。
逆に言えば、どちらか一方だけが大きい・太いという程度であれば、そこまで過度に心配する数字ではなさそうです。


牡牝別に見ると、管囲・体重どちらの測尺でも牡の頓挫可能性率が一貫して10ポイント前後高く、これは特定の測尺の効果というより、牡自体の傾向として捉えるのが妥当そうです。


頓挫可能性率自体、公開情報等をもとにした参考記録であり、医学的な診断ではありません。ましてや管囲は成長しますし、計測によってのブレもあります。
相関であり因果でもないため、歩様や繋ぎの角度など、測尺以外の要素も絡んでいる可能性があります。


まとめ

管囲を実測0.5cm刻みで見ると19.5cm付近を底にした谷型、21.5cm以上で頓挫可能性率が明確に上昇
体重は測尺月6-10月クラブ限定で見ると420-439kg帯あたりを底に、重くなるほど上昇
管囲・体重どちらも、牡の頓挫可能性率が牝よりおおむね10ポイント前後高いという共通の性差がある
管囲21.5cm以上かつ体重500kg以上の両方に該当する馬(n=40)は頓挫可能性率42.5%で、片方だけの危険域(37〜39%)よりさらに高い
逆に「管囲が細くて体重が重い」馬は実測データ上ほぼ存在しない。細い管囲は単独では頓挫可能性率37%前後とやや高めだが、重い体重との掛け合わせにはなりにくい


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