原稿用紙、ご利用は計画的に
夏休みの宿題、読書感想文。こんなの、お茶の子さいさいだ。僕くらいの才能があれば、すぐにでも書けるさ。さっそく、図書館で読みたかった本をたくさん借りてきた。
このミステリーは世間でも評判が高い。「犯人が主人公だと分かった瞬間、心臓が止まりそうだった」……いや、これじゃただのあらすじ紹介だ。それにネタバレしたら、ネットで炎上しそうだ。芸能界で生きていこうと思っているので、これは、ボツ。
このファンタジーも読んでみたかった本だ。「魔法使いの成長を通して、努力の大切さを学んだ」……薄っぺらい。校長先生の人生くらい薄っぺらい。体型は肥満なのに、髪の毛の量は薄っぺらい。僕は分厚く生きるのだ。だから、ボツ。
映画の原作SF小説。「未来の技術に驚かされたが、人間の心は変わらないと感じた」……なんだかもっともらしいけど、これ、将来ベストセラー作家になる僕が書く文章じゃない。どこかのWebサイトでしか小説を書いていない、三文作家みたいだ。やっぱり、ボツ。
奇をてらって、時代小説なんかどうだろう。「武士の生き方に胸を打たれた」……胸を打たれた、で片付けるな。どう打たれたんだ。この時代なら、市中引き回しの上、磔で処罰されそうな、稚拙な感想文。時代考証にのめり込みそうなので、ボツ。
今、流行のお仕事小説。「働くことの大変さがよく分かった」……いや、これじゃ社会科見学の感想だ。こんな本を読んだくらいで大変さが分かったら、ブラック企業に勤めている社畜のおじさんに怒られちゃう。もっと人生経験を積んでから書くことにしよう。なので、ボツ。
やっぱり、恋愛小説でしょ。「すれ違う二人の気持ちが切なかった」……そもそも、切ないって、どういう感情? 僕の田舎じゃお腹いっぱいで苦しいことを「ずつない」って言うけど、それとは違うよね。たくさん読み過ぎて、ずつないので、ボツ。
何冊読んでも、書いては消し、書いては消し。気づけば消しゴムのカスで机の上が真っ白だ。季節外れの雪景色のようできれい……なんとことを言っている場合ではない。
時計の針が刻む音だけが、やけに大きく部屋に響く。心臓の鼓動が早くなり、冷や汗が背中を伝う。締め切り前の作家先生みたいだ。明日から二学期。なんとか、今日中に感想文を仕上げなければ――そうだ。基本に戻って、この本にしよう。決めた!
「感想文の書き方」
……で、この本の感想文はどう書けばいいんだ?
(了)
悩んでますね。公募入賞を目指すのでなければ、何でもいいんじゃない?
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
花邑 灯火さんの企画に参加します。
よろしくお願いします。
#灯火杯7th #感想文
では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。
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