着心地の正体を求めて。
浴衣自体はそこまでもっていない。
そんな中でも、やっぱりお気に入りはある。
全て気に入って買った柄だし仕立ても自分だ。
なので柄はみんな好き。
では特定の1枚がなぜお気に入りか。
それは、着心地。なんと言っても大きく違う。
サムネの画像にした浴衣がその浴衣だ。
最近の浴衣事情には明るくないので詳しくはわからないが和裁所で聞く話は、最近の浴衣の「生地はペラペラ」と師匠がよく言っている。
浴衣の生地で多いのは綿コーマ。
そして、私のお気に入りの浴衣は特岡木綿の浴衣。
特岡の木綿に使われる糸は「カード糸」。
綿コーマに使われるのは、そのカード糸から不要な繊維やゴミを削った「コーマ糸」だ。
これ以上細かい説明を始めると長くなるので誰も読みたくないだろうし割愛させてください(笑)
特岡と綿コーマは触れば明らかに違いがある。
綿コーマは滑らかで柔らかい。特岡木綿はどちらかというと、ざらっとして若干のゴワつきというのか、シャリ感がある。
こんなふうに、違いについては十分わかっているんだけれど。
気になり始めたら目で見て確認したくなる性分…
ということで、デジタル顕微鏡で繊維を見てみることにした。
以前から、繊維を見るのが好きで購入した顕微鏡である。
今回、比較したのはもちろん綿コーマと特岡木綿。
ここからははっきりと答えのでない自己満足の世界なので興味がある方は最後までお付き合いいただけると嬉しい。

昔は、浴衣といえば特岡だったらしい。
それが綿コーマに変わったのは、不純物を取り除いて毛焼き加工をした綿コーマのほうが、注染の発色が良かったからだという。
以前どこかで読んだ話なので、そこは確かではない。
特岡木綿は現在でも作られているのだろうが、浴衣としてどのくらい流通しているのかはわからない。
まずは、生地自体の違いを見ていく。

綿コーマは毛羽が少なく、特岡木綿の方が毛羽が多いのがわかる。
同じ倍率で確認したものなのだが、綿コーマの方が密度が高く糸自体が細く見える。特岡は密度が低く糸が太いのがわかる。
生地を見ただけでは大きな違いがわからなかったので次は残布を箱から引っ張り出して繊維だけで比較してみることにした。


期待していなかった結果が出た。
特岡木綿、すこし「うねり」があったことだ。
特岡の繊維を手で触った感じは確かにジャリジャリとして、綿コーマの方はスーッとしているとは思ったけど目視では判別不能だった。
でも顕微鏡で見るとこのくらい大きな差があった。
「うねり」はもしかすると織られて癖がついただけなのかもしれない。
布の状態では綿コーマの繊維のほうが細く見えたが、繊維単体で見るとむしろ綿コーマが太く、特岡木綿の方が細く見える結果になった。
正直、顕微鏡で見て何か明確な答えのようなものは見つけられなかった。
多少の違いはわかったものの、肌で感じるほどの違いを見つけることはできなかった。それほど肌や身体は敏感に違いを感じ分けているということだ。
顕微鏡で確認する作業の結果はどうあれ顕微鏡で状態を確認するという作業自体が楽しかったから私としては満足である(笑)
結論は、着てみて気持ちいいならそれが一番。ということかもしれない。
竺仙の浴衣も、着心地が悪いということではない。滑らかで気持ちはいい。
でもなんか違うのだ。やっぱり特岡の木綿が好き。
縫いかけの浴衣を横目で見ながら今日もサボってこんなことばかりしている自分、嫌いじゃない。
