「天井桟敷の人々」、愛の台詞

ジャック・プレヴェールの詩を学んでいたら、
映画好きのIさんがプレヴェール脚本の
「天井桟敷の人々」の名台詞を二つ教えてくれた。
"C’est tellement simple, l’amour.( 恋なんて簡単よ)”、もう一つは
"Paris est tout petit pour ceux qui s’aiment d’un aussi grand amour.
(パリは狭い、こんなに愛し合っている者には)”。

二つの名台詞ともなかなか意味深長であるが、
“amour”という言葉はフランス語では恋と愛の両方に使われる。
日本人には恋と愛はニュアンスが違うがフランスでは同じ言葉。
では、映画ではどんな状況でこれら名台詞が使われたのか?
マルセル・カルネ監督が3年の月日を費やして製作したという
このフランス映画史上不朽の名作をぼくは不覚にも見逃していた。

舞台は19世紀半ばのパリでパントマイム芸人の
バチストが女芸人のガランスと恋に落ちるのだが、
そのときの台詞が「恋なんて簡単よ」であり、彼女と
簡単に関係を持ってしまう俳優ルメートルに言った台詞が
「パリは狭い、こんなに愛し合っている者には」である。
純粋な愛か、不純な愛かもテーマになっている。

バチスト役のジャン=ルイ・バローのパントマイムが美しく、
ガランスを演ずるアルレッティのクールな表情が魅惑的。
他に悪人のラスネールや大富豪のモントレー伯爵などが絡む。
一部二部ある3時間以上の作品だけど長さを感じさせない。
プレヴェールの詩に曲を付けてきたコズマの音楽も素晴らしい。
ぜひともご観賞あれ!俳優たちのフランス語も堪能できる。