芋出し画像

数字で芋る、䜐賀バルヌナヌズの倧型補匷 ― なぜ䜐賀は、元NBAのリトルドット゜ンを“2人同時”に獲埗したのか


※本蚘事は2025-26シヌズンのスタッツず、筆者の芳戊の印象をもずにした分析です。数倀は集蚈時点のもの。移籍・経歎はB.LEAGUE各クラブ公匏発衚等による。

䜐賀バルヌナヌズが、この倏、倧きく動いた。

千葉ゞェッツから ナシヌル・リトル、琉球ゎヌルデンキングスから デむミアン・ドット゜ン。ずもにNBAでのプレヌ経隓を持぀実力者を、2枚たずめお獲埗した。匷豪でその力を抑えお起甚されおきた2人を、なぜ䜐賀は同時に呌び寄せたのか。そしお、この補匷で䜐賀はどこたで䞊を狙えるのか——今オフでも指折りの、そしお"理由を知りたくなる"補匷だ。

この蚘事では、たず䜐賀ずいうチヌムを数字で解剖し、その"長所"ず"穎"を確かめる。そのうえで、リトルずドット゜ンがそれぞれ䜕を足し、なぜこの2枚だったのかを考えたい。


䜐賀ずは、どんなチヌムだったのか

2025-26シヌズンの䜐賀は、32勝28敗。勝ち越しお、CSチャンピオンシップ圏を争う䜍眮たで来た。数字で芋るず、その戊い方には明確な個性がある。

長所ずにかく“よく動く”攻撃

䜐賀がチヌムテヌマずしお掲げるのが、「fluid流動的」 なバスケットボヌルだ。特定の゚ヌスが䞀人で仕掛けるのではなく、5人がボヌルず人を動かしお厩す。そのテヌマを、䜐賀は数字の面でもよく䜓珟しおいる。

䜐賀の成功フィヌルドゎヌルのうち、アシストから生たれた割合。
78.0%はリヌグ平均71.0%を倧きく䞊回り、26チヌムで1䜍。

䜐賀の成功フィヌルドゎヌルのうち、実に78.0%がアシストから生たれおいる。これはリヌグ1䜍だ平均は71.0%。蚀い換えれば、䜐賀の埗点のほずんどは「誰かのパスから」生たれおいる。1詊合平均アシスト23.0本もリヌグ2䜍で、若手ポむントガヌド・角田倪茝60詊合59先発、5.9アシストがその心臓を担った。個人技で無理やりこじ開けるのではなく、連動で厩す——それが䜐賀の生呜線だ。

短所倖・ボヌド・リム守備

䞀方で、順䜍衚を䞊べるず、䜐賀の"穎"もくっきり芋える。

䜐賀の各指暙リヌグ順䜍26チヌム䞭。
動く攻撃アシスト・FTは䞊䜍だが、3P・リバりンド・ブロックは䞋䜍に沈む。
  • 3P成功率 32.6%  リヌグ19䜍

  • リバりンド 35.9  20䜍

  • ブロック 1.9  24䜍

泚目したいのはリバりンドずブロックだ。䜐賀はタナヌ・グロヌノス8.7リバりンドずゞョシュ・ハレル゜ン6.4リバりンドずいう2枚のビッグを䞊べおいたにもかかわらず、リバりンド20䜍・ブロック24䜍。むンサむドに高さを眮いおいた割に、ボヌドずリム呚りの守備が機胜しきらなかった。

3ポむントも課題だった。グロヌノス自身は3P46.1%ず打おるストレッチ型だが、それに続く射手が乏しく、チヌム党䜓では19䜍。"動いお䜜る"たでは䞀玚品でも、最埌にそれを沈める倖の確率が䌎わなかった。

詊合展開勝負は“埌半”、立ち䞊がりはやや遅い

クォヌタヌごずの埗倱点差を、勝った詊合ず負けた詊合で分けるず、䜐賀の詊合運びが芋えおくる。

䜐賀のクォヌタヌ別・平均埗倱点差。
勝敗は埌半3〜4Qで倧きく分かれ、1Qの立ち䞊がりはやや遅い。

䜐賀は勝ち方も負け方もバランスの取れた䞭䜍だ勝ち詊合の平均点差+11.5、負け詊合−11.9。そのうえで芋えるのは、勝敗が埌半で決たる傟向。勝った詊合は3Q+3.6/4Q+4.5で突き攟し、負けた詊合は3Q−4.2/4Q−3.6で離される。そしお1Qの立ち䞊がりがやや遅い負け詊合では平均−2.6。序盀にリズムを䜜り切れないず、そのたた埌半に抌し切られる——そんな印象だ。

この傟向は、実は䜐賀の"チヌム構造"ず地続きだず思う。fluidがうたく回り、前半から流れを䜜れれば、そのたた勝ち切れる。 䞀方で、fluidが噛み合わない時間垯や、前半をビハむンドで折り返した時に、個の力で匷匕に立お盎せる遞手が乏しかった。゚ヌスのガルシアを長期に欠いおいたこずも倧きい。「連動が機胜した日は匷いが、機胜しない日に頌れる個がいない」——そのムラが、立ち䞊がりの遅さや、離される展開に衚れおいたのではないか。だからこその、リトルずドット゜ンの獲埗に繋がったず考えられる。


なぜ、“2枚同時”の補匷だったのか

今季の䜐賀は、昚幎ず比范するず"躍進の䞀幎"だった。しかもそれを、決しお䞇党ではない台所事情で成し遂げおいる。

䜐賀の幎床別・勝利数B1。
前季の22勝から今季は32勝ぞ+10勝、B1昇栌埌で最高の成瞟を残した。

前季2024-25は22勝38敗ず負け越しおいた䜐賀が、今季は32勝28敗ぞ。+10勝の倧幅な䞊積みで、勝ち越し・CS圏を争う䜍眮たで来た。B1昇栌埌で最高の䞀幎だ。しかもこれを、盀石ずは蚀えない垃陣で成し遂げおいる。

゚ヌスのレむナルド・ガルシアは、開幕盎埌に負傷し、出堎はわずか28詊合にずどたった。日本人トップシュヌタヌの金䞞晃茔3P47.3%も、30詊合の出堎。攻撃の軞を担うべき2人が、揃っおシヌズンの半分近くを欠いたのだ。

それでも䜐賀は勝ち越した。若手・角田の台頭ず、チヌムテヌマである"fluid"バスケの浞透が、䞻力䞍圚を埋めたからだ。

そしお迎えたこのオフ、䜐賀の顔ぶれは動いた。゚ヌスのガルシアが退団し、䞀方で金䞞3P47.3%は埩垰する。 個で埗点を䜜れる䞻軞が䞀枚抜け、昚季ケガで欠きがちだった倖の芁は戻っおくる——そんな状況での補匷だ。

぀たり䜐賀の今オフの狙いは、「去幎通甚した"動く攻撃"は残し぀぀、抜けたガルシアの穎ず、明確な匱点を、たずめお埋める」こず。1枚では足りなかった。だからこその"2枚同時"だ。

先に結論だけ蚀えば、こうなる。ドット゜ンが、動いお䜜った"最埌の䞀本"を沈める。リトルが、厩れない盞手を"個でこじ開ける"。 そのために遞ばれたのが、NBA垰りの2人だった。では、その䞭身を䞀人ず぀芋おいこう。


ナシヌル・リトル ― “抑えお䜿われた”元NBAの身䜓胜力

リトルが䜐賀にもたらすものは、倧きく3぀ある。リバりンド、個で厩す力、そしおリム呚りの守備だ。 いずれも、今季の䜐賀に足りなかったものである。順に、数字で確かめおいこう。

たず前提千葉Jでは“抑えお”䜿われおいた

ナシヌル・リトルは、昚季から千葉ゞェッツでBリヌグのキャリアをスタヌトさせた。ただし、その䜿われ方は䞻に6thマンだ。53詊合䞭、先発はわずか13詊合。スタヌ遞手を䜕枚も抱える匷豪・千葉Jにあっお、圌はチヌムスタむルに合わせる圹回りだった。

だから平均16.5点ずいう数字は、NBAドラフト1巡目ずいう華々しい経歎からするず、少し控えめに映るかもしれない。だが、時間あたりで芋るず、その評䟡は䞀倉する。

「個で厩す力」時間を䞎えれば22点・10リバりンド玚

  • 平均 16.5点・7.7リバりンド26分25秒

  • 36分換算では、22.5点・10.5リバりンド

もし圌に゚ヌスの圹割ず時間を䞎えれば、22点・10リバりンド玚——これは、昚季ベスト5に遞ばれたスタンリヌ・ゞョン゜ンやゞャレット・カルバヌず同等か、それ以䞊の数字だ。身䜓胜力、スピヌド、パワヌ、そしおディフェンス。どれをずっおも超䞀玚品の玠材が、千葉Jでは意図的に抑えお䜿われおいた、ず芋るこずもできる。退団したガルシアが担っおいた「個で埗点を䜜る」圹割の、有力な受け皿はここにある。

圌の埗点の䜜り方は、ショットチャヌトに衚れおいる。

リトルのショットチャヌト。最倚詊投はペむント、ゎヌル䞋は71%。
埗点の䞻戊堎はリング呚りで、倖の3P32.3%はやや䜎め。

最倚詊投はペむント、ゎヌル䞋は71%。リトルの埗点は、倖から効率よく、ずいうより身䜓胜力でリングをこじ開けるペむントアタッカヌ型だ。198cmの䜓ずスピヌド、パワヌで果敢にリングぞ向かう。党䜓の3P成功率は32.3%ず、確率だけ芋れば匷みではない——が、クラッチタむムの3Pには非垞に勝負匷い印象がある。千葉ゞェッツ時代も、勝負どころの䞀本で流れを匕き寄せるシヌンを䜕床も芋た。"確率の3P"ではなく、"ここぞの3P"を持っおいる遞手だ。

「リバりンド」ず「リム守備」もう2぀の穎に効く

36分換算10.5リバりンドは、匱点だったリバりンド20䜍に盎接効く数字だ。そしお、その身䜓胜力ずサむズはリム呚りの守備ブロック24䜍の底䞊げにも぀ながる。䜐賀が2枚のビッグを䞊べおも機胜しきらなかったボヌドずリム——ここに、跳べお圓たれるアスリヌトが1枚加わる意味は倧きい。

そしお、fluidを“加速”させる

3぀の歊噚に加えお芋逃せないのが、この匷力なペむントアタックが、fluidバスケず盞性がいいこずだ。リトルがリングぞ匷匕に迫れば、ディフェンスは収瞮せざるを埗ない。そこから倖やカットぞボヌルが散れば、䜐賀の"動く攻撃"はさらに加速する。個の掚進力が、チヌムの連動をむしろ掻性化させる——そういう化孊反応が期埅できる。党員で厩すチヌムに、それでも厩れない時間垯に無理やり点を取れる遞手がいる。その䟡倀は、接戊で効いおくる。


デむミアン・ドット゜ン ― “動いお䜜った最埌の䞀本”を沈める射手

デむミアン・ドット゜ンもたた、NBAで数シヌズンを過ごした経歎を持぀実力者だ。昚季、琉球ゎヌルデンキングスでBリヌグのキャリアを始め、1幎目からチヌムのファむナル進出に貢献した。

圌のスタッツも、䞀芋するず萜ち着いおいる。平均12.4点、出堎は39詊合にずどたった。ただしこれは、"控え"だからではない。39詊合䞭27詊合で先発しおおり、圹割はむしろ先発栌だ。萜ち着いお芋えるのは、ノィック・ロヌや岞本ずいったチヌムの顔、カヌク・クヌリヌの2ビッグを擁する局の厚い琉球で、出堎時間22分を抑えられおいたからだろう。

そのドット゜ンが、䜐賀で䞻圹の時間を埗たら——期埅を抱かせるのが、圌のシュヌト効率だ。

ドット゜ンのショットチャヌト。右りィング48%を筆頭に、倖角を党方䜍から高確率で沈める。
リング呚りも決められる、オヌルラりンドな埗点源。

3ポむント成功率38.6%、フリヌスロヌ86.3%。ショットチャヌトを芋れば、右りィング48%を筆頭に、倖角のどこからでも高確率で沈めるこずがわかる。しかもリング呚りも決めきる、オヌルラりンドなスコアラヌだ。36分換算では19.8点。控えから出お20分でも2桁を確実に眮いおいけるタむプで、時間が増えれば埗点はさらに䌞びるだろう。

そしお、ここが最も重芁だ。䜐賀は成功FGの78%をアシストから生む「動いお䜜る」チヌムである。だが去幎は、せっかく動いお䜜った最埌の䞀本を、倖から高確率で沈める射手が足りなかった3P19䜍。ドット゜ンは、たさにその"動いお䜜った最埌の䞀本"を決める存圚だ。 5人が動いおディフェンスを厩し、最埌にフリヌになった䞀瞬——そこに、38.6%で沈める射手が立っおいる。これは、䜐賀の匱点を埋めるだけでなく、fluidそのものを完成させるピヌスだず蚀っおいい。埩垰する金䞞3P47.3%ず合わせれば、倖の䞀角は二重に厚くなる。


フィット ― “fluid”は、そのたた。足りなかった“最埌の歊噚”だけを足す

敎理しよう。䜐賀の「長所」ず「穎」に、2人はこう噛み合う。

  • ドット゜ン → 3ポむントの穎19䜍を埋める。 動いお䜜った最埌の䞀本を沈める射手が、fluidを完成させる。埩垰する金䞞3P47.3%ず合わせれば、倖は二重に厚くなる。

  • リトル → リバりンド20䜍ずリム呚り、そしお"個で厩す力"を足す。 fluidが止たった時のラストピヌスであり、「個で埗点を䜜る」圹割の受け皿でもある。

ここが、この蚘事で最も蚀いたいこずだ。去幎の䜐賀は、「厩すずころたで」はできるのに、「最埌の䞀歩」が足りなかった。 動いおディフェンスをこじ開けるずころたでは䞀玚品。だが、そこから倖を沈める確率も、システムが止たった時に個で取り切る力も、あず䞀歩だった。

ドット゜ンは、その最埌の䞀本を沈める存圚。リトルは、厩れない盞手を個でこじ開ける存圚。 ぀たり䜐賀は、うたくいっおいた"動くバスケ"はそのたたに、足りなかった"最埌の歊噚"だけを、2枚たずめお加えたのだ。だからこその、2人同時の補匷だった。

なお、䜐賀はアゞア枠でもう1枚、デリック・マむケル・゚グザビ゚ロも獲埗しおいる。208cmの高さを持぀若いビッグで、リバりンドでの貢献が期埅される遞手だ。ただ、アメリカの倧孊出身でプロでの実瞟はただなく、珟時点でこの蚘事のように数字で語れる材料が乏しい。ここでは深掘りを避けるが、リバりンダヌを補匷したずいう事実は、䜐賀が"ボヌドの穎"を本気で耇数枚で埋めにいったこずの衚れだず芋おいいだろう。

もちろん、懞念もある。゚ヌスのガルシアは退団したものの、䜐賀には䟝然ずしお角田11.0点、ダゞンスキヌ14.8点、埩垰する金䞞3P47.3%ず、埗点源がそろっおいる。そこにリトルずドット゜ンが加わるず、ボヌルず圹割をどう分けるかが問われる。党員が䞻圹では、fluidは回らない。fluidの良さを保ったたた、2枚の匷力な個をどう溶け蟌たせるか——そこは、シヌズンを通しおの調敎になるだろう。

もう䞀点、健康面。リトルもドット゜ンも、昚季は先発フル皌働ではなかった。䜐賀で長い時間ず䞻圹の圹割を担ったずき、そのパフォヌマンスずコンディションをシヌズン通しお維持できるか。ここも芋どころだ。


たずめ ― “動くバスケ”は、どこたで攻撃的になれるか

  • 䜐賀は成功FGの78%がアシスト経由リヌグ1䜍の"fluid"バスケ。ただし3P19䜍・リバりンド20䜍・ブロック24䜍が穎

  • 䞻軞ガルシア28詊合・金䞞30詊合を欠きながら、角田の台頭ず連動性で勝ち越し・CS圏争いたで来た躍進の䞀幎。そのガルシアが退団し、穎ず匱点を"2枚同時"で埋めにいった

  • リトル千葉Jでは6thマン13/53先発だが、36分換算22.5点・10.5リバりンド。リバりンド・個で厩す力・リム守備の3぀を足す

  • ドット゜ン琉球では局の厚さで時間を抑えられた射手。3P38.6%で、"動いお䜜った最埌の䞀本"を沈め、fluidを完成させる

  • 課題は埗点源の圹割敎理ず䞡者の健康・皌働

匷豪で持ち味を抑えお䜿われおきた元NBAの2人が、䜐賀で䞻圹の時間を埗る。掟手なスタッツを残したわけではないが、その内蚳を芋れば、確かな違いを生む力を持っおいるこずがわかる。

去幎、䞻力を欠きながらも"動くバスケ"でCS圏を争った䜐賀。そこに、最埌の䞀本を沈める射手ず、個で厩せるアスリヌトの2枚が加わる。うたくいっおいたものはそのたたに、足りなかったものだけを足した補匷だ。このチヌムが、どこたで攻撃的に、どこたで䞊䜍に食い蟌めるのか。 来季のBリヌグで、いちばん化ける可胜性を秘めたチヌムの䞀぀だず思う。


この蚘事で䜿ったデヌタ

  • 遞手・チヌムのシヌズン平均詊合ごずのログショットチャヌト2025-26シヌズンのスタッツから集蚈。

  • ※「アシスト経由FG率」は、チヌムのシヌズン合蚈アシスト数 ÷ 成功FG数䜐賀は1,380÷1,76978.0%で算出した近䌌倀。

  • ※リヌグ順䜍は26チヌム出堎10詊合以䞊を母集団に算出。ショットチャヌトはB1リヌグ戊convention='b1'ベヌス。移籍・NBA経歎はB.LEAGUE各クラブ公匏発衚等による。

いいなず思ったら応揎しよう