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「バカにされない自分」より、「ひとりでも大丈夫な自分」を育てる

「悩みのるつぼ」朝日新聞be(2026.8.30)
今日は、20代の大学生からの
「人から容姿をバカにされる」というご相談。

小学校からずっと一緒の友達とだけ付き合ってきた。
大学進学後も同じサークルへ。

その友達と一緒にいるときは嫌われないけれど、
一人になると、容姿の悪口を言われたり、
「気持ち悪い」と言われたりする。

高校、予備校、大学のゼミやサークルでも、
尊敬していた優しい先輩から嫌なことを言われた。

自分は、人に嫌悪感を抱かせるような
「陰気なオーラ」を出しているのではないか。
明るく会話しようとしても、どこかずれてしまう。
大人数の中では表情が固まり、会話にも入れない。
服や髪型も工夫しているけれど、容姿を磨く努力そのものがつらい。

「そんな私が、バカにされないためには
どうしたらいいでしょうか」というご相談です。

文筆業の清田隆之さんの回答――
「そんなやつらは全員クソです」。
外見至上主義、いわゆるルッキズムが、
一般的に男性より女性に
強くのしかかることを踏まえたうえで、
まずは、傷つけてくる人たちから距離を取り、
心の元気を回復することが最優先ではないか、と答えていました。
ソロ活も進めておられました。
カウンセラーとして、気になることを少し書いてみます。

目次

  1. 「バカにされる原因」を、自分の中だけに探さない

  2. いちばん安全な友達に、すべてを預けていないか

  3. 卒業後、同じ道を行くとは限らない

  4. まずは「ソロ活」を増やしてみる

  5. 共通点のある人とは、会話の負担が少ない

1.「バカにされる原因」を、自分の中だけに探さない

この相談者さんは、
「私が陰気だから」
「会話がずれているから」
「容姿が悪いから」と、自分の中に原因を探しています。
それは、誰かにそう言われたから、そう思ってしまったのかもしれません。

でも、まず切り分けたいのは、
相手が失礼なことを言うことと、
あなたの価値は別問題だということです。

容姿をからかう。
通りすがりに悪口を言う。
相手が困るようなことを、面白がって言う。

それは、相手側の問題です。

もちろん、人間関係の中では、
会話の癖やタイミングを振り返ったほうがいい場面もあります。

けれど、
「嫌なことを言われた」
  ↓
「私が悪い」と、
すべてを自分の責任にしてしまうと、心はどんどん削られていきます。

まず、直せることと、背負わなくていいことを分ける。
そこからではないでしょうか。

2.いちばん安全な友達に、すべてを預けていないか

私は、この相談文の中で、
小学校からずっと一緒の友達と、大学まで同じサークルにいる
というところが、少し気になりました。

その友達は、相談者さんにとって、とても大切な人なのでしょう。
一緒にいると安心できる。
嫌われない。
自分でいられる。
おそらく、長いあいだ「安全基地」のような存在だったのだと思います。

それ自体は、決して悪いことではありません。
ただ、安全な場所が、その人ひとりしかないという状態になると、
少し苦しくなります。

何でも話せる友達が一人だけ。
愚痴を聞いてくれる人も一人だけ。
困ったときに一緒にいてくれる人も一人だけ。
信頼できる人は、その人だけ。

もし、その人との関係に何かあったとき、
全世界を失ったような感覚になるかもしれません。

その友達との関係は大切にしてほしい。
でも、少しだけ離れて過ごせる時間を増やしてみる。
それを、これから練習してみませんか。

3.卒業後、同じ道を行くとは限らない

卒業後の進路は、同じとは限りません。
それぞれの道に進みます。
就職する場所も、住む場所が変わるかもしれない。
結婚や転勤、仕事の忙しさで、今のようには会えなくなることもあります。

それは、仲が悪くなるということではありません。
自然に起こることです。
そうやって、離れ離れになることは少なくありません。

もし、その友達だけが唯一の安心できる相手なら、
その変化はとても大きな喪失になります。

今から少しずつ、
「この人がいない時間も、私は過ごせる」
という経験を増やしておきましょう。
それは、将来の自分を助けとなります。

誰かを失う準備をするというより、
自分の足場を増やしておくというイメージです。

4.まずは「ソロ活」を増やしてみる

いきなり新しい友達をたくさんつくる必要はありません。
むしろ、人付き合いが苦手だと感じている人に、
「もっと社交的になりましょう」
と言っても、しんどさが増えるだけです。

そこで、私はまず「ソロ活」をおすすめします。
一人でカフェに行く。
一人で映画を見る。
一人で本屋に行く。
興味のある講座や展示に、一人で参加してみる。

最初は短時間でもかまいません。
「一人でいても大丈夫だった」という経験が増えると、
誰かと一緒でないと不安、
という感覚が少しずつ弱くなります。

一人で動けるようになると、結果的に人と出会う機会も増えます。

不思議なことですが、一人でいられる人のほうが、
人間関係を選べるようになります。

5.共通点のある人とは、会話の負担が少ない

人との会話が難しいと感じるなら、
「誰とでもうまく話そう」としなくていいと思います。

話題のない相手と、雑談を続けるのは難しいものです。
でも、好きな本。
音楽。ゲーム。映画。動物。語学。手芸。スポーツ。

何でもいいのですが、共通の興味がある人なら、最初から話題があります。

「何を話せばいいんだろう」
と考える負担が少なくなります。

大人数が苦手なら、少人数の集まりを選ぶ。
対面がしんどければ、オンラインのコミュニティから始めてもいい。

人間関係は、広げることより、種類を増やすことを意識してみてください。

一人で過ごせる場所。
趣味の話ができる人。
大学で挨拶だけする人。
困ったときに相談できる人。
何でも話せる親友。
全部、同じ人でなくていい。
リスク分散です。

相談者さんは、
「バカにされないためにどうしたらいいですか」と尋ねています。
もしかしたら、その強い思いが相手に伝わっているかもしれません。

「バカにされない人になる」ことを目指さなくても
いいのではないでしょうか。

どんな人でも、失礼な人に出会うことはあります。
どれほど容姿を整えても、万人から好かれることはできません。

それよりも、嫌なことを言う人から離れられる。
自分を守るために、鎧を着ることも、脱ぐこともできる。
一人でも過ごせる。
安心できる場所が、ひとつではなく複数ある。
必要なときには、誰かに助けを求められる。

そんな力を少しずつ増やしていく。
今の友達を大切にしながら、
「この人がいなくても、私は私でいられる」
そういう時間を、少しずつ増やしてみましょう。
それは孤独になるためではありません。

これから先、あなたが人間関係を自分で選んでいくための準備です。
それは、いくつになっても必要なことだと思います。

以前、ワークショップ形式のセミナーを行っていたとき、
こんな声をよく聞きました。
「テーマがあるから、初対面の人でも話しやすい」
「この年で友達ができるなんて、うれしい」
「若い人と話せて、視野が広がった」

「ここで話したことは外部で話さないこと」
守秘義務もあって、安心して話せる場は大切です。
ワークショップも、選択肢のひとつです。



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