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私的名盤探訪# 13 Talking Heads「Stop Making Sense」

何度も書いては消して、を繰り返した。ああ、この作品の魅力を言語化する能力がないなあ。本当にない。
だから、観て、聴いて下さい。
と、終わったらあまりにもなので少し挑戦してみる。

これはライブアルバムであり、映画作品でもある。結果としてこれが最後のツアーとなった、1983年のツアーの一夜を切り取ったものだ。ドキュメンタリーではなく、「ステージ・ムーヴィー」とも言うべきもので、音楽以外余計なものが一切入っていないのがいい。
監督は後に「羊たちの沈黙」を撮ることになるジョナサン・デミ。

演奏、ステージ構成、ステージ装飾、カメラワーク、そして今はリマスターされて音質、画質ともに全てが「本当に完璧」なのである。ぼくが知っているポピュラー音楽でこれほど「完璧」なものを他に知らない。

演出について細かく述べるのは未視聴の方に無粋だと思う(特に映像)ので、詳しくは書かない。

トーキング・ヘッズのスタジオ・アルバムでは「フィア・オブ・ミュージック」が一番好きだ。名作「リメイン・イン・ライト」は確かに凄いが「フィア〜」の方が曲そのものの出来がよい。ロバート・フリップが参加してるし。

などと言う話が完全に与太話になるほど、このアルバムは完璧である。ライブ音源に、相当手を入れているであろうことは伺えるがそれがどうかしたのか、というものである。この完成度の前にその様なことは瑣末なことである。

このあと、彼らは急速に失速し、活動休止へと至る。それはそうである。こんなもの作ってしまったら後がないのは自明である。

運が良かったのだろうと思う。ある程度のキャリアを積んだアーティストにはそのどこかに「絶頂期の最高の瞬間」というものがあるはずだ。
それを、タイミング良く、最高のスタッフで、最高のロケーションで、最高のコンディションで記録できるか。このピースを欠けることなく記録に残せるアーティストはそう多くないのではないか。

この作品はそれら全てが揃っているからここまで完璧なのだと思う。そんな、宝くじが当たったみたいな幸運な記録なのだと思う。

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