エリート先輩が教育係になった
運なのか日頃の行いなのか。
僕の教育係があの「エリート先輩」になった。
2年目には成績トップクラスまで登り詰め、最年少で係長になった人だ。
エリートさんよろしくお願いします!
エリートさんの仕事についていく!
「あれいい感じに頼む!」
どこまでもしがみつく!
「もっとバーッて勢いが欲しい」
この人みたいになるんだ。
「なぜ俺の言うことがわからない!?」
教えるのめっちゃ下手やった。
名プレーヤーで名監督になるとは限らない。
「勝ち確定のはずやったのにー」
同期の教育係は目立たないユル先輩だった。
同期も目立つ成績はないがアベレージがかなり上位だ。
ユル先輩は教えるのがうまいのか。
僕は悔しくて唇を噛んでいた。
思わずユル先輩に言ってしまった。
「聞いてください。エリートさんでは僕は成長出来ないです。僕もユル先輩に教えて欲しいです」
「あーねー」
涙目の僕に対してもすごくゆるい人だ。
「彼ねー。すごいことやってるけど、彼にとってはそれが当たり前だから教える事でもない。って思ってるんだろうね。」
えーー。
それと同時に、
「歯磨きする理由を聞かれる事なく教える人もおらんか」
そう思った。
普通の基準が違うとこうも食い違うものなんだ。
「ありがとうございます。エリートさんと向き合ってみます」
もう一度エリートさんの仕事についていく。
「いい感じに頼む!」
「すみません!今のままでも良さそうに感じますがどこを修正しますか?」
「ごめん!この部分の色を変える事でパッと見で理解できるようになるから修正しておいて」
どこまでもしがみつく。
「もっとバーッて勢いが欲しい」
「すみません!この文字をバーッて勢いよく見せる。で間違いないですか?」
「ごめん!今の言い方わかりにくかったな。それでいい」
この人みたいになる。
「ごめーん!俺昔から教え方下手ってよく言われんねん!」
めっちゃかわいかった。
エリートさんも気にしていたらしい。
口癖が「ごめん!」なのも、実は悩んでたことも全然知らなかった。
「エリートさんすみません。僕も聞き方が悪かったです。」
ユル先輩に相談したことを話した。
「あーユルさんはすごいよ。あんなに冷静に周りを見えている人なかなかいないな。」
意外だった。
エリートさんが人を褒めているのを初めて見た。
「ユルくんちょっといいかな?」
「はーい部長今行きますー」
ユル先輩が慕われる理由がわかった。
先輩がどうこうで勝ち組とかじゃなかったんやな。
それでもやっぱりエリートさんみたいに仕事がしたい。
今でも憧れている。
自分のやり方でエリート先輩に喰いついていこう。
「エリートさん!そのバーッてやつもう一度お願いしていいですか。」
