車高低いほど速いはウソ【車高下げすぎの罠】、どうセットアップする?
なぜ今この記事を書くのか
Xで投稿した「ベタベタ車高=難易度MAX車」というポストが、予想以上に反響を呼びました。
見た目が良い、重心が下がる気がする、上級者が低車高で走っている――
こういった理由で車高を落としすぎた結果、逆に遅くなる車が非常に多い。
インストラクター歴22年の立場から、
「なぜ低車高は遅くなるのか」「正しい車高の決め方」を
まとめました。
車高を下げると起こる“3大悪影響”
① 縮み側ストローク枯渇
車高を下げる=バネを先に潰した状態で走るということです。
本来バネは、
ブレーキで前に荷重
コーナーで外側に荷重
立ち上がりで後ろに荷重
この荷重変化に合わせて沈んでくれることで、タイヤが地面を押しつけ、グリップを発生させます。
しかし車高を下げすぎると…
荷重が来ても沈めない=タイヤが安定してグリップを作れない
縮み側ストロークがほぼ残っていない車は、荷重が来てもバネがほとんど沈む余地がない状態になります。
さらに、低車高になると伸び側ストロークも圧縮されるため、車体が立ち上がる/リアが路面を押す挙動も抑制されます。
もちろん車体自体は多少しなるので、一瞬だけタイヤが路面を押し、瞬間的なグリップは出ます。しかし問題はその後です。
荷重が増えてもタイヤを押し続けられない
ロールが進むと接触や底付きが先に発生
荷重配分が不安定になり、グリップの立ち上がりが唐突になる
結果として:
荷重がタイヤに十分に流れない
接地面圧が安定せずグリップが不足
コーナー入りで「曲がらない」
ロール途中で踏めない
グリップの立ち上がりが唐突で“限界がつかみにくい”
縮みストロークがほぼ無い状態とダンパー底付きの違い
縮みストローク枯渇:バネはほとんど沈まないが、ダンパーはまだ少し動ける状態。タイヤは瞬間的に押されるが、持続的グリップは不足。
ダンパー底付き:ピストンが完全にストロークできず、減衰力が効かない。バネ・ダンパーともに荷重を受けられず、車の動きが唐突で制御不能に近くなる。
低車高は「重心が下がる」というメリットよりも、バネが動けず荷重をタイヤに伝えられないという圧倒的デメリットの方が大きいのです。
② ロール中のフェンダータッチ
ロール量 > 残ストローク
となった瞬間、外側タイヤがフェンダーやインナーに接触。
外輪が急激にグリップロス
姿勢が一気に崩れる
振り返しが急になる
ブレーキ後の姿勢が安定しない
クリップ付近で異音と共にスピンすることも
※ドリフトで「進入が怖い」
※サーキットで「よく分からず曲がらない」
※クリップで急に滑る
これらの症状はすべて、この接触が原因のことが多いです。
③ ダンパー底付き → 棒ダンパー化
底付きすると、ダンパーのピストンがストロークできず、
減衰力が働かない“ただの棒”に。
路面の凹凸を拾いまくる
ロールが一気に止まる
ブレーキで前につんのめる
アクセルオンで唐突に車が立ち上がる
「限界が読めない」状態に陥り、タイムどころではなくなります。
この状態で縁石等に乗り上げると、アッパーマウントなどが破損します。
競技別に見える“車高下げすぎ”の症状
●ドリフト
振り返しが急にバンッと来る
進入でアンダー、オーバーが出やすい
スピンとアンダーの両方が出る
荷重が入らないため角度の維持が難しい
踏むとロールが増えるので、踏める量が減る
●サーキット
進入で全く曲がらない
前荷重が増えずフロントタイヤがグリップしない
立ち上がりで踏めない
フロントの伸び側ストロークが足りないことで、荷重移動が抑制され、リア接地感が消える
●ジムカーナ
コースのどこでも“唐突に滑る”
スラロームの切り返しが鋭すぎる
円旋回で姿勢が安定しない
バンプを殺しているため接地が薄い
●ラリー
ジャンプの着地で刺さる
ブレーキロックして刺さる/転落する
段差でタイヤロックして刺さる
スピンして刺さる
競技が違っても、根本原因は「ストローク不足+当たり+底付き」です。
上手い人がやってる“ロールを当てない技術”
上手い人がベタベタ車高でも走れる理由は、
「車を低くしても、ロールピークを当てない技術を持っているから」。
① 減速Gの入れ方がうまい
ブレーキ初期でガツンと入れない
ロールを“ゆっくり立ち上げる”
結果、当たりを起こさない。
② ステアの切り方が丁寧
“車速とロール速度を一致させる”
ハンドルを急に切らない
急激に外輪を潰さない
③ アクセルの踏み方が丁寧
・これ以上アクセル踏むと、ロールして、何かに当たるのを理解して、踏むのを止められる
③ セットを理解している
バネレート
バンプラバー長
ストローク配分
車高とロールセンターの関係
上級者はこのあたりが頭に入っているため、低車高でも破綻しない。
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