「できない」のではなく「手順が多い」だけだった?男の子特有の脳内思考に合わせた、伝え方のバグ修正プログラム。
こんにちは!ゲーム会社でキャラクターアーティストとして働きながら、小学生低学年と未就学児の男子ふたりを育てている父親です。
突然ですが、毎朝・毎夜の我が家はまさに「バタバタの戦争状態」でした。
「早く靴下履いて!」 「おもちゃ片付けてから顔洗ってきて!」
何度言っても、当の本人たちはロボットのようにフリーズするか、なぜか目の前にあるミニカーをブーブーと走らせ始める始末……。「なんで言われたことができないの!?」と、以前の私はイライラを爆発させてばかりいました。
ですが、私がガンを発症し、抗がん剤治療と闘病生活を余儀なくされたとき、大きな転機が訪れました。
体力が底をつき、声を張り上げる気力すらなくなったとき、ふと自分の仕事(デジタル制作)の画面が頭をよぎったのです。
「あ、これ子どもが悪いんじゃない。私の『指示出しのプログラム』にバグがあるんだ」
今日は、3Dキャラクターを動かす仕事と闘病生活の中で見つけた、男の子の脳内にすっと届く「伝え方のバグ修正プログラム」をお届けします。
第1章:なぜ、男の子の脳は「片付けなさい!」でフリーズ(フリーズ)するのか?
ゲームやアニメーションの世界では、一度に大量の重いデータを処理させようとすると、画面がカクカクしたり、最悪アプリが落ちたり(クラッシュ)します。
実は、男の子の脳内でも全く同じことが起きていました。
親がよかれと思って言う「お部屋を片付けて、靴下を洗濯かごに入れて、手を洗ってきなさい!」という言葉。 大人は1つの「一連の流れ」として捉えていますが、子どもの脳内メモリにはこう変換されています。
おもちゃを箱に分類して入れる
床にあるものを運ぶ
靴下を脱ぐ
洗濯機まで歩く
洗濯かごに投入する
洗面所へ移動する
蛇口をひねって手を洗う
……なんと、一度に7つ以上のタスクが同時に送られているのです!
スマホで例えるなら、重いグラフィックのゲームを起動しながら、動画を10本同時にバックグラウンドでダウンロードしている状態。 そりゃあ、脳みそも「モクモク……(煙)」とオーバーヒートしてしまいますよね。
子どもは親の言葉を無視しているのではなく、「データ量が多すぎて何から手をつけていいか分からず、フリーズしている」だけだったのです。
第2章:今日からできる!声かけの「バグ修正プログラム」3つのステップ
闘病中で体が思うように動かなかった私は、とにかく「省省エネで子どもに動いてもらう方法」を考えました。そこで試したのが、以下の3つのデバッグ(バグ修正)です。
① 指示は「1コマンド・1アクション」にする(シングルタスク化)
×「片付けて顔洗って服着替えて!」(マルチタスク=フリーズ) ○「まず、この青いブロックだけ箱に入れてね」(シングルタスク)
カチャッと1つ終わったら、「ありがと!じゃあ次は靴下脱ごうか」と次のコマンドを送る。手順を小分けにするだけで、驚くほどスイスイ動くようになりました。
② 耳ではなく「目」にロード画面を置く(視覚的フラグ)
男の子は、耳からの情報(音声)よりも、圧倒的に目からの情報(ビジュアル)の処理が得意です。
我が家では、玄関の靴を脱ぐ場所に「足跡マークのシール」をペタッと貼ってみました。 すると、「靴揃えて!」と100回言うよりも効果テキメン。子どもたちはゲーム感覚で、その足跡の上に自分の靴をピタッと重ねるようになったのです。
③ 動作の「摩擦(フリクション)」を極限まで削る
「片付けられない」のは、子どもの性格がズボラだからではありません。「工程(手順)が多い」のが原因です。
例えば、「蓋付きの箱におもちゃを仕分けて入れる」という作業。
箱の蓋を開ける
おもちゃの種類を分ける
箱に入れる
蓋を閉める
この「蓋を開ける」「仕分ける」という手順が摩擦(ストレス)になっています。 我が家では、大きなオープンボックスをポンと置き、「遊んだらここにポイポイ投げるだけ!」という1ステップに変更しました。これだけで、お片付けのバグはほぼ解消されました。
第3章:「伝える」から「届く」へ。パパの闘病生活が教えてくれたこと
がんの治療中は、自分の命や体調のことで頭がいっぱいになり、「子どもにイライラぶつけてしまった……」と落ち込む夜が何度もありました。
でも、自分の体力が奪われたからこそ、「力づくで聞かせようとするのではなく、仕組み(プログラム)を変えればいいんだ」という優しい事実に気づくことができたのです。
男の子は、親を困らせようとして「できない」のではありません。 ただ、「ちょっと手順が多くて、迷子になっている」だけ。
もし今、お子さんに何度も同じことを言って疲れ果てている方がいたら、ぜひ自分を責めないでください。あなたの育て方が悪いのではなく、ただ「プログラムの調整」が必要な時期なだけです。
まずは今日の夜、「言葉のコマンドを1つにする」ことから始めてみませんか? きっと、子どもたちの頭の上に「ピコーン!」と閃くマークが見えるはずですよ。
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